Thunderboltとは?USB-Cケーブルとの違いや互換性、最新規格4・5のスペックなど
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Thunderbolt(サンダーボルト)は、インテル社が提供する高速データ伝送規格です。製品としてはデータ転送・充電・ディスプレイ出力の機能を備えたハイスペックなケーブルを指します。
Thunderboltを理解する上での難点は、第3世代のThunderbolt 3テクノロジー以降、コネクタにUSB Type-Cが採用されていることでしょう。印字されたマークや数字を除き、外見はUSB Type-Cケーブルと全く同じなので、ユーザーが混乱する事態となっています。
とはいえ、ThunderboltはUSBケーブルよりハイスペックであり、使いこなせればPC周りの環境を大きく充実させられる魅力的な代物です。そこで今回は、Thunderboltの概要を、USB Type-Cとの違いを含めて分かりやすく簡単に解説します。
Thunderboltとは
Thunderbolt(サンダーボルト)とは、インテルとAppleが共同開発した高速データ伝送技術です。USBと同じく、PCと周辺機器がデータを交換するための経路であるシリアスバス規格の一種です。
Thunderboltは2012年2月発売のMacBook Proで初めて採用されました。以降、MacBook Air、iMac、Mac mini、Mac Proなど、Mac製品の多くにはThunderboltポートが標準搭載されています。
またインテル社は、第11世代Coreプロセッサーを、2020年1月発表の新規格Thunderbolt 4に対応させました。CPU側がThunderboltに準拠したことから、Macのみならず、Thunderboltに対応したWindowsも順次発売されています。
Thunderbolt 3以降はUSB-Cのコネクタを採用
Thunderboltは当初、コネクタにMini DisplayPortを採用していました。しかし、第3世代のThunderbolt 3以降はUSB Type-Cコネクタが利用されています。
そのため、現在のThunderboltは、特有の「稲妻マーク」と数字が印字されている以外は、一般のUSB-Cケーブルと見分けがつきません。またThunderbolt 3以降は、USBとの互換性も生まれているため、ユーザーにとっては「違いが分からない」という事態が生じています。ThunderboltとUSBの違いについては、次の項目で詳しく解説します。
Thunderboltの歴史
発表 | バージョン | 転送速度 | コネクタ | 対応プロトコル |
2011年2月 | Thunderbolt | 最大10Gbps | Mini DisplayPort | DisplayPort 1.1a
PCI Express 2.0 |
2013年12月 | Thunderbolt 2 | 最大20Gbps | Mini DisplayPort | DisplayPort 1.1
PCI Express 2.0 |
2015年6月 | Thunderbolt 3 | 最大40Gbps | USB Type-C | USB 3.1 Gen 2
DisplayPort 1.2/1.4 PCI Express 3.0 |
2020年1月 | Thunderbolt 4 | 最大40Gbps | USB Type-C | USB4
DisplayPort 1.4 PCI Express 3.0 |
2023年9月 | Thunderbolt 5 | 最大80Gbps | USB Type-C | USB4 Version 2.0
DisplayPort 2.1 PCI Express Gen 4 |
ThunderboltとUSB Type-Cの違い
最初にざっくりと結論を述べると、Thunderbolt端子はUSB Type-C端子の最上位グレードです。また数あるUSB Type-Cケーブルの中で、最も高いスペックを備えた一級品がThunderboltケーブルだといえます。
上記を示した上で、ThunderboltとUSB Type-Cの違いを詳しく見ていきましょう。
Thunderboltはシリアルバス規格、USB-Cはコネクタ形状
前提として、Thunderboltはシリアルバス規格と呼ばれるデータ伝送の規格、USB Type-Cはコネクタの形状を指します。つまり「Thunderbolt」と「USB Type-C」は別次元の用語であり、違いを比較することはできません。Thunderboltという接続規格にUSB Type-Cというコネクタを採用して製品化したものが、Thunderbolt 3/4/5のケーブルということになります。
接続規格としてのThunderboltの比較対象となるのは「USB」です。Thunderboltに3/4/5バージョンがあるように、USBにもUSB3.1/USB3.2/USB4といったバージョンがあります。USB3.1以降には、Thunderboltと同じく、USB Type-Cコネクタが採用されています。
ここまで整理した上で、ThunderboltとUSBの違いを見てみましょう。同時期のバージョンであるThunderbolt 4とUSB4を比較します。
Thunderbolt 4とUSB4の違い
Thunderbolt 4 | USB4 | |
データ転送速度 | 最大40Gbps | 最大20Gbpsあるいは
最大40Gbps |
USB PD(充電) | 最大100W(20/5A) | 最大60W(20/3A)あるいは
最大100W(20/5A) |
ディスプレイ出力 | 4K解像度×2あるいは
8K解像度×1 |
条件なし |
コネクタ | USB Type-C |
上記の通り、同じUSB-Cケーブルでも、USB4よりThunderbolt 4のほうが規格の基準が厳しく設定されています。例えば、USB4の称号は最大20Gbps・最大60W・低解像度でも名乗れますが、このスペックではThunderbolt 4の認定は受けられません。Thunderboltの称号を得るにはより高いスペックが必要になります。
またThunderbolt 4はUSB4に準拠しており、両者には互換性があります。つまりThunderbolt 4 USB Type-Cケーブルは、USB4 USB Type-Cケーブルと同じように使用できるということです。
以上を総括すると、冒頭で述べた通り、Thunderboltは最上位グレードのUSB Type-Cケーブルということになります。もしくはThunderboltはUSBの上位互換と考えてもよいでしょう。
Thunderboltの魅力
Thunderboltの魅力は、汎用性と機能性の両方が最高レベルであることです。1本であらゆる用途に対応できるハイスペックなUSB Type-Cケーブルと考えて差し支えないでしょう。
Thunderboltは、1本でデータ転送・充電(Power Delivery)・ディスプレイ出力(Alternate Mode)の全てに対応できます。それだけなら一般のUSB Type-Cケーブルと同じですが、Thunderboltが優れているのは3領域全てにおいて最上級のスペックを誇ることです。Thunderboltなら、最高速度でのデータ転送、超急速充電、最高解像度での映像出力が可能です。
またThunderboltはUSB規格(最新のThunderbolt 5はUSB4 2.0の仕様)に準拠しており、両者には完全な互換性があります。よって、値段を問わないのであれば、USB Type-CケーブルではThunderboltを選ぶのがベストです。ThunderboltならUSBでできることの全てを、より高いレベルで実現できます。
Thunderboltのおすすめ用途、おすすめな人
Thunderboltはスペックおよび機能性を重視する場面、重視する人におすすめです。
ノートパソコンの性能アップにおすすめ
一例を挙げると、Thunderboltを使うことで、ノートパソコンの性能をデスクトップパソコン並みに引き上げられます。例えば、ノートパソコンにSSDを接続する場合、Thunderboltを使えば最大80Gbpsでの高速通信が可能です。ファイルのバックアップや読み込みを素早くストレスフリーに完了させられます。
また、モニター接続はThunderbolt 5であれば8K×2や4K×2のデュアルモニターに対応しています。ノートPCの画面に加え、高解像度のモニターを2台追加可能です。PCI Expressもサポートしているため、グラフィックボードも外付けでき、デスクトップPC並みのグラフィックスパフォーマンスも実現できます。
さらにドッキングステーションを使えば、SSDやモニターの他にも、さまざまな周辺機器をThunderbolt1本でひとまとめにPCとつなぐことが可能です。1本で最大5デバイスまで対応できます。このように、Thunderboltが1本あるだけで、ノートパソコンのカスタマイズ性およびスペックは格段に向上するでしょう。
なお、今やThunderboltはUSBの完全上位互換といえるので、USB-TypeCケーブルは基本的にThunderboltを持っておけば問題ありません。特に機能性を重視する場合には、迷ったらThunderboltを買うのがよいでしょう。
充電だけなら普通のUSB-Cケーブルでも十分
Thunderboltケーブルはハイスペックである分、高価なことが難点です。一般的には3,000円前後、長いものだと1万円前後はします。
一方、一般的なUSB Type-Cケーブルなら100円ショップの商品を含め、安価なラインナップが充実しています。そのため、スマホの充電といった日常使いでは、Thunderboltではなく普通のUSB-Cケーブルを使うのが現実的でしょう。もちろん値段を問わないなら、ケーブルは全てThunderboltでそろえるのが理想ともいえます。
Thunderboltの偽物に注意
ECサイトには、Thunderboltケーブルの偽物が比較的多く出回っているので注意してください。
ハイスペックなUSB Type-CケーブルをThunderboltとして販売するには、インテル社が認定した認証試験ラボによる認証を受けなければなりません。そして認証されたケーブルには、端子の上部に稲妻マーク、下部に数字が記載されています。また商品概要には [Thunderbolt 認証] などと明記されているでしょう。
偽物でもスペックはそれほど変わらない場合もあるようですが、やはり正規品を買い求めるのが適切です。購入の際は、稲妻マークおよび数字を確かめてから買うことをおすすめします。
Thunderbolt 4/5の特長【ハイスペックな最新規格】
インテル社は、2020年1月にThunderbolt 4、23年9月にThunderbolt 5を発表しました。これらThunderboltの最新規格は、一般的なUSB Type-Cケーブルをはるかに凌ぐハイスペックを誇ります。以下では、Thunderbolt 4・Thunderbolt 5の特長を簡単にお伝えするので参考にしてください。
特長1. 最大80Gbpsの高速データ転送
Thunderbolt 5は最大80Gbps、Thunderbolt 4は最大40Gbpsのデータ転送速度を誇ります。Thunderbolt 5についてはアップストリーム速度が最大120Gbpsまで高められており、従来とは比べないものにならない超高速データ転送が可能です。USB4の規格基準が最大20Gbpsからであることを踏まえると、Thunderbolt 4/5がいかに高速であるかがうかがえます。
Thunderbolt 4/5を採用し、データ転送速度を高めることで、大容量のデータや高解像度の映像などのストレスフリーな高速転送を実現できます。ノートパソコンと外付けSSDやHDD、映像編集機材などとの連携も快適です。
特長2. 最大240Wの急速充電が可能
Thunderbolt 5は最大240W、Thunderbolt 4は最大100Wでの急速充電に対応しています。スマホやPCを素早くフルチャージしたい方におすすめです。
また複数のポートを有する急速充電器のアクセサリを併用すれば、4台同時などいくつかのデバイスをまとめて充電することも可能です。スマホ、ノートパソコン、その他アクセサリを同時刻で一気に急速充電でき、作業効率を上げられます。
Thunderboltで充電可能な主な機器
・ノートPC:MacBook Pro/MacBook Air, ThinkPad, XPS, HP
・スマホ:iPhone 8以降, Google Pixel, Galaxy
・タブレット:iPad, Pixelbook, Surface
特長3. デュアル4K・8Kモニター対応
Thunderbolt 5では8K解像度のモニターを2台、Thunderbolt 4では4K解像度のモニターを2台同時に接続できます。この高解像度のデュアルモニター性能は、例えば一方のモニターでプレビューをチェックしつつ、もう一方のモニターで編集するといった映像編集の際に便利です。
またThunderboltポートを内蔵した大型モニターで、優れたグラフィックの映像を楽しむのもおすすめです。何にせよ、ディスプレイ出力の品質を重視するなら、選ぶべきはThunderbolt一択でしょう。
特長4. 1本で最大5デバイスまで接続可能
Thunderboltは、単一の接続で最大5つのデバイスのデータ転送・充電・ディスプレイ出力に対応し、最高レベルのパフォーマンスを発揮します。Thunderboltケーブル1本で、PCと5台の周辺機器を接続できるため、PC環境を劇的にスリム化させられます。
例えば、ノートPCとドッキングステーションをThunderboltでつなぎ、そこに2台の高解像度モニター、2つの外付け機器、充電器を接続するといったことが可能です。これにより、ノートPCの性能をデスクトップPC並みに向上させられます。
特長5. USB4・Thunderbolt 3との完全互換
Thunderbolt 5はUSB4 2.0、Thunderbolt 4はUSB4の規格に準拠しており、両者には互換性があります。そのため、Thunderbolt対応デバイスの他、USB4対応デバイスにも問題なく使用できます。
Thunderboltポートは、接続した周辺機器がThunderbolt対応ならThunderboltポート、USB対応ならUSBポートとして動作するとのことです。判別は瞬時に自動で行われ、常に最適な通信方式が選び取られます。
またコネクタにはUSB Type-C 端子を採用しているため、幅広いUSB Type-Cデバイスと接続でき、高い汎用性を誇ります。Thunderbolt 3との互換性もあるため、Thunderbolt 3デバイスとの接続も可能です。
ThunderboltはUSBの完全な上位互換
今やThunderboltはUSBの完全な上位互換だといって差し支えないでしょう。USB Type-Cケーブルのうち、最上位のスペックを備えているのがThunderbolt 4/5ケーブルです。
ThunderboltはPCの機能性を重視する方、中でもノートPCの性能をデスクトップPC並みに引き上げたい方におすすめです。とりわけ映像機器周りのパフォーマンスを向上させたい場合に最適でしょう。
またThunderboltは、急速充電をはじめ、USBでできることをより高いレベルで実現できるため、誰しもが持っておいて損のないアクセサリだといえます。Thunderboltに興味のある方は、ぜひ1本買い求めて使ってみてください。買ってみることで、PC活用のアイデアがグッと広がるかもしれません。