NTT C89が描く宇宙の未来!スマホが圏外知らずになる日は2026年?

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NTT C89トップページキャプチャ

「山奥のキャンプ場でスマホが繋がらない」「災害時に家族と連絡が取れないかもしれない」 そんな不安が、あと数年で過去のものになるかもしれません。

日本の通信大手NTTが、宇宙ビジネスに本気で乗り出しました。その名も「NTT C89」。 これまで地上を支えてきたNTTが、今度は宇宙を舞台に、GoogleやAmazonといった世界のテックジャイアントと肩を並べ、あるいは凌駕しようとしています。

この記事では、NTTが掲げる宇宙の新ブランド「C89」の全貌と、世界が注目する「IOWN(アイオン)」技術、そして私たちの生活がどう変わるのかをわかりやすく解説します。読み終える頃には、日本の技術力への期待で胸が高鳴っているはずです。

NTT C89とは?89個目の星座が意味するもの

未来に、新しい星座を NTT C89

(出典:NTT C89

NTT C89」とは、NTTグループとそのパートナー企業による宇宙ビジネスの統一ブランドです。全天にある88の星座に続く「89番目の星座(コンステレーション)」として、バラバラだった技術や企業を有機的に繋ぎ、宇宙と地球を結ぶ新たなインフラを作るプロジェクトです。

「C89」という名前に込められた想い

夜空を見上げると、オリオン座やカシオペア座など、現在天文学で定められた「88の星座」が存在します。これらは古くから旅人の道しるべでした。 NTTは、自社の宇宙事業を89個目の新しい星座に見立て、「未来の道しるべ」にしようとしています。

これまでNTTグループ内では、NTTドコモNTTデータNTTコミュニケーションズ(現:NTTドコモビジネス)などが個別に宇宙事業を進めていました。これらを「C89」という一つの旗印のもとに集結させ、グループの総力を挙げて宇宙ビジネスを拡大させる狙いがあります。

C89を構成する主な事業領域

NTT C89は、単にロケットを飛ばすだけでなく、以下の4つの領域を組み合わせてビジネスを展開します。

  1. GEO(静止軌道衛星)
    地上36,000kmから広範囲をカバー。既存の「ワイドスター」に加え、宇宙でのデータセンター化を目指す。
  2. LEO(低軌道衛星)
    地上数100km〜1,000kmを周回。Starlinkのような高速通信や、地球観測を行う。
  3. HAPS(高高度プラットフォーム)
    成層圏(地上20km)を飛ぶ無人航空機。空飛ぶ基地局として、スマホとの直接通信を担う。
  4. 観測データプラットフォーム
    衛星が集めた地球のデータをデジタルツイン(仮想空間)で再現し、防災や都市計画に役立てる。

これらをバラバラに運用するのではなく、「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」として繋ぐことが最大の特徴です。

宇宙データセンターとIOWN構想の衝撃

IOWN

(出典:IOWN

宇宙空間でデータを処理する「宇宙データセンター」を実現する鍵が、NTT独自の光技術「IOWN(アイオン)」です。従来の電気通信に比べて電力効率を100倍、伝送容量を125倍に高めるこの技術は、エネルギー問題に直面する世界のIT企業が喉から手が出るほど欲している技術です。

なぜ宇宙に「IOWN」が必要なのか?

現在、AIの普及によりデータ通信量が爆発的に増え、地上のデータセンターの消費電力問題が深刻化しています。 宇宙空間でも同様です。これまでは衛星で撮った画像を一度地上に送ってから解析していましたが、それでは時間がかかりすぎます。

そこでNTTは、「宇宙でデータを処理(地産地消)してしまう」ことを考えました。しかし、宇宙では電力に限度があります。そこで活躍するのがIOWNの「光電融合デバイス」です。

  • 圧倒的な省エネ
    電気信号を「光」のまま処理することで、発熱と消費電力を劇的に下げます。
  • 超高速・低遅延
    データを光の速度でリアルタイムに伝送・処理できます。

光データリレーで「待ち時間」をゼロに

通常、低軌道衛星(LEO)は地球を高速で周回しているため、地上局と通信できる時間はわずか10分程度しかありません。 NTTは、高い位置にある静止軌道衛星(GEO)を経由し、衛星同士を「光通信」で結ぶ「光データリレーサービス」を計画しています。

これにより、地球の裏側で撮影したデータでも、瞬時に日本の地上局へ送ることが可能になります。これは災害時の被害状況把握などに絶大な威力を発揮します。

結局、私たちの生活で何が出来るようになるのか

Space Compass

(出典: PR TIMES

2026年頃を目処に、普通のスマートフォンが「圏外なし」でどこでも使えるようになります。また、災害時には被災状況がリアルタイムで把握され、迅速な救助やインフラ復旧が可能になるなど、「安心・安全」のレベルが格段に向上します。

1.「圏外」という言葉が死語になる

NTTドコモは、HAPS(成層圏の無人機)や低軌道衛星を使って、「直接スマホとつながる」サービスの提供を目指しています。

  • 山間部・海上の利用
    登山中や船の上でもLINEや通話が可能になります。
  • 専用端末不要
    映画に出てくるようなゴツい衛星電話ではなく、今使っているスマホがそのまま使えます。

2. 災害時の「命綱」になる

能登半島地震のような大規模災害時、地上の基地局が倒壊して通信が途絶えることがあります。しかし、空にある衛星やHAPSは無傷です。 C89のネットワークがあれば、被災地でも即座に通信が確保され、安否確認や救助要請が可能になります。

3. 地球の「デジタルツイン」で未来を予測

NTTデータの技術を使い、衛星画像から精細な3D地図を作成します。これをサイバー空間に再現(デジタルツイン)することで、以下のようなことが可能になります。

  • 災害シミュレーション: 津波や洪水がどう広がるかを予測。
  • インフラ監視: 道路や橋の老朽化、陥没の予兆を宇宙から検知。
  • 自動運転支援: ミリ単位の精細な地図データを提供。

NTT C89 vs Starlink・Amazon!IOWN技術で描く「共存」と「日本の勝算」

衛星電話・通信サービスの拡張

(出典:NTT C89

NTTは「真っ向勝負」ではなく、「パートナーシップ」と「独自技術(光)」で勝ちに行きます。通信網の「量」ではStarlinkと連携し、データの「質」と「処理技術」ではNTTのIOWN技術が世界をリードするという、補完関係と競争力を兼ね備えた戦略をとっています。

NTT C89 vs 欧米企業の比較

NTTの立ち位置を整理するために、SpaceX(Starlink)Amazonと比較してみましょう。

項目NTT C89SpaceX (Starlink)Amazon Leo
主なアプローチ多層的・統合的
(GEO, LEO, HAPS, 光技術)
物量作戦
(数千基のLEO衛星による網羅)
後発の大規模網羅
(AWSとの連携重視)
強みIOWN (光技術)
省電力・低遅延のデータ処理地上の通信網とのシームレスな統合
ロケット打ち上げ能力
自社で安価に衛星を配備可能すでに世界中でサービス稼働中
クラウド (AWS)
巨大なクラウド基盤との連携物流網を生かした展開
スマホ通信HAPS等による直接通信を重視(2026年目標)Direct to Cell機能で参入計画中
NTTとの関係主体パートナー
(ドコモが法人向けに再販)
戦略的提携
(日本・アジア展開で協力)

なぜNTTの技術が世界に求められるのか?

「数」の勝負では、すでに数千基の衛星を飛ばしているStarlinkには勝てません。しかし、NTTはそこで戦おうとはしていません。

NTTの勝機は「光半導体(光電融合デバイス)」にあります。 AI時代、データセンターの消費電力は世界の課題です。インテルやNVIDIAなどの米大手企業も、省エネ化のためにNTTの「光技術」に注目し、IOWNグローバルフォーラムに参加しています。 つまり、「通信のインフラ(土管)」はStarlinkなどと手を組みつつ、「その中身(チップやデータ処理技術)」で世界標準を握ろうとしているのがNTTのしたたかな戦略なのです。

Q&A:NTT C89についての素朴な疑問

Q. いつから衛星通信がスマホで使えるようになりますか?

A. 2026年のサービス開始を目指しています。 NTTドコモは2026年度早期に、空飛ぶ基地局「HAPS」や衛星を用いた直接通信サービスを開始する計画を発表しています。

Q. 宇宙からの通信は料金が高くなるのでは?

A. 具体的な料金は未発表ですが、手軽なオプションになる可能性があります。 海外の事例や競合(KDDIとStarlinkの提携など)を見ると、通常のプランへの数百円程度の追加オプションや、特定のエリア・状況下での従量課金などが想定されます。NTTは「誰でも使える」ことを目指しているため、極端に高額にはならないと予想されます。

Q. NTTの株価には影響しますか?

A. 長期的な成長材料として注目されています。 宇宙事業は即座に利益を生むものではありませんが、NTTは2033年度に宇宙事業で1,000億円規模の売上を目指しています。IOWN技術のライセンス収入や、世界的な半導体需要と合わせ、中長期的な投資判断の重要な材料となるでしょう。

NTT C89の将来性とロードマップ|投資・防災・生活で私たちが注目すべき3つのポイント

大阪・関西万博 NTTパビリオン内

NTT C89は、単なる通信サービスの拡張にとどまらず、災害対策や資産形成にも関わる重要なプロジェクトです。2026年のサービス開始に向け、私たちは「防災」「投資」「技術」の3つの視点でこの動向を注視すべきです。

NTT C89は、単なる一企業のプロジェクトを超え、日本の技術力が世界で再び輝くための重要な挑戦です。 最後に、この記事の重要ポイントを振り返り、明日から私たちが注目すべき具体的なアクションを整理します。

  • C89は「89番目の星座」
    NTTグループの宇宙事業を統合し、世界へ挑む新ブランド。
  • 武器は「光(IOWN)」
    省エネ・高速処理を実現する光技術は、GoogleやAmazonも無視できない日本の宝。
  • スマホが空と繋がる
    2026年、圏外のない世界が現実になり、防災力が飛躍的に向上する。
  • 「協調」と「競争」
    Starlink等とは手を組みつつ、核心技術で主導権を握る賢い戦略。

【私たちがとるべき3つのアクション】

  1. 防災の観点で「通信手段」を見直す
    自治体や企業のBCP(事業継続計画)担当者は、災害時の通信確保手段としてNTTの衛星ソリューション(Starlink Business等)の導入検討を始めてください。個人でも、2026年以降の「空とつながるスマホ」への買い替えを視野に入れておきましょう。
  2. 投資の視点で「光半導体」に注目する
    短期的な株価の変動だけでなく、「IOWN」や「光半導体」という国策レベルの技術を持つNTTの長期的な成長性に目を向けてみてください。宇宙事業は2033年度に1,000億円規模を目指す成長分野です。
  3. 技術の進歩を「定点観測」する
    技術の進歩は早いです。2025年の大阪・関西万博ではIOWNの実証が見られました。「NTT C89」や「IOWN」のニュースを継続的にチェックすることで、ビジネスの新しい種を見つけることができるでしょう。

空を見上げたとき、そこには無数の星と共に、私たちの暮らしを支える「89番目の星座」が輝き始めています。日本の技術の逆襲は、ここから始まります。