RunwayのAIゲームプラットフォーム「Game Worlds」とは?何ができる?活用事例や将来性

RunwayのAIゲームプラットフォーム「Game Worlds」とは?何ができる?活用事例や将来性

2025年7月7日、AIスタートアップのRunwayは、AIを活用した新たなゲーム生成ツール『Game Worlds(ゲームワールズ)』の限定プレビューを開始しました。Runwayは以前からハリウッドの映画・テレビ業界でAI動画生成技術を提供しており、今回の「Game Worlds」の発表は、同社が映画業界からより広範なデジタルエンターテイメント市場へと戦略的に拡大していることを示しています。

RunwayのCEOであるクリストバル・バレンズエラ氏は、ゲーム業界は生成AIの導入において、かつてのハリウッドと似た状況にあると考えており、当初の強い抵抗から段階的な採用へと移行すると述べています。彼はまた、AIがスタジオが映画を40%速く制作するのを助けることができるのであれば、ゲーム開発者もゲームをより速く制作できるようになると語っています。

この記事では、今注目の「Runway Game Worlds」がどのようなツールなのか、何ができるのか、そしてその将来性について詳しくお伝えします。

 

Runwayの「Game Worlds」とは?

Runway Game Worlds Coming soon

(出典:Runway Game Worlds

Game Worlds』は、Runwayが開発した“AIを活用したゲーム生成プラットフォーム”です。ユーザーは画像とテキストベースのプロンプト(指示文)を使って、シンプルなビデオゲームの世界を生成することができます。

このプラットフォームの最大の特徴は、テキストベースのアドベンチャーゲームを、AIが自動でテキストの物語とそれに付随する画像を生成することで、簡単に作成し、体験できるという点です。これにより、従来ゲーム開発に必要だった多大なリソースや専門的なスキルが不要となり、ゲーム制作の参入障壁が大幅に低減されます。

ユーザーはゲームの世界の名前主要なコンセプト雰囲気の説明を入力するだけで、AIが設定されたスタイルに合った視覚的なトーンキャラクターの画像を生成し、没入感のあるインタラクティブな体験をプレイヤーに提供します。現時点ではテキストと静止画像が中心ですが、年内にはより複雑なビデオ生成やゲームプレイメカニクスの導入が計画されています。

Game Worldsで何ができる? 特徴・機能

Runway Game Worlds

Runwayの『Game Worlds』でできることや活用例は、主に以下の点が挙げられます。

テキストベースのインタラクティブアドベンチャーの生成

ユーザーはテキストプロンプトを入力するだけで、ストーリー、キャラクター、環境を含むインタラクティブなテキストアドベンチャーゲームを作成できます。AIが物語を生成し、それに合わせて画像を添えてくれます。

キャラクター作成と参照機能

ユーザーはキャラクターの名前をつけ、写真を参照として追加し、そのキャラクターの特性(例:元特殊部隊員、植物学者、武器の専門家など)をAIに指示できます。AIは指定されたキャラクターの特性を考慮して物語を進め、関連する画像を生成しようとします。

プレイヤーの選択と動的な物語

ゲーム中、AIは複数の選択肢を提示したり、ユーザーがテキストで自由な行動を指示したりすることができます。キャラクターの特性やプレイヤーの行動に基づいて、物語が動的に変化し、予期せぬ展開が生まれることもあります。

革新的な数値システムによるエンゲージメント強化

『Game Worlds』の大きな特徴の一つは、プレイヤーがゲーム世界との各インタラクションを通じて、リソーススキルポイントストーリー進行などのゲーム関連の数値を増減させる革新的なシステムです。これにより、ゲームに目的意識と継続的な魅力が加わり、プレイヤーがゲームに時間を投資するよう促されます。例として、体力バー、記憶収集、酸素レベル、正気度、エクトプラズムの収集、インベントリシステムなどが挙げられています。

コミュニティでのゲーム作成と共有

ユーザーは自分で作成したゲームをコミュニティに公開し、世界中のプレイヤーと共有することができます。この機能はプラットフォームのソーシャルな側面を大幅に強化し、すべてのユーザーがゲームデザイナーになる機会を提供します。SF、ファンタジー、ホラー、ミステリーパズルなど、シンプルなテキスト記述でユニークなゲーム世界を創造し、「誰もが開発者」というビジョンを実現できます。

YouTube動画やWebページの要約機能

AI生成されたテキストから物語を生成するだけでなく、Runwayは既存のYouTube動画やWebページから要約する機能も提供しています。これにより、ユーザーは既存のコンテンツを基にしたゲーム世界を構築することも可能です。

将来的な機能拡張

Runwayは、年内により複雑なゲーム作成ビデオ生成を可能にする計画を持っています。長期的には「汎用ワールドモデル」を構築し、AIを通じて一貫した物理法則と永続的なオブジェクトを持つ完全な3D環境をシミュレートすることを目指しています。これは、将来の「Game Worlds」がシンプルなテキストアドベンチャーから、没入型バーチャルリアリティ体験へと進化し、ゲーム業界に革命的な変化をもたらす可能性を示唆しています。

Runwayの戦略的転換:ハリウッドからゲームへ

(出典:Runway

Runwayはこれまで、Amazon Primeのストリーミングシリーズ「House of David」の要素の作成や、2022年のアカデミー賞受賞作「Everything Everywhere All at Once(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)」の一部制作など、ハリウッドや映画・テレビ業界でAIツールが使用されたことで知られています。

今回のゲーム業界への進出は、Runwayが映画業界からより広範なデジタルエンターテイメント市場への戦略的な転換を意味します。同社は、AIツールを活用してゲーム開発プロセスを加速させるとともに、AIモデルをさらに最適化するためのゲームデータセットを獲得するために、複数のゲーム会社と協議を進めていると報じられています。

 

AIゲーム開発の課題と将来のトレンド

グランド・セフト・オートVI

(出典:Rockstar Games

AIのゲーム業界への応用は、いくつかの論争も巻き起こしています。一部の業界関係者は、AIが生成するコンテンツが従来の職務に影響を与える可能性を懸念しており、著作権やデータ使用に関する問題も注目されています。Runwayは過去に、YouTube動画や海賊版映画をAIトレーニングに使用したとの疑惑で論争に直面したこともあります。今後、技術革新と業界倫理のバランスをいかに取るかが、Runwayにとって重要な課題となるでしょう。

『Game Worlds』の登場は、プレイヤーとクリエイターに新たな創造ツールを提供するだけでなく、ゲーム開発におけるAIの巨大な可能性を示しています。これは、将来的に「Zork(ゾーク)」のようなテキストベースの古典から始まり、最終的には「Grand Theft Auto 6(グランド・セフト・オート6)」のような完全な3Dオープンワールドゲームへと繋がる第一歩であると見られています。

このように、Runwayの『Game Worlds』は、画像やテキストベースのプロンプトを使って、シンプルながらも奥深いゲーム体験を可能にする、注目のAIツールです。将来的にはさらに高度な機能が期待されており、クリエイターやプレイヤーにとって、新たな創造の可能性を広げるでしょう。

> Runway Game Worldsのページはこちら

※2025年7月5日現在アクセスは出来るようですが、現状はComing soon…と表示され利用できないようです。

 

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