AirTagの悪用で被害に遭わないためには?防止アプリなどの対策を紹介
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近年、Appleの紛失防止タグ「AirTag」の悪用が問題になっています。本来は持ち物を探す便利なツールであるはずが、ストーカーや窃盗などの犯罪行為に使われるケースが相次いでいるのです。
この問題を受け、AppleとGoogleは共同で悪用防止の規格を作成し、対策を進めています。しかし、個々人の自己防衛も重要です。そこで今回は、AirTagの悪用について詳しく解説し、被害に遭わないための対策を紹介します。
AirTagの悪用とはどんなもの?
AirTagの悪用には、主に以下の3種類があります。これらの悪用は、被害者のプライバシーを侵害し、深刻な被害をもたらす可能性があります。
1. AirTagをカバンや車に忍ばせストーカー行為
AirTagの悪用で最も一般的なのは、ストーキングへの応用です。ターゲットのカバンや車などにAirTagを忍ばせ、追跡するという手口を指します。
アメリカではAirTagを悪用したストーカー行為の被害事例が数多く報告されています。また日本でも、40代の男性会社員が同僚女性の車にAirTagを張り付けて監視し、「昨日、病院にいたよね」と声をかける事件などが発生しています。
2. 警察の捜査車両に仕込まれていたことも
2022年5月、愛知県豊田警察署の駐車場に止めてあった捜査車両1台に、AirTagが取りつけられているのが発見されました。AirTagは車両後部のマフラー部分に、磁石で取りつけるタイプのプラスチック製の箱の中に入れられており、捜査員が車に乗り込もうとした際に発見されました。
この事件は、AirTagが捜査活動の妨害、または捜査員の安全を脅かすために悪用された可能性があることを示しています。反社会的勢力による犯行の可能性も疑われています。
3. AirTagの悪用は殺人事件にも発展
2022年には、アメリカでAirTagを悪用した殺人事件が発生しました。交際する男性の浮気を疑った女性が、男性の車にAirTagを仕掛けてストーキング。男性はパブに立ち寄っており、男性の後を追った女性は別の女性との浮気現場に遭遇しました。そして口論がヒートアップした結果、女性は車で男性をひき殺したとのことです。
そのほか、同年には男性が元恋人である女性の車にAirTagを仕込んで追跡し、銃撃するという事件も発生しています。
4.自動車の窃盗に悪用される懸念も
AirTagの追跡能力は、自動車(特に高級車)の窃盗にも悪用される可能性が議論されています。高級車にAirTagを仕込んで現在地や普段の駐車場所などを特定し、タイミングを見計らって盗み出すというような手口が想定されます。他にも、高級車の持ち主の自宅住所をAirTagを使って特定し、空き巣に入って金目のものを盗むということもあり得るでしょう。
他方、AirTagは窃盗犯を特定するのに利用できるという側面もあります。2023年には、置き配の荷物を何度も盗まれていた名古屋市在住の男性が、AirTagを仕込んだダミーの荷物をわざと盗ませ、犯人を逮捕したということがありました。しかし、アメリカでは同様にAirTagを使って車の盗難犯を突き止めた60代女性が犯人に射殺されるという事件も発生しており、自力で犯人を特定するのは危険で推奨されない行為だといえます。
AirTagの悪用を検知するアプリを入れる対策がおすすめ
AirTagの悪用を検知するアプリを入れることは、もっとも効果的な対策の一つです。これらのアプリは、周囲にあるAirTagを検知し、通知してくれる機能を備えています。
代表的なアプリ
Androidユーザーは、Appleが提供する「トラッカー検出」アプリをインストールすることをおすすめします。このアプリは、AirTag以外にも、Appleの「探す」ネットワークに対応しているトラッカーを検知することが可能です。どちらのアプリも、無料で利用できます。
なお、Androidのバージョンによっては、デバイスに標準搭載されている「不明なトラッカーを検出する」機能でも、AirTagの検出が可能です。同様の機能は、iOS17.5以降のiPhoneにも搭載されています。
AirTagの悪用に気づいた場合の対処法
以下では、AirTagの悪用に気づいた場合に取るべき対処法を紹介します。カバンの中に仕込まれているAirTagを見つけたり、スマートフォンで不明なトラッカーを検出したりしたら、以下のように対応してください。
1. AirTagを見つける
AirTagの悪用を止めるには、電池を抜いて機能停止させることが重要です。スマートフォンに不明なトラッカー検出の通知が来たら、まずは車などに仕込まれたAirTagを見つけましょう。
AirTagの捜索には、音を鳴らす機能が有効です。iOS 17.5以降を搭載したiPhoneの場合、「迷惑な追跡の通知」をタップして「続ける」>「サウンドを再生」をタップすることで仕込まれたAirTagから音を鳴らせます。
Androidの「不明なトラッカーを検出する」機能や「トラッカー検出」アプリでも、同様に通知から「音を鳴らす」をタップすることでAirTagを鳴らすことが可能です。
2. AirTagを持って自宅や職場から離れる
AirTagを見つけたら、電池を抜く前にAirTagとともに自宅や職場から離れることが肝心です。もし自宅や職場でAirTagの電池を抜いてしまうと、最終発信地点からストーカーなどに住所がばれてしまう恐れがあります。
必ず自宅や職場から十分に離れた場所、自らの居所を犯人に悟られないような場所まで移動してから、次のステップであるAirTagの機能停止へと進みましょう。
なお、もしすでに自宅や職場を特定されていた場合、AirTagのほかに監視カメラや盗聴器などがあわせて仕掛けられている可能性もあります。念のため、それらが仕掛けられていないかも確認し、仕掛けられていれば速やかに警察へ相談すべきです。
3. 電池を抜いてAirTagの機能を止める
AirTagの機能を無効にする方法ですが、ステンレスのカバーを押し下げて反時計回りに回転させて外し、電池を抜き取るだけで完了です。電池を抜いたら最後、AirTagを悪用した追跡はできなくなります。
なお、水没させて故障させるという方法は、AirTagに耐水性があるため必ずしも有効ではありません。電池を抜くほうが簡単かつ確実です。
4. 警察に通報する
AirTagの無効化が完了したら、すぐに警察に通報しましょう。ストーカーや窃盗の被害の恐れがあるためです。AirTagを見つけた場所や記録した状況などを伝えます。
警察に通報する際には、以下の点を伝えましょう。
- AirTagを見つけた場所
- AirTagのシリアルナンバー
- いつAirTagの存在に気づいたのか
- そのほか、関連する情報
5. 証拠を収集する
AirTagの写真や動画、スクリーンショットなどを証拠として収集しておきましょう。また、AirTagを見つけた場所や状況などを記録したメモなども証拠となります。
6. 専門家に相談する
必要に応じて、弁護士やストーカー被害相談窓口などの専門家に相談するのも有効です。専門家からのアドバイスを受けることで、適切な対応策を講じることができます。
AirTagを悪用する犯罪に備えよう
AirTagはストーカーや窃盗に悪用される恐れがあるため、被害防止のための対策を講じるべきです。iPhoneにもAndroidにも不明なトラッカーを検出する機能が搭載されているため、オンにしておくことをおすすめします。トラッカー検出の機能が搭載されていないバージョンの場合は、別途トラッカー検出のためのアプリを入れましょう。
なお、悪用されたAirTagを見つけた際は、電池を抜いて機能を無効化する前に、自宅や職場から十分に離れることも大切です。以上を参考に、AirTagの悪用によるトラブルに巻き込まれないよう用心しましょう。