スマホのワイヤレス充電とは?仕組みや対応機種、メリット・デメリットなどを解説

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ワイヤレス充電は、スマホを充電器に近づけるだけでバッテリーがチャージされる画期的な充電方式。「充電ケーブルの抜き差しいらない」、「iPhone・Androidを問わずに充電できる」など、真新しさだけでない実用的な充電方法として普及が進んでいます。

今回はそんなワイヤレス充電について、仕組みや対応機種、メリット・デメリットなどを解説します。この記事を読んで魅力を感じた方は、ぜひ一度ワイヤレス充電を体感してみてください。

ワイヤレス充電とは

ワイヤレス充電器は、充電ケーブルを使わない新しいスマホの充電方式。専用のスタンドやパッドの充電部分にスマホを近づけるだけでバッテリーがチャージされます。「inductive charging(非接触充電, 直訳で「誘導的な充電」)ともいいます。

ワイヤレス充電は、2017年にAppleが国際標準規格の「Qi(チー)」をiPhone 8に採用したあたりから、急速に普及が進みました。2021年時点でワイヤレス充電が可能な(Qi搭載の)スマホは3台に1台。2025年にはスマホ出荷台数の半数以上がワイヤレス充電に対応すると言われています。

また2023年1月には、AppleのMagSafe技術を利用した「Qi2(チーツー)」が登場。iOS・Androidで規格が統一されたほか、充電速度や安全性も向上し、ワイヤレス充電はさらに使いやすくなりました。

ワイヤレス充電の仕組み

ワイヤレス充電の標準規格Qi2では「電磁誘導方式」という仕組みが採用されています。電磁誘導方式とは、2つのコイルの間に生じる誘導起電力を用いた方法です。

ワイヤレス充電器には送電用のコイル、スマホには受電用のコイルが内蔵されており、磁力を媒介として送電用から受電用に電力が送られます。充電器のコイルに電流を流すと磁力が発生し、その磁力の影響を受けてスマホのコイルで電流が発生するという仕組みです。コイルに磁石を近づけると電流が発生する「電磁誘導の法則」に基づいています。

最新規格「Qi2(チーツー)」について

2023年1月、Qiを策定するWPCはAppleのMagSafe技術を取り入れた「Qi2」を発表。これにより、ワイヤレス充電の利便性は大きく向上しました。

QiからQi2へのアップグレードでの変更点は、第一にワイヤレス充電の電力数(ワット数)が最大15Wに統一されたこと。従来、ワイヤレス充電の電力数は、充電器とデバイスの組み合わせによってまちまちでしたが、Qi2では一律で最大15Wとわかりやすくなりました。

またバックパネルに磁石で充電器を固定するAppleのMagSafe(マグネット吸着)方式がAndroidにも採用されることもポイントです。これにより、充電位置がずれる問題が解消されるほか、ユーザーを混乱させていたQiとMagSafeの二元論も実質なくなりました。

そのほか、Qi2では異物検出機能が強化され、安全性が向上していることも魅力的です。充電部分で金属片などの異物が検知されると充電がストップする仕組みが採用されたので、発熱・発火トラブルがより起こりにくくなります。

・QiとMagSafe、両者を組み合わせたQi2の比較表

Qi MagSafe Qi2
電力 iPhone:最大7.5W

Android:最大5〜15W

iPhone:最大15W iPhone:最大15W

Android:最大15W

対応OS iOS・Android iOS

※iPhone 12以降のみ

iOS・Android
マグネット吸着 × ⚪︎ ⚪︎

 

ワイヤレス充電が可能なスマホ機種

下記の通り、iPhone・Androidともに数多くの機種がワイヤレス充電に対応しています。

・ワイヤレス充電が可能なスマホ機種の例

iPhone Android
iPhone 15シリーズ

iPhone 14シリーズ

iPhone 13シリーズ

iPhone 12シリーズ

iPhone 11シリーズ

iPhone Xシリーズ

iPhone 8シリーズ

Google Pixel 7/8シリーズ

Google Pixel Fold

Galaxy S20/S21/S22/S23/S24

Xperia 1 II/III/IV/V

Xperia 5 IV/V

AQUOS R3/R4/R5

なお、スマホでワイヤレス充電が可能かどうかの判断基準は、QiないしQi2に対応していることです。そのため、上の表にお使いのスマホがない場合は、ネットで「(機種名) Qi対応」などと検索してみると良いでしょう。

ワイヤレス充電はスマホ以外にも使える

QiあるいはQi2規格のワイヤレス充電は、スマホだけでなくその他の電子機器にも広く適用されつつあります。具体的には、ワイヤレスイヤホンやスマートウォッチ、カメラ、電気シェーバー、ゲームコントローラーなどです。

複数台の同時充電に対応したワイヤレス充電器では、スマホ・イヤホン・スマートウォッチなどを並べて一緒に充電することもできます。ワイヤレス充電はOSやコネクタ形状を問わないので汎用性が高く、今後はさらに広い領域へ適応が進むかもしれません。

ワイヤレス充電のメリット

iPhoneで無接点充電をする様子

ワイヤレス充電には以下のようなメリットがあります。

近づけるだけで充電できる

ワイヤレス充電では、スマホを充電部分に近づけるだけで充電が開始されます。具体的には、スマホを充電スタンドに置いたり、バックパネルに充電パッドを磁石で付けたりするだけで充電できます。

ケーブルの抜き差しがない分、従来の充電方式よりもワイヤレス充電のほうが簡単です。また充電器をコンセントに差しっぱなしにしておく場合も、ケーブルがだらっと床に垂れないため、ワイヤレス充電のほうがスタイリッシュな印象を与えます。

ケーブルの断線や端子の故障などが起こらない

充電ケーブルを使わないワイヤレス充電では、ケーブルの断線や端子の故障などに悩まされることはありません。接触不良でケーブルを買い替えたり、スマホのコネクタ部分を修理に出したりといったことがないのです。

またケーブルレスと言う観点で、ワイヤレス充電の方が安全性も高いといえます。ケーブルの損傷部分から漏電したり、コネクタに異物が入り込んだりして異常発熱が起こる心配がないからです。

iPhone・Androidの両方を充電できる

ワイヤレス充電では、iOSとAndroidで同じ規格(Qi・Qi2)が使われています。そのため、1つのワイヤレス充電器でiPhoneとAndroidスマホの両方を充電することが可能です。

よって、ワイヤレス充電は、家族や友達同士で充電器をシェアする場合にも便利です。例えば、リビングに1台ワイヤレス充電器を設置しておけば、スマホの機種を気にせず、皆がそこで充電できます。

複数機を同時充電できるワイヤレス充電器も

ワイヤレス充電器には、幅広のパッドに複数台を並べて同時充電ができる商品もあります。スマホ複数台の同時充電はもちろん、スマホとスマートウォッチ、ワイヤレスイヤホンの充電器などを組み合わせて充電することも可能です。

同時充電の場合、ケーブルの抜き差しが入らないワイヤレス充電の手軽さがより際立ちます。また複数台を充電してもケーブルが混雑しないため、見た目の点でもスマートに充電できることも魅力です。

ワイヤレス充電のデメリット・注意点

一方、ワイヤレス充電には以下のようなのデメリットもあるので注意してください。

ケーブル充電に比べると充電が遅い

ワイヤレス充電では、「電磁誘導」という間接的な仕組みで送電するため、直接電流を流し込めるケーブル充電よりも充電速度に劣ります。ケーブル充電では1時間足らずの急速充電も可能ですが、ワイヤレス充電の場合は2〜3時間は待たなければなりません。

とはいえ、ワイヤレス充電の規格がQi2にアップグレードされたことで、充電速度も随分改善されました。Qi2規格ではiPhone・Androidを問わず、一律で15Wの充電に対応しています。そのため、常にわずかな時間で超高速充電がしたい場合を除き、ワイヤレス充電の充電速度でも不便を感じることは少ないはずです。

充電位置がずれると正しく充電されない

電磁誘導方式のワイヤレス充電は伝送距離が短いため、充電位置のズレにシビアです。数センチでも正しい充電器から外れてしまうとうまく充電されないことがあります

「ワイヤレス充電器に置いていたのに、数時間後に確認したら全く充電できていなかった」というトラブルも起こりがち。その点、充電ケーブルで直接つなぐ従来の方式なら、確実に素早く充電できるので安心です。

しかし、この充電位置のズレの問題も、Qi2規格の登場によって実質解消されました。Qi2にはスマホにマグネットを内蔵するAppleのMagSafeが採用されています。Qi2充電器では磁石でスマホのバックパネルに充電部分を固定できるため、充電位置はずれません。

充電しながら使用しにくい

スマホを置いて充電するタイプのワイヤレス充電器では、スマホを移動させられないので、充電中の使用は難しいといえます。従来のように充電ケーブルを挿したままスマホを持って操作することはできず、人によっては使い勝手が悪いと感じることもあるでしょう。

例外として、バックパネルに充電器をマグネットで固定できるQi2(MagSafe)の機種であれば、充電中も手に持って操作が可能です。今後はQi2対応の機種がどんどん増えてくるので、やがてこのデメリットも解消されるかもしれません。

またスタンドタイプのワイヤレス充電器は、映像や画像を見ながらスマホを充電するのに便利です。このように、充電器選びを工夫すれば、充電中も快適にスマホを使えます。

ワイヤレス充電を体験してみよう!

総じてワイヤレス充電は従来のケーブル充電よりも便利です。当初懸念されていた充電速度その他の問題点も、新しいQi2規格の登場によりおおむね解消されつつあります。今後はさらに進化を続けるでしょう。

まだワイヤレス充電を未体験の方は、これを機会にぜひ始めてみてください。新たにワイヤレス充電器やスマホを購入する場合は、Qi2規格に準拠したものがおすすめです。

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