固定電話は2035年に終了しない!銅回線廃止の真実と安心移行ガイド
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							固定電話が廃止になるというニュースを耳にし、自宅や職場の電話が使えなくなるのではないかと不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。特に、長年使ってきた電話番号や、災害時の安心材料として固定電話を維持してきた方にとって、この「廃止」という言葉は大きな懸念材料です。
しかし、結論からお伝えすると、NTTの固定電話サービス自体が完全に使えなくなるわけではありません。現在起こっているのは、明治時代から日本の通信を支えてきた銅線(メタル回線)の設備が、老朽化と時代の変化により限界を迎え、より効率的なネットワークへと切り替わるという歴史的な転換点なのです。
この変化を正しく理解しておかないと、無用な不安から不必要な契約を結ばされたり、悪質な詐欺の被害に遭うリスクがあります。
この記事では、NTTがメタル回線を廃止する背景から、既存の固定電話が今後どうなるのか、そして光回線や新しいサービスへ移行するために何をすべきかまで、プロの視点から詳しく解説します。この記事を最後までお読みいただくことで、メタル回線終了の正確な知識を身につけ、安心して次の一歩を踏み出すことができるでしょう。
固定電話とメタル回線:基礎知識

まずは、日本の固定電話が長年使用してきた「メタル回線」の基本的な仕組みについて解説します。
メタル回線(銅線)とは?
メタル回線とは、その名の通り銅線を用いた従来の固定電話回線サービスのことです。電話で話す音声は、そのまま電気信号として銅線を伝わり、遠くの相手に届くアナログな仕組みで成り立っていました。
長年にわたり、日本全国に敷設され、市外局番つきの固定電話番号(0ABJ番号)を提供する日本の通信インフラの基盤となってきたのが、このメタル回線です。特に、メタル回線を使ったアナログ電話回線には、電話線自体から電力を供給されるという特徴がありました。
<メタル回線の主な特徴>
- 銅線ケーブルを使用し、音声を電気信号で伝送する。
 - 災害時の停電時でも電話線からの電力供給で通話可能という大きな利点があった。
 - 長距離間や電話局から離れた場所で使用すると、伝送の減衰が大きく、音声品質の低下が起きるリスクがあった。
 
これに対し、現在主流となっている光回線(光ファイバー)は、光を点滅させることでデータを通信する仕組みです。これにより、大容量のデータを高速で、かつ安定した品質で伝達できるようになりました。
2024年1月からの「メタルIP電話」への移行
NTT東日本およびNTT西日本では、設備の老朽化による維持限界や、携帯電話・スマートフォンの普及による固定電話の加入数の減少といった背景を受け、2024年1月より、固定電話回線(加入電話)をIP網(インターネット接続で音声通話ができるネットワーク)に切り替えました。
これは、従来の「公衆交換電話網(PSTN)」の設備維持が限界を迎えるためです。しかし、この時点では、NTT基地局から先の中継網はIP化されたものの、ご自宅に引き込まれている線自体は、従来通りメタル線(銅線)が流用されています。この状態のサービスが「メタルIP電話」と呼ばれています。
NTT固定電話の廃止はいつ?メタル回線終了の正確なスケジュール
NTTが正式に目指している、メタル回線を利用した固定電話サービス(加入電話)の完全終了の時期は、2035年頃までとされています。
この決定の背景には、主に以下の深刻な問題があります。
- 設備の老朽化と維持限界
敷設から数十年が経過したメタル設備は保守が困難となっており、維持するためのコストが増大しています。部品の製造も終了しており、手持ちの在庫でなんとか対応している状況で、2035年度以降は在庫が底をつく可能性が指摘されています。 - 採算性の悪化
固定電話の契約数は、1997年のピーク時約6000万回線から、現在では約1000万回線程度にまで激減しています。通話時間に至っては、2000年度比で約96%も減少しました。これにより、NTTが抱えるメタル回線の赤字額は、年間約600億円に達しています。使う人が減る一方で、設備の維持コストは増えるという、事業継続が難しい状況にあるのです。 
NTTは、設備の老朽化が進んでいる一部エリアや、被災・電柱移転などでメタル設備の再敷設が必要となるエリアから、先行的に代替サービスへの移行対応を実施していく方針です。
サービス終了を前に料金が値上げされる
メタル回線サービスの終了が近づいているにもかかわらず、NTTは、老朽化したメタル設備の保守や災害対策に必要な人材育成といった課題に対応するためとして、メタル回線(加入電話)の基本料金を値上げすると発表しました。
この値上げは2026年4月1日からの利用分から適用が予定されています。
- 住宅用プラン
月額220円の値上げ(月額1,900円/2,090円など、プランによって異なる場合があります)。 - 事務用プラン
月額330円の値上げ(月額2,800円など、プランによって異なる場合があります)。 
利用者からは「終了するサービスなのに値上げするのか」という批判的な声も上がっています。メタル回線を継続利用する場合、2035年まで約9年間は値上げされた料金を払い続けることになります。
現在の電話は継続利用可能?手続きは必要?料金はどうなる?
NTTがメタル回線の廃止を進めても、固定電話回線は引き続き利用可能です。重要なのは、NTT基地局内のネットワークが変わるだけで、利用者が電話を使えなくなるわけではないという点です。
今使っている電話機や電話番号はそのまま使える
現在ご利用中の固定電話機や、長年使ってきた市外局番つきの電話番号(0ABJ番号)は、代替サービスに移行した後も原則としてそのまま使い続けることができます。
ただし、ISDN対応機器やG4 FAXなど、一部の電話機や機器は利用できなくなる可能性があるため、確認が必要です。
移行には利用者からの申し込みと工事が必要
メタル回線から代替サービスへ移行する場合、NTTは工事費などの初期費用を無償としていますが、この移行は自動で行われるものではなく、利用者自身がNTTに申し込む必要があります。
移行の選択肢としてNTTが提供しているのは、主に以下の3種類です。
| 代替サービス名 | 回線種類 | メリット | デメリット | 
|---|---|---|---|
| 光回線電話 | 光回線(インターネット機能なし) | 通話専用でインターネット契約が不要、月額料金は現行と同額を検討。 | 導入に工事が必要。停電時は使えない。 | 
| ひかり電話 | 光回線(フレッツ光などとセット) | 高速なインターネット利用が可能。 | インターネット機能があるため月額料金は同額ではない(割引検討中)。導入に工事が必要。停電時は使えない。 | 
| ワイヤレス固定電話 | モバイル回線(携帯電波) | 工事不要。月額料金は現行と同額を検討。0ABJ番号利用可。 | 停電時は使えない。緊急通報時は携帯番号が通知される点に注意。 | 
NTTが提供する代替サービスに移行する場合、契約料や代表的な工事費などの初期費用は無償となります。ただし、これはお客さま希望による有派遣工事など、工事の内容によっては対象外となる場合があるため、移行手続きの際に詳細を確認することが重要です。
NTT以外の選択肢:ワイヤレス固定電話の利用体験

(出典:PR TIMES)
NTT以外の大手携帯電話会社も、モバイル回線(携帯電波)を使ったワイヤレス固定電話サービスを提供しています。
例えばドコモのhomeでんわ(ワイヤレス固定電話)は、基地局までは光回線ですが、そこから先は無線を利用し、自宅内での開通工事が不要な点が大きな利点です。
本体はコンパクトで軽い(約184g)。機器を設置してコンセントに挿すだけで利用でき、通話品質は「いわゆる普通の電話という印象」です。
ただし、このサービスは申告された設置場所住所での利用が必須であり、無線だからといって外出先に持ち出すことはできません。また、同時通話は1チャネル1番号のみに制限されるため、複数回線が必要な法人などでは利用しにくい場合があります。
最も注意すべき点として、停電時は電力が供給されず、利用できません。また、110番や119番といった緊急通報時には、固定電話の番号ではなく裏で持っている携帯電話番号が通知されてしまうため、機器に付属のシールなどを貼って通報先に伝える必要があります。
電話加入権の資産価値はゼロに?売却や返金はできるのか

かつて固定電話を開通させるには、電話加入権(施設設置負担金)という権利を購入する必要がありました。その費用は最大で12万円にものぼり、約7万円を支払って権利を「ゲットした」という記憶をお持ちの方も多いでしょう。
この加入権は、固定電話を引くための権利として扱われ、一時は資産として認識され、転売市場も存在していたほどです。
現在は実質無価値となり、返金はされない
しかし、現在、電話加入権は実質無料となり、誰でも簡単に固定電話を引ける時代になりました。光回線を使ったひかり電話のようなIP電話サービスでは、そもそも加入権自体が不要です。
かつて高額な費用を払って加入権を購入した人々にとっては、その資産価値が完全に失われたことは大きな衝撃です。しかも、加入電話の基本料金は月額約1,600円以上(2026年4月以降はさらに値上げ)かかるため、価値のないものに費用を払い続けるという、資産どころか負債となっている状態です。
残念ながら、この電話加入権に対する返金措置は、NTTから行われることはありません。NTTは、加入権の代わりに月額料金の安い「ライトプラン」などを提供し、初期費用を抑える形で利用者に還元してきたという整理をしているためです。
銅回線(メタル回線)終了で生まれる利用者・法人双方のメリット

メタル回線(銅線)の廃止は、通信インフラの必然的な世代交代であり、移行に伴い、利用者や法人にとって多くのメリットがもたらされます。
1. 通信の効率化とコスト削減
メタル回線から光回線やIP網へ移行することで、通信がデジタルデータに変換され、より効率的かつ高速に情報を伝達できるようになります。
特に光電話などのサービスへ移行した場合、以下のメリットがあります。
- 電話加入権が不要
従来のように高額な加入権を購入する必要がありません。 - 基本料金や通話料金の削減
アナログ回線に比べて、月額基本料金や通話料金が安く設定されている場合が多く、コスト削減につながります。 
2. ネットワークの更なる発展と将来性
IP網への移行は、通信の高速化や効率化といったメリットをもたらし、将来的なネットワークの発展に不可欠です。
光回線は、電話局からの距離や周辺環境に左右されず、安定した通信を実現できるため、通話品質の向上にもつながります。仕事で利用する場合、クリアな音質での通話は相手に好印象を与えることにもつながるでしょう。
失われる最大の強み:停電時の通信手段
一方で、メタル回線が持っていた大きな強みである「停電時にも使える」というフェールセーフ機能は失われます。
昔ながらの黒電話は、電話線自体から電力が供給されていたため、東日本大震災のような大規模な停電時でも通信手段として機能した事例が報告されています。
光電話やワイヤレス固定電話といった代替サービスは、ルーターや機器が電力供給を必要とするため、停電時には利用できなくなります。災害時にも通話を確保したい場合は、無停電電源装置(UPS)を設置するなどの対策を検討する必要があります。
固定電話廃止に便乗した悪質な勧誘・詐欺の手口と対策
メタル回線廃止のニュースに便乗して、嘘の勧誘や詐欺が多発しています。NTTも利用者に対して、詐欺被害に十分注意するよう呼びかけています。
多発する詐欺・悪質勧誘の具体的な手口
悪質な業者や代理店が使う典型的な手口は以下の通りです。
手口1:「固定電話回線が使えなくなる」と不安を煽る
最も多い手口は、「NTTの固定電話回線が使えなくなるから、今すぐIP電話に切り替えましょう」と不安を煽るものです。これは事実ではありません。NTT基地局内のネットワークが変わるだけで、利用者が電話を使えなくなるわけではないためです。
手口2:不必要な工事や高額な機器を売りつける
サービスが使えなくなると信じ込ませた上で、以下のような不必要な契約や商品の購入を促してきます。
- 「切り替えの工事が必要だ」
実際には、多くの代替サービスへの移行において工事は不要であったり、NTTの代替サービスへの移行であれば初期費用は無償化されています。 - 「IP電話専用の電話機を販売できる」
現在利用中の電話機は、原則そのまま利用可能です。高額な電話機を購入する必要はありません。 
手口3:他社の光回線サービスへ誘導する
悪質な代理店は、「固定電話が終了するからサービス切り替えが必要」という事実(メタル線終了の事実)を切り出し、話がうやむやなうちに他社の光回線サービスへの契約を勧誘してくることがよくあります。
インターネット接続が不要な利用者に対して、高額な販売手数料が得られる他社の光回線サービスを無理やり契約させようとするケースがこれにあたります。インターネットが不要なのに、不必要な機能を理由に月額料金が高くなる契約を結ぶことは避けるべきです。
被害に遭わないための対策と注意点
- 「固定電話が使えなくなる」という話は信じない
NTTの固定電話サービスは継続します。 - NTTからの正式な通知は書面で確認する
NTTからエリアごとのサービス終了時期の連絡は、書面などでお知らせされる予定です。電話だけで切り替えを急かす話には応じないでください。 - 不審な勧誘には応じず、NTTに相談する
不審な電話や訪問があった場合は、その場で契約せず、NTTの電話移行相談センタ(0120-279-116など)に問い合わせるようにしましょう。 
移行は利用者自身からの申し込みと工事が必要であり、勝手に工事が始まることはありません。この点を理解しているだけで、詐欺を未然に防ぐことができます。
法人利用の固定電話番号(0ABJ番号)はどうなる?代替手段の比較

法人にとって、長年使用してきた市外局番つきの固定電話番号(0ABJ番号)は、信用性や信頼性を保つ上で非常に重要です。メタル回線の廃止は法人の通信環境にも大きな影響を与えますが、適切な代替サービスを選択することで、0ABJ番号を維持しつつ、業務効率を向上させることが可能です。
法人への移行提案は、端末更改のタイミングなどを踏まえてNTTから実施される予定です。
法人におすすめの代替サービス3種類
メタル回線廃止に伴う代替サービスとして、企業には以下の3つが主に推奨されます。
1. クラウドPBX
PBX(構内交換機)をクラウド上のサーバーで行う電話方式です。
- メリット
内線・発信制御・IVR(自動音声応答)・録音・CRM連携など、豊富な高度制御機能を搭載できます。初期設備コストを抑えられ、将来的な拡張性にも優れています。市外局番(0ABJ番号)や050番号を利用でき、外出先での利用も可能です。 - デメリット
コストは光電話より中程度で、利用料と通話料がかかります。 
2. 光電話(ひかり電話)
光回線とセットで提供されるIP通話サービスです。
- メリット
従来の固定電話番号(0ABJ番号)を継続利用できるケースが多く、固定電話からの移行が比較的スムーズです。通話品質が高いです。 - デメリット
PBX的な高度制御機能は限定的です。導入には光回線の工事費や月額基本料がかかります。 
3. 050 IP電話アプリ
スマートフォンやPCにアプリを導入し、050番号で発着信できる方式です。
- メリット
物理的な電話機が不要で、導入が簡単かつ運用コストが最も低い。外出先や在宅勤務でも携帯端末だけで業務通話が可能。 - デメリット
市外局番(0ABJ番号)は利用できません。通話品質はインターネット環境に依存するため不安定になりやすい。 
| 項目 | クラウドPBX | 光電話 | 050 IP電話アプリ | 
|---|---|---|---|
| 初期コスト | 中(設備負荷が低い) | 高(回線工事費、初期設定費用など) | 低(アプリ導入のみ) | 
| 市外局番(0ABJ)利用 | 〇 | 〇 | ✕ | 
| 既存番号継続 | 〇 | 〇 | ✕ | 
| 機能性 | 豊富(IVR、録音、CRM連携など) | 限定的 | 簡易機能のみ | 
| 通話品質 | 高(環境次第) | 高 | ✕(ネット環境依存) | 
| 外出利用 | 〇 | ✕ | 〇 | 
法人移行時の注意点
法人利用で代替サービスに移行する場合、今までのビジネスフォンが持っていた機能の一部が利用できなくなる可能性があります。例えば、FAXを多用している業種ではISDN(2028年終了予定)に依存しているケースもあり、早めの確認と対応が必要です。
移行に際しては、自社の利用状況や必要な機能を洗い出し、NTTの専用コールセンターなどに相談して、代替サービスで全てがまかなえるか必ず確認するようにしましょう。
メタル回線廃止は怖くない!未来に向けた固定電話の選び方

NTTの固定電話サービスを巡る「メタル回線廃止」のニュースは、私たちの通信インフラが大きな転換期を迎えていることを示しています。
固定電話が廃止になることはないので、これに乗じた勧誘や詐欺には特に注意が必要です。NTTの固定電話回線は使えなくなったりはせず、手続きや自宅での工事も一切不要で、引き続き利用者が固定電話回線を使うことができるのです。悪質な業者による「切り替えが必要」という嘘の勧誘には決して騙されないよう、十分な警戒心を持って対応してください。
メタル回線の老朽化は深刻であり、2035年頃のサービス終了は避けられない現実です。特に、従来のメタル回線を使い続ける場合は、2026年4月以降、維持コスト増大のため月額料金が値上げされます。高額な初期費用を払い込んだ電話加入権の返金は期待できませんが、この機会に月額料金の安い光電話やワイヤレス固定電話といったIPサービスへの移行を検討することは、賢明な判断と言えるでしょう。
銅回線(メタル回線)の廃止は、通信の効率化、コスト削減、そしてネットワークの更なる発展に期待したいという未来志向の転換でもあります。光回線やモバイル技術を活用した新しいサービスは、災害時の停電に弱いというデメリットはあるものの、クリアな通話品質や低コストを実現します。
移行手続きは利用者自身で行う必要があり、NTTは工事費などの初期費用を無償としています。今後、NTTから書面による案内が届くのを待ち、ご自身の利用状況に最適なサービスへの移行を計画的に進めてください。これは、通信環境をより快適で経済的なものに見直すための、絶好の機会です。
みんなのらくらくマガジン 編集長 / 悟知(Satoshi)
SEOとAIの専門家。ガジェット/ゲーム/都市伝説好き。元バンドマン(作詞作曲)。SEO会社やEC運用の経験を活かし、「らくらく」をテーマに執筆。社内AI運用管理も担当。


                            
                            
                            
                            
					
                            
                            
                            
