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全米熱狂!サバンナ・バナナズの「バナナボール」とは?常識破りのルール、人気の秘密、チケット入手方法

サバンナ・バナナズ(The Savannah Bananas)

アメリカのスポーツ界で、今、最も熱い注目を集めているチームをご存知でしょうか。彼らはMLB(メジャーリーグベースボール)に所属していません。にもかかわらず、ヤンキースタジアムやフェンウェイ・パークといったMLBの巨大な球場を連日満員にし、チケットは高額で転売されるほどの争奪戦となっています。

そのチームの名は「サバンナ・バナナズ(The Savannah Bananas)」。

彼らが提供するのは、単なる野球の試合ではありません。それは、ダンスやアクロバット、そして常識を覆すルールで構成された、まさに「スポーツ界最高のショー」です。なぜこのチームがこれほどまでに人気を集め、伝統的な野球ファンだけでなく、世界中のエンターテイメントファンを魅了しているのか。その秘密と、彼らが創り出した独自の試合形式「バナナボール」について、詳しくご紹介します。

サバンナ・バナナズとは?野球界の常識を覆すエンタメ集団

サバンナ・バナナズ

(出典:Savannah Bananas

サバンナ・バナナズは、アメリカ合衆国ジョージア州サバンナに拠点を置くエキシビション・ベースボールチームです。彼らは「野球を楽しくするために存在する」というモットーを掲げ、ショーマンシップ、ファン参加、そしてスピーディなゲーム展開を重視した「バナナボール」という独自の野球形式で試合を行います。

彼らはしばしば、バスケットボール界の「ハーレム・グローブトロッターズ」になぞらえられますが、バナナズの試合は筋書きのない真剣勝負であるという点が特徴です。

チームの歴史と「エンターテイメントビジネス」への転換

サバンナ・バナナズは2016年に創設されました。2022年までは、夏期大学野球チームとしてコースタル・プレイン・リーグ(CPL)に所属し、3度もリーグ優勝(2016年、2021年、2022年)を果たしていました。

転機となったのは、オーナーであるジェシー・コール氏の哲学です。

コール氏は、自身の野球キャリアが肩の怪我で突如終わりを告げた後、チーム運営に携わる中で、「自分が退屈なら、他の観客もきっと退屈している」という事実に気づきました。そして、彼はウォルト・ディズニーやP.T.バーナムといった偉大なショーマンたちの書籍を読み漁り、「私たちは野球ビジネスではなく、エンターテイメントビジネスを営んでいる」と確信します。

彼は、それまで運営していた別のカレッジリーグのチーム(ガストニア・グリズリーズ)で、振り付けされたダンスや、おばあちゃんの美人コンテスト、ドーナツバーガーといった型破りなプロモーションを導入し、ファンを200人から2,000人へと激増させることに成功しました。

サバンナ・バナナズを設立する際、コール夫妻は貯金を使い果たし、180万ドルもの負債を抱え、市からの期待も薄い中でスタートしました。チーム名を決める際も、あえて「サバンナ・バナナズ」というクレイジーでユニークな名前を選び、世間の注目を集めることに成功します。

2018年からはCPLのシーズン外で独自の「バナナボール」形式でのエキシビションを試行。そして2022年シーズンをもって、CPLの大学野球チームとしての活動を完全に終了し、バナナボールのエキシビション専門チームとして全国的なツアーを行う体制に完全に移行しました。

爆発的な人気の秘密!なぜサバンナ・バナナズは全米を熱狂させるのか

サバンナ・バナナズの観客が盛り上がる様子

(出典:Savannah Bananas

サバンナ・バナナズが爆発的な人気を誇る背景には、「ファン・ファースト」という徹底した哲学に基づいたエンターテイメントがあります。

試合前から始まる「サーカス」のようなショー

バナナズの試合は、単なるスポーツイベントを超越しています。

  • 非日常的なパフォーマンス
    選手たちはイニング間や打席に向かう際などにダンスルーティンやコメディスキット、振り付けされたリップシンクパフォーマンスを披露します。
  • ユニークなコーチ陣と応援団
    ブレイクダンスをする一塁ベースコーチ、おばあちゃんで構成されたダンスチーム「バナナ・ナナズ」、男性チアリーディングチーム「マン・ナナズ」など、奇想天外なメンバーが会場を盛り上げます。
  • ファンとの交流
    試合開始の何時間も前から、選手たちはファンとダンスをしたり、ハイタッチをしたりと積極的に交流します。
  • 竹馬に乗った選手
    身長3メートルを超える竹馬に乗った選手(ダコタ・アルブリットン)が実際に打席に立ち、フィールディングや投球を行うなど、前代未聞の光景が繰り広げられます。

コール氏は、試合開始前に50近いエンターテイメント要素を計画しており、観客のあらゆる層(野球ファンかどうかにかかわらず)を楽しませることを意図しています。

SNSでの圧倒的な影響力とチケット争奪戦

バナナズは、SNS、特にTikTokで絶大な影響力を持っています。2023年時点で、チームのTikTokフォロワー数は600万件を超えており、これはMLBのどのチームよりも多い数です。2025年には1050万フォロワーを超え、MLBの公式アカウントのフォロワー数も上回っています。

この爆発的な人気により、チケットは超がつくほどのプラチナチケットとなっています。

  • 連日のソールドアウト
    サバンナでのホームゲームだけでなく、2022年以降のワールドツアーの全試合がソールドアウトしています。
  • MLBスタジアムを席巻
    2024年にはフェンウェイ・パークなど6つのMLB球場で試合を開催し、45,000人収容のフィラデルフィア・フィリーズのホームスタジアムも満員にしました。2025年にはさらに拡大し、17のMLBスタジアムと3つのNFLスタジアムで試合を行う予定で、65,000人収容のNFLスタジアムもすでにソールドアウトしています。
  • ウェイティングリストの規模
    2023年のツアー発表後、わずか1週間でチケットの35%が売れ、ウェイティングリストは55万人に達しました

バナナズのチケットは、ヤンキースタジアムでの試合では、転売価格が1,000ドルにも達し、ニューヨーク・ヤンキースの試合の安い席の2倍以上の価格で取引されることもあります。

バナナボールとは?野球と何が違う?ファン目線の常識破りルール

バナナボール(Banana Ball)

(出典:Savannah Bananas

バナナボール(Banana Ball)は、ファンが途中で飽きて帰ってしまうという問題意識から、オーナーのコール氏が「野球のノーマルなルール全てに対して、真逆のルール」を考案することから生まれました。

この独自の試合形式は、試合のスピードアップ最大限のエンターテイメントの創出に焦点を当てています。

試合時間と勝敗に関するルール

2時間の時間制限
通常の野球に時間制限はありませんが、バナナボールは2時間以内に試合を終わらせるルールです。時計がゼロになった時点で新しいイニングは開始しません。コール氏がチーム運営を始めた当初、観客が帰り始めるのが「約2時間」だったという観察結果に基づいています。

得点制ではなくイニングポイント制
勝敗は総得点ではなく、獲得したイニングポイントの数で決まります。 各イニングでより多くの得点を挙げたチームが1ポイントを獲得します。最終イニングのみ、得点がそのままポイントとして計上されます。これにより、点差が開いた試合でも各イニングで逆転のチャンスが生まれ、試合が単調になるのを防ぎます。

ショーダウン・タイブレーカー
2時間の時間制限後も同点の場合、延長戦の代わりにショーダウン・タイブレーカーと呼ばれる究極の決闘が行われます。

  • 第1ラウンド
    投手、捕手、そして野手1人に対して打者1人が対戦します。打者はアウトになるかホームインするかで決着し、得点できれば攻撃側の勝利です。
  • 第2ラウンド
    野手がゼロになり、投手と捕手のみで守ります。
  • 第3ラウンド
    満塁でスタートします。このラウンドでは全ての得点がポイントとして計上されます。

観客を盛り上げる「ぶっ飛び」ルール

バント禁止と退場
バントは「つまらない」と見なされるため完全に禁止されています。もし選手がバントを試みた場合、その場で退場処分が宣告されます。コール氏は、野球はバットを強く振って何か特別なことを起こすべきだと考えています。

四球は「ボールフォースプリント」
四球(フォアボール)は「アスリートらしくない」と見なされるため存在しません。投手が4球目のボールを投げた場合、それは「ボールフォースプリント」となります。 打者は一塁へ全力疾走でスタートし、野手全員(投手を除く)がボールに触れるまで、打者はどの塁まででも安全に進塁することができます。これにより、四球が一転して最もエキサイティングなプレーの一つになります。

暴投・パスボールで一塁盗塁可能
打者は、ワイルドピッチやパスボールなどの捕逸が発生した場合、打席の途中であっても一塁への盗塁を試みることができます。

ファンが捕球すればアウト
ファウルボールが観客席に飛んできて、ファンがそれをキャッチした場合、打者はアウトになります。これにより、観客は常に試合に集中し、文字通り試合展開に参加することになります。

打席を外すとストライク
打者は打席(バッターボックス)から足を外すことができません。外した場合、自動的にストライクがコールされます。これにより、打者が間を取って試合がダラダラと長引くことを防ぎます。また、コーチや野手がマウンドを訪れることも禁止されています。

ゴールデン・バッター・ルール
各チームは試合中一度だけ、ラインナップ中のどの打者でも、ゲームの重要な局面で代打として起用することができます。これにより、最高の投手と最高の打者による対決を確実に演出できます。

ファンによるチャレンジ制度
コーチが審判の判定にチャレンジできるだけでなく、ファン代表もフィールドの判定にチャレンジする機会が与えられます。

日本人選手も参加!サバンナ・バナナズの注目選手

バナナズのロースターは、多くが元マイナーリーグやカレッジベースボールの選手たちで構成されています。彼らはメジャーリーグの夢が潰えた後、「バナナボール」で第二の野球人生を送っています。ヘッドコーチのタイラー・ギラム氏は、才能があり、タフで、自己犠牲的で外向的で、カラオケを恐れない選手を求めていると言います。

杉谷拳士選手(Kenshi Sugiya)

元プロ野球選手の杉谷拳士選手は、バナナボールの試合にゲストとして参加したことがあります。

杉谷選手は、日本プロ野球(NPB)で10年以上プレーしたトップレベルの選手であり、2023年にバナナボールにデビューしました。2025年3月15日にNFLレイモンド・ジェームス・スタジアムで開催された試合にもゲスト参加し、打席入場時には「きつねダンス」を披露してアメリカの観客を歓喜させました。

その他の主要選手

  • ダコタ・アルブリットン(Dakota Albritton)
    通称「Stilts(スティルツ)」。竹馬に乗り、身長10フィート9インチ(約3.3メートル)という「世界一背の高い投手」として有名です。竹馬に乗って打席に立ち、投球も行います。

  • ジャクソン・オルソン(Jackson Olson)
    内野手(INF)。彼の夢はもともとヤンキースのピンストライプを着ることでしたが、今はバナナズで最も人気のある選手の一人です。リップシンクや振り付けされたパフォーマンスで観客を魅了します。

  • ロバート・アンソニー・クルーズ(Robert Anthony Cruz / RAC)
    外野手(OF)。元ナショナルズのマイナー選手で、彼のホームランは試合のハイライトになることが多いです。

  • ダン・オーバースト(Dan Oberst)
    ユーティリティ(UTL)選手。バナナボールでのキャリア初期にサヨナラ勝ちを決めるヒットを放つなど、重要な役割を果たしています。

  • 女性選手
    元OUソフトボールのスーパースター、ジョセリン・アロ(Jocelyn Alo)は、2023年に初の女性選手として打席に立ち、2024年には1か月の正式契約を結びました。2025年にはさらに著名な女性プロ野球選手であるケルシー・ウィットモア(Kelsie Whitmore)もチームに加わっています。

チケット争奪戦!サバンナ・バナナズのチケットを入手する方法

サバンナ・バナナズのチケットを入手するのは非常に困難です。彼らは伝統的なチケット販売モデルではなく、「ゴールデン・チケット」のような、抽選システムを採用しています。

入手の基本は「チケット抽選(ロッタリー)」

チケットの主な入手方法は、抽選(ロッタリー)システムへの登録です。これは、チケットブローカーやボットによる買い占めを防ぎ、チケットを商品ではなく「勝利の賞品」として位置づけるためです。

ファンは、ツアーで訪れる都市ごとに設けられた登録期間内に抽選に申し込む必要があります。この抽選は、試合が行われる約2ヶ月前にランダムに行われます。

  • 競争率の高さ
    ウェイティングリストは数十万人規模に達しており、当選確率は極めて低いです。
  • 料金体系
    チケット価格はファン・ファーストの哲学に基づき、低価格(最大60ドル)に抑えられています。さらに、チケット価格には全ての税金、手数料、そして飲食物(オールインクルーシブ)が含まれているのが特徴です。

申し込みと情報収集

チケットへの関心を示すためのリスト(Ticket Interest List)に登録することが、抽選に申し込むための第一歩となります。

チケット販売情報や抽選への申し込み方法(リンクなど)は、公式サイト公式SNS、またはツアーを報じる地元のニュースサイトなどで確認できます。

バナナボールは日本でも見られる?今後のワールドツアーの展望

Banana Ball World Tour

(出典:Savannah Bananas

サバンナ・バナナズの活動は、年々その規模と影響力を拡大しています。

国際的な広がり

サバンナ・バナナズは、2023年のワールドツアーで、オーストラリアのチーム「オージー・ドロップベアズ」と対戦しました。これはバナナズにとって初の国際的な対戦相手となりました。

放送・配信の巨大なネットワーク

バナナズは、その試合をファンがアクセスしやすいように、YouTubeや各種SNSで試合映像を無料で公開し続けています

同時に、テレビ放送も拡大しており、その人気はアメリカの主要なスポーツチャンネルに認められています。

  • ESPNとの提携: 2025年には、ESPNと10試合の放送契約を結んでおり、ESPNまたはESPN2で放送されるほか、Disney+やESPN+でも同時配信される予定です。
  • その他の放送局: 2024年にはStadiumやBally Live、TNT SportsのTruTVなど、多くのプラットフォームで放送が行われました。2025年には、The CWThe Roku Channelといった地上波やストリーミングサービスとも単発の放送契約を結び、放送ネットワークをさらに広げています。

オーナーのジェシー・コール氏は、有料配信プラットフォームやテレビ放送を行いつつも、独占放映権は絶対に与えず、ファンが必ず無料で視聴できるようにしたいという意向を貫いています。

ワールドツアーの今後の展望

バナナズは、ワールドツアーの規模を急速に拡大しています。

  • 2023年: 80試合以上が開催され、50万人以上の観客を動員しました。
  • 2025年: 40都市、17のMLBスタジアム3つのNFLスタジアムでの試合開催が発表されており、その人気は野球の枠を超え、アメリカのスポーツエンターテイメント界のメインストリームとなっています。2025年4月には、クレムソン大学メモリアルスタジアム(フットボールスタジアム)で81,000席を完売する記録を打ち立てました。

オーナーは、野球に「クラブリーグ」を創設する計画も発表しており、バナナボールの試合形式はさらに拡大する可能性があります。

> バナナボール(Banana Ball)公式サイトはこちら

> バナナボール(Banana Ball)公式Youtubeチャンネルはこちら

野球の常識を変える「ファン・ファースト」の未来

Banana Ball試合の様子

(出典:Savannah Bananas

サバンナ・バナナズが提示する「バナナボール」は、現代のスポーツ観戦に対するニーズを見事に捉えています。

アメリカでは野球の人気低迷が叫ばれる中、サバンナ・バナナズは、観客が退屈する要因(試合の長さ、マウンド訪問、打者の打席外しなど)を徹底的に排除し、「客目線」でルールを再構築しました。その結果、彼らは「純粋で混じりけのないエンターテイメント」を求める観客を熱狂させ、「野球」という枠を超えた最高のショーを作り上げました。

オーナーのコール氏は、常に「人々を最優先すること」と「人々を大切にすること」が最も重要だと感じており、そのファン・ファーストの姿勢が、観客が何時間も前から集まり、チケットが争奪戦になるほどの熱狂を生んでいます。

バナナボールは、もはや単なるマイナーな野球の亜種ではありません。MLB球場やNFLスタジアムを満員にし、SNSで圧倒的なリーチを持つ彼らは、伝統的な野球ファン以外にもリーチし、「野球に再び興味を持ってもらう良いきっかけ」を提供しています。

既存の野球ルールに囚われない、ファンにとって最高の体験を追求する彼らのアプローチは、今後、スポーツエンターテイメントのあり方そのものに影響を与えるかもしれません。この革新的なバナナボールは、伝統的な野球を凌駕し、「野球よりもメジャーになるかも」しれないほどの可能性を秘めています。

> サバンナ・バナナズ(Savannah Bananas)公式サイトはこちら

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