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パルワールドの特許権侵害で任天堂が提訴。日本と海外の反応のちがい

2024年9月19日、任天堂は、”パルワールド” が複数の特許権を侵害しているとして、株式会社ポケモンと共同で、ゲーム開発会社の株式会社ポケットペア(東京都品川区)に対する訴訟を提起したと発表しました。

“パルワールド” とは、PCゲーム配信プラットフォーム “Steam” 上で配信されている、”オープンワールドサバイバルクラフトモンスター育成ゲーム” です。

わずか3日500万ダウンロードを突破する人気のゲームで、2023年1月19日に早期アクセス版がリリースされた当初から “ポケモンに似ている” との指摘がSNS上で相次いでいました。

この記事では、日本在住の私が、いま問題となっているゲーム “パルワールド” について、日本でどのように報道され、日本のSNSではどんな声が多いのかについてお伝えします。

参考記事:「パルワールドとは?どんなゲーム?価格や開発元の会社はどこ?どこの国?」(姉妹サイト “みんなのらくらくマガジン” より)

任天堂が株式会社ポケモンと共同で開発元のポケットペアを提訴

2024年9月19日、任天堂が 公式サイトのお知らせページ で、下記のような声明を発表。

ゲーム “パルワールド” が複数の特許権を侵害しているとして、株式会社ポケモンと共同で、ゲーム開発会社の株式会社ポケットペア(東京都品川区)に対する訴訟を東京地方裁判所に提起したことが明らかになりました。

株式会社ポケットペアに対する特許権侵害訴訟の提起について

任天堂株式会社は、株式会社ポケモンと共同で、2024年9月18日に、株式会社ポケットペアに対する特許権の侵害訴訟を東京地方裁判所に提起しました。

この訴訟は、被告が開発・販売するゲーム「Palworld / パルワールド」が複数の特許権を侵害しているとして、侵害行為の差止及び損害賠償を求めるものです。

当社は、長年の努力により築き上げてきた当社の大切な知的財産を保護するために、当社のブランドを含む知的財産の侵害行為に対しては、今後も継続して必要な措置を講じていく所存です。

(引用:任天堂 公式サイト

この声明が発表されると、さまざまなメディアがこの問題を取り上げ、日本のX(旧Twitter)トレンドの1位に “パルワールド”、4位に “ポケットペア” が入るなど、大きな話題になりました。

日本のSNSでの反応は?

今回の問題について、日本の各メディアは “任天堂と株式会社ポケモンが提訴した” という事実を伝えるだけで、明確に開発元の株式会社ポケットペアを非難しているメディアは少なかったです。

ただ、日本のSNSでの反応は、提訴事実の発覚直後から、パルワールド開発元の株式会社ポケットペアに対する批判的な意見が多く、”やっと任天堂がパルワールドの件でポケットペアを訴えたか”、”鉄槌を下して頂きたい” など、提訴した任天堂と株式会社ポケモンの姿勢を支持する声が多く見られました。

また、過去の特許権訴訟における任天堂の強さは、ゲーム好きな人にはよく知られているので、”「任天堂の法務部は最強」と言われますから、勝てると踏んでるんでしょう”、”【悲報】ポケットベア、史上最強の任天堂法務部を敵に回してしまう” など、任天堂が動いた以上、訴訟は任天堂が優勢の結果に終わるのだろうと予測するユーザーの声も多かったです。

海外と日本での反応のちがいはなぜ?

X(旧Twitter)を見ると、パルワールドの公式Xの声明に対して、海外ユーザーからの応援コメント・擁護コメントも多く見られるのですが、日本では擁護のコメントは少なく、開発元に対する批判コメントの方が多いという反応の違いがあります。

海外と日本とで反応が違っている理由として、2つの要因が考えられます。

理由1. 任天堂は寛容というイメージ

1つは、日本では、過去に任天堂が特許権の侵害を訴えたケースを見る中で、”任天堂は著作権や特許権に寛容”、”任天堂はパクリには寛容だけど、パクったIP使ってライセンスビジネスをやろうとする奴は許さない” だけだというイメージを持つユーザーが一定数いることが影響しています。

任天堂は、”十字キー” や “チャージ”、”スリープ機能” まで130種類のゲーム特許を持っているものの、”ゲーム業界の発展のため基本はフリーで使えるようにしている。ただ、その機能を模倣した上でライセンスを取ろうとする会社や、独占的な利益を得ようとする会社が出てきたときに特許権の訴訟を起こす” というイメージがあるんですね。

「任天堂に訴えられる」=「訴えられるだけの理由があるケース・やりすぎたケース」という印象なのです。

実際、日本ユーザーの中には、2024年7月に株式会社ポケットペアが、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント、株式会社アニプレックスと協業して、パルワールドの国内外におけるライセンス事業を推進するために “株式会社パルワールドエンタテインメント” を設立したことが提訴の引き金になったのではという見方をする人が少なくありません。

理由2. 株式会社ポケットペア側のリスペクトに欠ける発言

日本で開発元のポケットペアに対する批判の反応が多いもう1つの要因として、ポケットペア側のポケモンを含め既存ゲームに対する “リスペクトのない発言が炎上した過去があること” が考えられます。

今回の提訴が明らかになる前から、株式会社ポケットペアの代表 溝部拓郎氏に対して、過去のX(旧Twitter)上で “Switchをクソハード” と称していたことや、AI生成したキャラを引用して “どっちがポケモンか分からない” と発言していたことから、制作者たちに対するリスペクトがないのではという指摘の声がありました。

かねてから、オリジナル制作者や既存ゲームに対する姿勢が疑問視されていたこともあり、批判の声が広がったのですね。

「インディーゲーム」を主語にしたことがさらに反感を買う

さらに、提訴事実の発覚後にポケットペアが出した声明文も日本ユーザーの反感を買う結果になりました。

問題となったのは、下記の箇所です。

当社は東京を拠点とする小規模なインディーゲーム開発会社です。
私たちの目標は常に楽しいゲームを作り続けることです。この目標は今後も変わらず、多くのゲーマーの皆様に喜びを提供するために、ゲーム開発を続けます。

今回の訴訟により、ゲーム開発以外の問題に多くの時間を割かざるを得ない可能性がある状況は非常に残念ですが、ファンの皆様のため、そしてインディーゲーム開発者が自由な発想を妨げられ萎縮することがないよう、最善を尽くしてまいります。

(引用:株式会社ポケットペア 公式X

上記を読むと、インディーゲームの代表者という印象に取れるものの、そもそも株式会社ポケットペアが小規模インディーゲーム会社なのかという指摘と、インディーゲーム開発者のすべてが同社のように模倣をするわけではないと言う指摘が相次ぎ、当のインディーゲーム開発者の人々からも批判の声が上がりました。

実際、パルワールドの制作費は10億円、売り上げは700億近いと言われる中で、”小規模なインディーゲーム開発会社” と言われることに、違和感を感じる人は少なくないでしょう。

自社の責任を、”大手ゲーム会社” 対 “インディーゲーム開発会社” というストーリーにして、論点をすり替えていると指摘する声も少なくなく、今回の声明文は、結果的に批判の声を拡大するものになってしまいました。

訴訟に強い任天堂にどう対抗するのか、今後の展開に注目

このように、”パルワールド” の特許権侵害訴訟に関しては、日本でも大きな話題となりました。

海外では擁護コメントをする人も多いですが、日本では、任天堂の過去の特許権訴訟の事例を見ても、開発元である株式会社ポケットペア側の問題を指摘する声が多く、今後の動向に注目が集まっています。

パルワールドが今後のゲーム開発にどのような影響を与えるのか、目が離せません。

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