Google AIモード徹底解説：検索の新常識！できること、使い方、未来の検索体験

インターネットでの情報検索は、私たちの日常生活において欠かせない行動です。欲しい情報を見つけるために、私たちは日々Google検索を利用しています。しかし今、その検索体験が大きく変わろうとしています。Googleが提供を開始した「AIモード」は、従来の検索の枠を超え、より対話的でパーソナライズされた情報収集を可能にする画期的な機能として、世界中で注目を集めています。

特に、2025年9月9日からは日本語を含む複数の言語での提供が開始され、日本でもいよいよ本格的なAI検索時代が到来しました。ただし、現時点では一部の高度な機能はまだ日本で利用できない、または特定の条件でのみ利用可能であることにも留意が必要です。この新しい検索モードは、一体どのようなもので、従来の検索と何が違うのでしょうか。この記事では、Google AIモードの基本から、その驚くべき機能、具体的な使い方、そして未来の検索体験をどう変えていくのかについて、詳しく解説していきます。

AIの進化が止まらない現代において、このGoogle AIモードは、あなたの情報収集をより効率的で深いものに変える可能性を秘めています。さあ、Google AIモードがもたらす検索の新常識を一緒に探っていきましょう。

Google AIモードとは？日本語対応で広がる検索の新境地

（出典：Google Japan Blog）

Google AIモード は、Googleが開発した生成AIの機能をGoogle検索に統合し、より対話的で高度な検索を可能にする新しい検索機能です。従来の検索結果が「青いリンクのリスト」として表示されるのに対し、AIモードではAIが質問に対する包括的な回答を生成し、その回答を直接提示します。

このAIモードは、2025年5月にアメリカで一般公開され、その後7月にはイギリスやインドにも展開。そして、2025年8月21日には日本を含む180以上の国と地域で英語版が利用可能となり、さらに2025年9月9日からは日本語での提供が正式に開始されました。日本語の他、インドネシア語、韓国語、ヒンディー語、ブラジルポルトガル語でも順次利用が可能になっています。

AIモードはGoogleのGemini 2.5のカスタムバージョンを使用しており、Chromeの検索機能に統合されることで、ユーザーはより詳細な質問を投げかけ、より質の高い応答を得られるようになります。

Google AIモードでできること：検索の可能性を広げる機能の数々

Google AIモードは、単なる情報検索を超え、多様なタスクをサポートする豊富な機能を提供します。

複雑な質問への包括的な回答

AIモードは、複数の関連検索を同時に実行する「クエリファンアウト」と呼ばれる技術を活用しています。これにより、従来のGoogle検索では複数回の検索が必要だったような、長く複雑な質問に対しても、ウェブ上の様々なデータソースから情報を集約し、瞬時に分かりやすい包括的な回答を生成します。例えば、「京都駅出発で6泊7日の旅行プランを立てて。伝統工芸や歴史的な場所を巡るアクティビティ中心で、ディナーにおすすめのレストランも入れて。」といった具体的な計画の立案も可能です。

対話形式での継続的な探索（フォローアップ質問）

AIモードでは、最初の検索結果から自然な会話のように質問を続けることができます。表示された回答に対して、「もっと詳しく」「別の視点から教えて」といったフォローアップ質問をすることで、さらに深く情報を掘り下げられます。この機能は、複雑なテーマの学習や、多面的な情報の整理に特に役立ちます。

マルチモーダル入力による検索

テキスト入力だけでなく、音声、画像、さらには動画（Search Live）など、多様な形式での入力に対応しています。

• 画像アップロード
  プロンプトバーの画像アップロードアイコンをクリックし、画像を検索に追加できます。AIモードはこの画像を参考に検索を行います。
• PDFファイルアップロード
  PDFファイルをプロンプトバーにドラッグ＆ドロップし、「スライドを要約して」などと指示できます。
• Search Live with video input
  リアルタイムでAIが「見ているもの」を認識し、ライブ会話を通じて図や数式、視覚資料などの即座な説明を提供します。Gemini Liveに似た機能です。
• Googleレンズとの連携
  ChromeのGoogleレンズからAIモードを通じてフォローアップ質問ができます。例えば、スペイン語のメニューを写真に撮り、「どれがベジタリアン向けか教えて」と尋ねると、AIが料理の内容と合わせて教えてくれます。

キャンバス機能との連携

AIモードとキャンバス機能を連携させることで、計画の構築や情報の整理をサイドパネルで行うことができます。これは学習や複雑なタスクの完了に非常に便利です。

製品比較と購入支援

特定の製品に関する詳細な希望（サイズ、耐久性、価格、色など）をAIモードに伝えることで、最適な製品のレコメンデーションを得ることができます。Googleショッピングとも連携しており、価格追跡機能で価格が下がった際に通知を受け取ったり、試着機能で自分の写真を使って製品が似合うか試したりすることも可能です。

エージェント機能

AIモードはエージェント機能も備えており、複数のサイトに接続してタスクを開始できます。例えば、レストランの予約、地域のサービス予約、イベントチケットの予約などが可能になる予定です。これにより、チケットサイトなどにアクセスすることなく、AIモード内で予約を完了できるようになります。

パーソナライズされたおすすめ情報

AIモードは、過去の検索履歴、カレンダー、メール、チャットなどのGoogleアカウント情報から、ユーザーの好みや興味に基づいたパーソナライズされたおすすめ情報を提供します。例えば、ベジタリアンであれば、近くのイタリアンレストランを尋ねた際に、ベジタリアン対応の店を優先的に勧めてくれるといったものです。

会話のリンク共有機能

AIとの対話履歴を専用の公開リンクとして、友人や家族と共有する機能が提供されています。これは、旅行の計画や誕生日パーティーの企画、共同でのブレーンストーミングなど、複数人での共同作業で特に役立ちます。共有された相手は、単に履歴を見るだけでなく、その会話の続きからAIに質問を追加して、対話を継続できます。また、共有リンクは作成者がいつでも削除できるため、プライバシー管理も可能です。

これまでのGoogle検索との違い：リンクから回答へのシフト

Google AIモードの登場は、私たちが長年慣れ親しんできたGoogle検索のあり方を大きく変えるものです。主な違いは以下の通りです。

回答形式の違い

• 従来のGoogle検索
  検索クエリに対して、関連性の高いウェブページの「青いリンクのリスト」を表示します。ユーザーはこれらのリンクをクリックして各ウェブサイトを訪問し、自分で情報を収集・整理する必要がありました。
• Google AIモード
  AIがウェブ上の情報を集約し、質問に対する「包括的な回答」を直接提示します。回答内には、情報の引用元となるウェブサイトへのリンクも含まれていますが、メインはAIによる要約された情報です。

探索の深さと対話性

• 従来のGoogle検索
  多くの場合、単一のクエリで完結し、ユーザーは複数の検索を繰り返して情報を深掘りしていました。
• Google AIモード
  より複雑で多面的な質問に対応し、AIとの対話を通じてフォローアップ質問を重ねながら、情報を深く探索することができます。これは、まるでAIが専門家のアシスタントのように機能する体験を提供します。

情報集約の仕組み

• • 従来のGoogle検索
    主に各ウェブページのランキングに基づいて結果を表示します。
  • Google AIモード
    「クエリファンアウト」技術により、ユーザーの質問を複数のサブトピックに分解し、同時に多数の関連検索を実行します。そして、数百ものウェブサイトから断片的な情報（段落、リスト、文など）を収集し、それらを組み合わせて包括的な回答を生成します。これにより、ページ全体のランキングではなく、コンテンツの特定の部分が直接質問に答えているかどうかが重要になります。

AI Overviewsとの違い

Google検索には、AIモードの他にも「AI Overviews」（AI概要）という機能があります。AI Overviewsは、従来の検索結果ページの一番上、リスティング広告の下にAIによる回答の概要が表示されるもので、AIモードと比較すると、AI Overviewsは素早い情報や事実確認に適しているとされています。一方、AIモードは、より探索的な質問や、複数ステップのタスク、比較検討など、より複雑な情報収集に特化しています。AI Overviewsは下部に従来の青いリンクが残るのに対し、AIモードはAIによる回答が全面表示される形になります。

これらの違いは、SEO（検索エンジン最適化）にも大きな影響を与えると予測されており、コンテンツ制作者は「AIモード」に最適化するための新たな戦略を立てる必要が出てきています。

Google AIモードの使い方：アクセスと活用方法

Google AIモードを利用する方法はいくつかあります。

Google検索バーからのアクセス

Chromeブラウザを使用している場合、通常のGoogle検索バーに「AIモード」ボタンが表示されることがあります。これをタップすることで、AIモードでの検索を開始できます。

専用URLからの直接アクセス

「google.com/ai」という専用のURLにアクセスすることで、直接Google AIモードを利用できます。以前はGoogle.comにアクセスしてからAIモードのタブをクリックする必要がありましたが、このショートカットにより、より手軽にAIモードを開始できるようになりました。

Googleアプリからのアクセス

iPhoneやAndroidデバイスでGoogleアプリを使用している場合は、最新版のGoogleアプリをダウンロードし、アプリを開いて画面左上にある「Labs（実験）」アイコンをタップ。そこから「新しい実験」セクションにスワイプダウンし、「AIモードを試す」をタップすることで利用できます。

検索結果からの移行

通常のGoogle検索で質問した際、GoogleがそのクエリがAIモードに適していると判断した場合、検索結果ページに「AIモードで試す」オプションが自動的に表示されることがあります。

言語設定の変更（日本での先行利用例）

AIモードが日本語に対応する前は、一部のユーザーがGoogleの言語設定を「英語」に変更することで、日本からでもAIモードを利用できるという報告がありました。現在では日本語が正式に対応しているため、基本的には不要ですが、最新機能の先行体験などには役立つ場合があります。

Google Labsでの有効化

一部の新しいAIモード機能（PDFアップロード、Search Live with videoなど）は、まだ展開中のため、Google Labsで有効にする必要がある場合があります。

AIモードでの検索を開始したら、プロンプトバーに質問を入力するだけです。画像やPDFファイルをアップロードして質問に含めることもできます。回答が得られた後も、フォローアップ質問を続けることで、より詳細な情報を得られます。

Google検索のAIモードとGeminiの違い：それぞれの役割と活用シーン

GoogleはAI技術の「Gemini」（ジェミニ）を開発しており、Google AIモードはGeminiの技術をベースにしています。しかし、「Google検索のAIモード」と「Google Gemini（gemini.google.com）」は、異なる役割を持つサービスです。

項目	Google検索のAIモード（google.com/ai）	Google Gemini（gemini.google.com）
位置づけ	Google検索機能の一部としての会話型検索体験	スタンドアロンのAIアシスタント、創造的・分析的なパートナー
目的	ウェブ上の情報を統合し、複雑な質問に対して分かりやすい回答を提示	プロンプトから新しいコンテンツを生成し、深い作業や創造的なタスクをサポート
情報源	主にリアルタイムのウェブ検索結果を複数サイトから集約	自身の知識ベースや他のGoogle製品の情報をより広く活用
インターフェース	通常のGoogle検索結果ページ内に表示される	Google検索とは独立した専用のインターフェース
強み	複雑な検索クエリの解決、旅行計画、製品比較、概念説明など、ウェブ情報に基づくタスク	専門的なメール作成、コードのデバッグ、ブログ記事のアイデア出し、PDF要約など、コンテンツ生成や分析
対応言語	日本語を含む複数の言語に対応	日本語を含む多くの言語に対応

簡単に言えば、Google検索のAIモードは「ウェブ上の情報に基づいて何かを知りたい、探索したい」場合に強力なツールです。一方、Geminiは「何かを創造したい、深い分析をしたい」場合に真価を発揮するAIアシスタントと言えるでしょう。

例えば、パソコンのブルースクリーンエラーの診断方法について尋ねた場合、AIモードは複数のウェブサイトから情報を集めて具体的なステップや関連動画などを提示します。一方でGeminiは、より一般的な診断ステップを知識ベースから簡潔にまとめます。また、グラフィック集約型のゲームに最適なビデオカードを尋ねた場合、AIモードはGoogleショッピングや多数のサイトから具体的な製品やリンクを提示し、より実用的な情報を提供します。しかし、犬がロケットで月に旅立つ物語を書いてほしいといった創造的なタスクでは、Geminiの方がより詳細で、Canvasモードのような機能も活用して多様な出力形式を提供できます。

ユーザーは、それぞれのAIの強みを理解し、目的によって使い分けることが重要です。どちらも同じクエリを入力してみて、より目的に合った結果が得られる方を選ぶのも良い方法です。

Google検索に取って代わるのか？AIモードの未来と課題

（出典：Google Keyword blog）

Google AIモードは検索体験を大きく変える可能性を秘めていますが、従来のGoogle検索に完全に取って代わるのかについては、様々な見解があります。

Google幹部の発言と見解の相違

GoogleのプロダクトマネージャーであるLogan Kilpatrickは、AIモードが「soon」（まもなく）Google検索のデフォルト体験になるとX（旧Twitter）上で発言し、大きな話題となりました。しかし、その後GoogleのRobby Stein副社長は、「この発言を読み込みすぎないでほしい。AIモードを望む人々がアクセスしやすくすることに注力している」とコメントし、すぐにデフォルトになることを否定しました。Google CEOのSundar Pichaiは、「10本の青いリンク」時代は古いとし、AIモードが検索の「完全な再構築」であると語っています。これらの幹部のコメントは、Google社内でもAIモードの将来的な位置づけについて、まだ流動的であることを示唆しています。

利用率とユーザー行動

AIモードは、2025年7月上旬の時点で、アメリカにおけるGoogle検索セッション全体の約1%を占めているという調査結果があります。また、アメリカで先行して一般公開されたAIモードの初期利用率は、検索全体の2%以下にとどまっているとも言われています。これは、ユーザーの検索行動がすぐには変わらないことを示唆しており、現時点では従来のGoogle検索が大多数のユーザーに利用されている状況です。

「ゼロクリック検索」の増加とウェブエコノミーへの影響

AIモードやAI OverviewsといったAI検索機能は、ユーザーがAIの回答内で情報を完結させ、ウェブサイトへのクリックが発生しない「ゼロクリック検索」を増加させる可能性が指摘されています。LANYの調査では、AIモードのセッションの92%から94%程度で外部リンクへのクリックが発生しないと報告されています。これは、AI Overviewsにおけるゼロクリック率（約43%）と比較しても非常に高い割合です。多くのパブリッシャーや広告主は、Googleからのトラフィックに依存しているため、AIモードの普及がウェブエコノミーに壊滅的な影響を与えるのではないかという懸念が広がっています。GoogleはAI検索機能がウェブサイトのトラフィックを減少させていることを否定していますが、これを裏付けるデータは提供されていません。

広告モデルへの影響

Googleの主要な収益源は、検索結果に表示される広告です。AIモードのような会話型AI検索では、従来のリスティング広告がうまく機能しない可能性があり、GoogleがAIモードで十分な収益を上げられるかどうかが、その普及の鍵となります。現在、GoogleはAIモードでの広告テストを開始していると報告されています。

SEO業界への適応の必要性

AIモードの登場は、SEOの専門家にとって、コンテンツの作成方法や最適化の戦略を根本的に見直す必要性を突きつけています。

• コンテンツの質と深さ
  AIツールが生成する汎用的な内容ではなく、専門性、経験、権威性、信頼性（E-E-A-T）に基づく、深く、明確で、文脈豊かなコンテンツがより重要になります。
• 構造化データとスキーマ
  AIエージェントがユーザーに代わって意思決定を行うようになるため、価格や在庫などの情報を構造化データで整理し、AIが読み取りやすい形にすることが重要です。
• ロングテールクエリとニッチなコンテンツ
  AIモードはクエリファンアウト技術により、非常に具体的な、よりパーソナライズされたロングテールクエリに対応します。そのため、ニッチなランディングページを作成し、特定の顧客ペルソナに向けたコンテンツを提供することが有効です。
• ブランド言及と被リンク
  様々な高権威のウェブサイトで自社ブランドが言及され、被リンクを獲得することが、AIモードの回答に表示される可能性を高める上で非常に重要です。LANYの調査では、AIモードでブランドが推奨される要因として「言及サイトの数」と「サイトあたりの言及数（深さ）」が最も重要であるとされています。
• KPIの変化
  従来のSEOで重要視されてきた表示回数やクリック数に加えて、AIからの「引用数」や「言及数」といった指標が新たに重要になってくると考えられます。
• 中長期的な影響
  アメリカでの利用率はまだ低いものの、Googleが長期的にAIモードを推し進める可能性は高く、中長期的な視点での対策準備が必要であると予測されています。

現時点では、AIモードはまだ発展途上の段階にあり、その機能やユーザーインターフェースは継続的に改善されています。将来的には、よりシームレスにGoogle検索に統合され、私たちの情報探索をより効率的で満足度の高いものに変えるでしょう。

未来へ繋ぐ検索の新常識：Google AIモードの可能性

Google AIモードの登場は、まさに検索体験の革命と言えるでしょう。テキストだけでなく、音声や画像といったマルチモーダルな入力に対応し、ユーザーが求める情報を対話形式で深く掘り下げられるこの機能は、従来の「10本の青いリンク」が主流だった検索の常識を覆すものです。旅行の計画から製品の比較、専門的な知識の探求、さらにはレストランの予約まで、AIモードは私たちの日常生活のあらゆるシーンで強力なアシスタントとなり得ます。

しかし、Google検索に完全に取って代わる可能性はあるものの、現時点ではまだ難しいと言えるでしょう。アメリカでの利用率が2%以下という現状や、ウェブサイトのトラフィック、Googleの主要な収益源である広告モデルへの影響など、解決すべき課題は少なくありません。多くのユーザーが長年慣れ親しんだ従来の検索行動をすぐに変えることはなく、現段階ではAIモードはあくまで「新しい選択肢」の一つとして機能しています。

したがって、AIモードがより広く普及するには、まだ改良が必要です。Googleはユーザー体験の向上と収益化モデルの確立に向けて継続的な開発を進めており、エージェント機能の拡充やパーソナライズの進化など、さらなる進化が期待されます。これらの課題が解決され、より安定し、ユーザーにとって直感的で不可欠なサービスとなれば、AIモードは真にGoogle検索のデフォルトとなる未来が訪れるかもしれません。私たちユーザーも、この新しい技術の変化を注視し、その利点を最大限に活用できるよう、知識を身につけ、上手に活用していくことが大切です。

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