PS5/Xboxの対抗馬!Steam Machineの性能・価格・MODを網羅
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ゲーミングPCの性能は年々向上し、最新のAAAタイトルを最高の画質で楽しむには高額な初期投資と、大きな本体、そして増え続ける電力消費が課題となっています。リビングルームの大型テレビで、複雑な設定なしにPCゲームを手軽に楽しみたい。そんな願いを抱くゲーマーは少なくありません。Valveが新たに発表した「Steam Machine」は、まさにその理想を形にしたデバイスです。Steam Deckの成功を経て、Valveが再びリビングルームのゲーム体験に挑戦するこの専用機は、ゲーミングPCとしての柔軟性と、家庭用ゲーム機のような手軽さを両立させています。本記事を読めば、Steam Machineの全貌、その驚異的な性能、そしてどのようにあなたのゲームライフを変えるのかを深く理解できるでしょう。Valveが構築する新たなゲームエコシステムに踏み出し、快適なPCゲーム環境を手に入れる次の一歩を踏み出しましょう。
Steam Machineとは?新たなリビングゲームの形

(出典:Steam)
Steam Machineは、Valveが開発・リリースする新しいハードウェア製品の一つであり、小型ながらもパワフルなゲーミングPC です。このデバイスは、リビングルームの大画面でのゲームプレイに特化して設計されています。
Valveはかつて2010年代に、他のメーカー(AlienwareやLenovoなど)と提携して初代Steam Machineを展開していましたが、当時のLinux環境のゲームサポート不足やソフトウェアの未成熟さが原因で、商業的には成功しませんでした。
しかし、携帯型ゲーミングPC「Steam Deck」が大成功を収め、その基盤であるLinuxベースの SteamOS とWindowsゲーム互換レイヤー Proton が大幅に進化した結果、Valveは満を持して新たなSteam Machineのリリースに至りました。
新型Steam Machineは、コンソールのような利用形態 を主軸に設計されています。マウスやキーボード、複数のディスプレイを使用するPCとしての柔軟性も持ち合わせていますが、その中心となるコンセプトは、家庭用ゲーム機として簡単に扱えること です。
Valveは、Steam Deckユーザーの約20%が公式ドックを使って携帯機をテレビに接続している事実を受け、Steam Deckの携帯性による性能制限を解消し、より本格的なリビングルーム体験を提供するためにSteam Machineを開発しました。Valveによると、このSteam Machineは Steam Deckの6倍以上の性能 を誇ります。
Steam Machineの魅力的な筐体デザイン

(出典:Steam)
Steam Machineの筐体は、Xbox Series Xよりも小さく、GameCubeに近いサイズの小型キューブ型となっています。具体的な寸法は、高さ、奥行き、幅がおよそ6.5インチ(約16.5cm)の立方体に近いサイズです。
特に注目すべきは、そのデザインと機能性です。
- カスタマイズ可能なフロントパネル
前面プレートはマグネット式で取り外し可能となっており、クリーニングの他、ユーザーがカスタムしたり、3D CADファイルを使って自作したりすることが想定されています。Valveは、システム情報が表示されるカスタムのE-Inkディスプレイ付きのモデルをテストルームで展示していました。 - LEDライトストリップ
フロント下部にはカスタマイズ可能なLEDストリップが搭載されており、ゲームのダウンロード進捗状況を表示する機能も持っています。 - 静音性と冷却
小型ながら、PS5やXbox Series Xと同等の最大200Wの電力 を消費するため、冷却設計には細心の注意が払われています。 Valveは、ファンを最初に設計 し、その周りにシステムを構築したと述べており、直径の大きな120mm排気ファンと巨大なアルミ製ヒートシンク、銅製ヒートパイプを採用しています。Valveは、ケーブルの飛び出しを考慮し、排気がオープンエアに吹き出すようにポートを背面に配置するなど、リビングルームでの使用を徹底的に考慮した設計が施されています。 - 電源内蔵
外部に大きな電源アダプター(パワーブリック)が不要な、内蔵電源(300W電源) を搭載しています。
スペック、価格、発売時期を徹底分析!PS5やXboxとの性能比較

(出典:Steam)
Steam Machineの性能は、リビングルームでの4Kゲーミングをターゲットにしながらも、価格帯を抑えることを意識した構成になっています。
発売時期と価格帯
【発売時期】 Steam Machineは、2026年初頭 にSteam ControllerやSteam Frameと共に順次出荷予定 です。
【価格帯】 現在(発表時点)では、詳細な価格は未定 です。
Valveは、価格について「コンソールとしてではなく、エントリーレベルのPCとして価格設定される」と述べており、同様のスペックを持つゲーミングPCと比較して競争力のある価格を目指しています。しかし、現在、DRAMなどの市場価格が変動しているため、価格決定が難しい状況にあるようです。
一部の予想では、512GBモデルが500ドル(約7万5千円)程度であれば非常に魅力的、または600ドル(約9万円)程度ではないかという見方もありますが、1000ドル(約15万円)を超えるとコンソール市場での競争は難しくなると指摘されています。
主要スペックと性能
Steam Machineは、AMDのセミカスタムチップを搭載しています。
| 部品 | 詳細スペック | 補足情報 |
|---|---|---|
| CPU | Semi-custom AMD Zen 4 6コア/12スレッド、最大4.8 GHz、30W TDP | モバイルAPU「Hawk Point」ベースの可能性。非常に高性能で、長期間にわたり対応可能。 |
| GPU | Semi-custom AMD RDNA 3 28 CU、最大2.45 GHz(持続クロック)、110W TDP | Radeon RX 7600 (Navi 33) のカットダウン版 (RX 7600は32CU) に相当。 |
| メモリ/VRAM | 16 GB DDR5 + 8 GB GDDR6 VRAM | VRAM 8 GBは現代のAAAタイトルには懸念材料だが、価格を重視した設計。 |
| ストレージ | 512 GB SSD または 2 TB SSD (M.2 2230) | 標準のM.2 2280ドライブに換装可能で、アップグレードは比較的容易。 |
PS5/Xbox Series Xとの性能比較

Valveは、FSR(FidelityFX Super Resolution)などのアップスケーリング技術を使用することで、4K解像度で60 FPSでのゲーミング を目指しています。
- コンソールとの位置づけ
Steam Machineは、Xbox Series SとPS5の中間に位置し、PS5にやや近い性能を持つと評価されています。PS5の方が総合的な性能では上回る可能性もあります。 - 実測性能
『サイバーパンク2077』のデモでは、FSRを使い1440p/60fpsでの動作は容易でした。しかし、レイトレーシング(RT)をオンにすると30fps台に落ち込むこともありました。また、Unreal Engine 5を採用したゲームでは、4K/Ultra設定では15~20fps程度で動作が困難であり、1440p/中設定に落とす必要がありました。 - VRAMの懸念
最新のAAAゲームは10GB以上のVRAMを使用することが多いため、8 GBのVRAM は、特にテクスチャ品質を下げたり、スタッタリング(カクつき)が発生したりする原因となる可能性があります。Valveは価格競争力を高めるために8 GBの選択をしましたが、ユーザーは画質設定を調整する必要が出てくるでしょう。 - レイトレーシング(RT)対応
RDNA 3ベースのGPUは、レイトレーシングに対応しています。現在Valveがドライバーの最適化作業に注力していることもあり、発売時にはハードウェアが持つRT性能がしっかりと引き出される(最適化される)見込みです。
このSteam Machineは、プラグアンドプレイを望むコンソールゲーマー層 にとって魅力的な製品ですが、最高の性能を得るためには、PCゲーマーの伝統である設定の調整(Tweak) が必要になる場面が多くなるでしょう。
接続性と拡張性

(出典:Steam)
Steam Machineは、PCとしての機能を保持しており、豊富なI/Oポートを備えています。
- 背面ポート
DisplayPort 1.4、HDMI 2.0 (ハードウェア的には2.1対応)、ギガビットEthernet、USB Type-C 3.2 Gen 2 (10 Gbit/秒)、USB Type-A 2.0 x 2。 - 前面ポート
USB Type-A 3.2 Gen 1 x 2。 - 無線接続
Wi-Fi 6Eに対応。 - 専用コントローラー接続
Bluetoothとは別に、Steam Controller用の専用アンテナを搭載し、1つのSteam Controller Puckで最大4台のSteam Controllerを接続できます。 - ストレージ拡張
内部SSDのアップグレードが可能であることに加え、前面にmicro SDカードスロットがあり、Steam Deckとの間でゲームライブラリを簡単に交換できます。
Steamって?SteamOSは他のOSと何が違う?

(出典:Steam)
Steam Machineの核となるのは、Valveが提供するSteamというプラットフォームと、専用OSであるSteamOSです。
Steamとは
Steamは、さまざまなゲームを取り扱うデジタル配信プラットフォームであり、現在、ゲーム業界の主流プラットフォームの一つとなっています。Steamで所有している膨大なゲームライブラリは、Steam Machineでもそのまま利用できます。
SteamOSの特徴と進化
SteamOSは、Valveが開発したゲームプレイに特化したLinuxディストリビューションです。
1. Windowsゲームの互換性(Proton)
過去のSteamOS(Ver. 1.0/2.0、Debianベース)は、Linuxネイティブゲームを主にサポートしていましたが、現在のSteamOS 3.0 (Arch Linuxベース) は、Valveが開発したProtonという互換レイヤーを組み込んでいます。
Protonの機能により、本来Windows向けに開発されたゲームの多くが、SteamOS上でシームレスに動作します。Steam Deckの成功により、Steam Deckで動作する「Verified(互換性確認済み)」タイトルの数が非常に増えており、Steam Machineでもこの恩恵を受けることができます。Valveは、Steam Machineに対しても「Steam Machine Verified」プログラムを導入する予定です。
2. デュアルモードインターフェース
SteamOS 3.0は、使用目的に応じて以下の2つのモードを切り替えることができます。
- ゲーミングモード (Big Picture UI)
コンソールライクな操作体験を提供し、テレビでの大画面プレイに最適化されたユーザーインターフェースです。超高速なスリープ/スリープ解除機能も備えており、コンソール機のような手軽さがあります。 - デスクトップモード (KDE Plasma)
従来のPC操作を行うためのデスクトップ環境です。ユーザーは、Webブラウジング、ソフトウェアのインストールなど、一般的なPCタスクを実行できます。
3. 他のOSとの違い
SteamOSは、WindowsやMacといったOSとは異なり、ゲームに特化しつつ、Linuxベースであることの柔軟性を持っています。
- 無料でオープンソース
OSのコア部分は無料かつオープンソースであり、ユーザーはソフトウェアのいかなる部分も変更または置き換えが可能です(Steamクライアント自体はプロプライエタリな部分を含む)。 - Windowsの代替
Windowsに代わる選択肢として位置づけられており、Windowsのライセンス費用を節約したいユーザーにとっても魅力的です。 - 制限と課題
Linuxベースであるため、Windows向けのカーネルレベルのアンチチートソフトウェア を使用している一部のオンラインマルチプレイヤーゲーム(例:Battlefield 6)は、開発者の協力がない限り動作しません。また、メディアストリーミングアプリ(Netflix、Amazon Primeなど)のネイティブサポートがないため、これらの機能はWebブラウザ経由でアクセスする必要があります。
VRやMODは使える?Steamの拡張性

(出典:Steam)
Steam MachineはPCであるため、コンソール機にはない高い拡張性と柔軟性を持ち合わせています。
VRゲームへの対応
ValveはSteam Machineの発表と同時に、次世代VRヘッドセット「Steam Frame」 を発表しました。Steam Machineは、このSteam Frameへのゲームストリーミングに最適なデバイスとして位置づけられています。
Steam Frame自体がSteamOSを実行するスタンドアロンのARMベースのPCであり、PCからのストリーミングはもちろん、VR/非VRゲームをヘッドセットに直接インストールしてプレイすることも可能です。
Steam Frameの登場により、Steam MachineはSteamライブラリ全体をVR/XR環境でも楽しめるようになるための重要な接続点となります。
【VR酔いの注意点】
VR環境でのゲームプレイには、VR酔いという課題が伴います。VR酔いは、視覚情報と内耳や体の動きの情報が脳内で不一致を起こすことで、自律神経が混乱し、吐き気や頭痛を引き起こす症状です。
VR酔いを避けるためには、IPD(瞳孔間距離)を合わせる、頭を激しく動かさない、体調を管理する、徐々に慣らす、そしてコントローラーによる視点移動を避ける などの対策が推奨されています。
MOD利用の可能性
Steam MachineはPCベースのOS(SteamOS)を実行しているため、MOD(改造データ)を利用することが可能です。Steam Deck(SteamOS)のユーザーの間では、すでにMODを導入してゲームを楽しむ文化が根付いています。
1. 手動でのMOD導入
SteamOSでMODを導入する基本的な方法は手動でのインストールです。
- デスクトップモードへ切り替え
最初にゲーミングモードからデスクトップモードに切り替えます。 - MODファイルの入手
Nexus ModsなどのサイトからMODファイルをダウンロードします。Nexus Modsの公式Mod Manager (Vortex) はWindows専用であるため、使用できません。 - ゲームフォルダの特定
Steamライブラリから対象ゲームを選択し、「ローカルファイルを参照」機能を使ってゲームがインストールされているディレクトリを開きます。 - ファイル配置と解凍
ダウンロードしたMODファイルを、ゲーム開発者が指定した場所にコピーし、必要に応じて解凍(展開)します。手動で管理する場合、ダウンロードしたファイルや展開したファイルをメインのゲームフォルダとは別の場所に保管しておくと管理が容易です。
2. Mod Manager(Vortex)の利用
Windows専用であるVortex Mod ManagerをSteamOS上で動作させる方法も存在します。
Vortexを非SteamゲームとしてSteam Deckにインストールし、Proton互換レイヤーを使って実行します。ただし、Vortexがゲームを管理するためには、ゲームフォルダ自体をVortexが作成したWindows環境(Prefixフォルダ内のCドライブ)内に移動させるという手間のかかる作業が必要になります。
MODを多数導入すると、MOD同士の干渉やゲームのアップデートによるMODの破損などでゲームが不安定になるリスクが高まります。問題が発生した場合は、一度MODフォルダ内のファイルを全て削除してゲームを再起動するなどの対応が必要になります。
リビングをゲーミング専用機で彩る新たな選択肢

(出典:Steam)
Valveが提供する新しいSteam Machineは、高性能でありながらも、家庭用ゲーム機のようなシンプルさと、PCが持つ柔軟な拡張性を融合させた、リビングルーム向けのゲーミング専用機という新しい選択肢を提示しています。
Steam Machineの最大の魅力は、高価なパーツを組み合わせる従来のゲーミングPCとは一線を画し、手頃な価格帯とSteamOSによる最適化を重視している点です。これにより、高騰し続けるゲーミングPC市場の中で、高性能なPCゲーム体験を手軽に始めることができます。
- コンソールライクな手軽さ
SteamOSのゲーミングモードとProtonのおかげで、ユーザーは複雑なWindowsの設定やドライバーの問題に煩わされることなく、電源を入れてすぐにゲームを楽しめます。Valveは、Steam Deck、Steam Controller、Steam Frameといったハードウェア群で統一されたエコシステムを構築しており、セーブデータやアカウントがシームレスに連携します。 - PCとしての柔軟性
ストレージの交換が容易であり、MODの利用やデスクトップモードでの作業も可能であるため、単なるゲーム機にはとどまりません。 - 次世代コンソール市場への影響
PS5やXbox Series X(特に次世代のXbox)がPC的な要素を取り入れようとする中、ValveはSteamOSという強力なソフトウェア基盤と、Steamという巨大なゲームライブラリを武器に、コンソール業界に正面から挑戦しています。
Steam Machineは、ゲーミングPCをゲーミングのみに限定して使用したいユーザーにとって、非常に現実的で魅力的な選択肢となります。もしあなたが、リビングルームのテレビでSteamライブラリを手軽に最大限楽しみたいと考えているなら、2026年初頭の発売に向け、ぜひこのSteam Machineの動向を追ってみてください。
みんなのらくらくマガジン 編集長 / 悟知(Satoshi)
SEOとAIの専門家。ガジェット/ゲーム/都市伝説好き。元バンドマン(作詞作曲)。SEO会社やEC運用の経験を活かし、「らくらく」をテーマに執筆。社内AI運用管理も担当。



