日本の最南端 “沖縄” には、独特の方言があります。沖縄の方言、すなわち、沖縄弁のことは、 “うちなーぐち” と言われます。
「はいさい」「めんそーれ」「ちばりよー」など、有名な “うちなーぐち” を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。
今回は、沖縄在住の私が、よく聞く “うちなーぐち” の意味や、旅行で訪れた際に使える “うちなーぐち” を紹介します。
ただ、たくさんの島々から成っているのが沖縄県です。沖縄弁と言っても、沖縄本島と宮古島、八重山諸島ではまったく違った風に話されています。
沖縄を訪れるときは、その地域で話されている “うちなーぐち” を覚えて楽しみましょう!
沖縄弁の「こんにちは」
沖縄では、「こんにちは」など、挨拶をするときに「はいさい」と言います。
「はいさい」は、「おはよう」のほか、「こんばんは」「やあ」などの意味もあるので、お昼の時間帯だけでなく一日中いつでも使える言葉です。
「はいさい」は男性が使い、女性は「はいたい」と言います。挨拶をするときは間違えないようにしましょう。「はいたい」の方が柔らかい印象を受けます。
なお、沖縄でよく聞く音楽で「ハイサイおじさん」という曲があります。この曲は、少年が近所のおじさんに「ハイサイ!おじさん」と挨拶をし、話しかける内容の歌詞です。
毎年、阪神甲子園球場で開催される高校野球での、沖縄県代表校の応援曲としても有名なので、聞いたことがある人もいるかもしれません。
沖縄旅行で、現地の人に「はいさい」と言われたら、男性は「はいさい」女性は「はいたい」と返してみましょう。
ちなみに、石垣島や西表島のある “八重山諸島” では、挨拶をするときは「くよーんなーら」と言います。
また、宮古島では「こんにちは」という意味の言葉は存在せず、「やぁ」の意味に近いのが「はいー」といわれています。
沖縄県内のどのエリアに行くかによって、沖縄弁のこんにちはの表現は変わってくるので、現地の人々に合わせた挨拶をしてみると良いでしょう。
沖縄弁の「ようこそ」
那覇空港に降り立つと一番最初に目にする、“うちなーぐち” は「めんそーれ」ではないでしょうか。
「めんそーれ」は、沖縄弁のなかでも有名な言葉で、「ようこそ」「いらっしゃいませ」という意味を持ちます。
沖縄の観光地を歩けば、店先の看板などで目にすることも多いでしょう。
石垣島や西表島のある “八重山諸島” では、「おーりとーり」が「ようこそ」の意味です。石垣空港に到着すると、「おーりとーり」と書かれた看板が出迎えてくれます。
宮古島の方言での「ようこそ」「いらっしゃいませ」は、「んみゃーち」。
「ん」から始まる言葉は発音しにくいですが、宮古島ではよくあります。独特で面白いですよね!
沖縄弁の「ありがとう」
沖縄弁での「ありがとう」も、沖縄県外で話されている日本語とは全く似ていません。
沖縄本島では、「にふぇーでーびる」が「ありがとう」という意味です。
「にふぇーでーびる」の言葉の意味を知らないと、相手が感謝を伝えてくれても受け取れませんね。ぜひ覚えてほしい言葉のひとつです。
石垣島や西表島のある “八重山諸島” では、「みーふぁいゆー」、宮古島では「たんでぃがーたんでぃ」です。
沖縄本島、八重山、宮古島と、沖縄県内でも全く似ていない言葉ですが、すべて「ありがとう」という意味です。
「ありがとう」は使う機会が多い言葉なので、事前にチェックしておくと、沖縄旅行をより楽しめるでしょう。
沖縄弁の「がんばれ」
そのほか、よく聞く “うちなーぐち” のひとつである「ちばりよー」は、「がんばれ」の意味です。
応援したいときは「ちばりよー!」と言って送り出します。スポーツなどの応援のときの横断幕には、「ちばりよー沖縄!」と書かれているので、目にしたことがある人もいるかもしれません。
八重山諸島では、「ぎばりよー」と言うので「ちばりよー」と似ています。
でも、宮古島では「わいどー」と言って、またまた似ていないんです。同じ県内なのに、これほど言い方に違いが出てくるのは、面白いですよね!
沖縄弁の「東西南北」
さいごに、「東西南北」の言い方も、沖縄では独特な方言があります。
現在は普段の生活では使われることはありませんが、地名や単語に名残があるので、聞いたことのある言葉もいくつかあるかもしれません。
<沖縄弁での東西南北の言い方>
東:アガリ
西:イリ
南:ハイ/パイ/フェー
北:ニシ
東と西は、太陽の動きが元になっていて、太陽は東から上がり西に入るので、「アガリ」「イリ」になったと言われています。覚えやすいですね。
沖縄には、「東江(アガリエ)」という読み方をする地名や苗字があったり、八重山諸島の「西表島」は、「イリオモテジマ」と読むのも方言の名残です。
石垣島の空港は、「南ぬ島(パイヌシマ)石垣空港」というのですが、この読み方も方言の名残です。
八重山の言葉で、南の島のことを「パイヌシマ」と言うほか、南十字星のことを「ハイムルブシ」、八重山諸島の小浜島には「はいむるぶし」というリゾートホテルがあるのも、”南” の読み方が「ハイ/パイ」だからなんですね!
沖縄の東西南北の方言のなかで、一番ややこしいのが、”北” です。
沖縄の方言では、”北” を「ニシ」と言います。
沖縄県外では、”西” が「ニシ」という読み方なので、日本語を知っている人ほど、大混乱が発生します。
八重山諸島の波照間島に「ニシ浜」というビーチがありますが、ニシ浜は波照間島の北側に位置しています。
間違って、”西” に行かないよう、注意する必要が必要です。
あまり馴染みが無さそうな沖縄の方言の「東西南北」ですが、沖縄を訪れたらm意外と知らず知らずのうちに使っていたり聞いたりしている可能性があるので、注意して聞いてみるのも面白いでしょう。
沖縄の方言をマスターして、沖縄旅行をさらに楽しもう!
このように、沖縄弁 “うちなーぐち” は、日本人でもむずかしい、独特な言い回しが多い方言です。
独特の文化や歴史がある沖縄だからこそ、方言は外国語のように全く聞き慣れない言葉がほとんどで、失われつつある言葉もたくさんあります。
ただ、独特な言葉だからこそ、意味を理解すると沖縄で過ごす時間がもっと楽しくなり、地元の人々との距離も近くなります。
知っている沖縄の言葉を探すのも良いですし、初めて聞く沖縄の言葉の意味を調べてみるのも、おすすめです。
ぜひ、沖縄を訪問するときは、沖縄弁 “うちなーぐち” にも関心を持ってみてください!