ポリコレとは？わかりやすく解説。何が問題？メリット・デメリット

『ポリコレ（ポリティカル・コレクトネス）』とは、差別や偏見をなくし、すべての人々が平等に尊重される社会を目指すための考え方や言葉遣いを指します。その目的には大きな意義がありますが、一方で言論の自由や自由な議論の妨げになるとの意見もあります。

この記事では、ポリコレの基本的な概念、抱える問題点、そしてメリットとデメリットについてわかりやすく解説します。

ポリコレとは？

ポリコレとは、『ポリティカル・コレクトネス（political correctness） 』の略語です。

「政治的な正しさ」という意味があり、人種や国籍、障がい、宗教などに対する様々な差別表現を避け、中立的な表現を使うことを目的とした取り組み、対策のことを指します。

ポリコレが社会に与えた身近な例として、「看護師」が挙げられます。

以前は看護師の男性を「看護士」女性を「看護婦」と呼んでいましたが、職業における性差別をなくすのを目的に男性女性共に「看護師」に改められました。

ポリコレの表現例

・性別表現
先述の「看護師」の例の他にも、「客室乗務員」や「保育士」など性差別を避けるために職業等の名称・呼称が改められた例が多く存在しています。また、報道において子どもに使う「くん」や「ちゃん」という敬称が「さん」という表現に統一される例が増えました。

このように近年では、性別を特定されずにすべての人に適応できるような表現が多用されるようになり、これらはポリコレの影響と言われています。

・人種表現
人種による表現にポリコレが適応される例もあります。

日本では以前、クレヨンなどの画材の色の名前に「はだいろ」という色がありました。しかし、肌の色は一定ではないという想いから一部のメーカーは「うすだいだい」と呼称を変える事例がありました。

・映像作品やゲームでの表現
映画やドラマなどの映像作品やゲームにおいてもポリコレを配慮した表現が多用されるようになりました。登場人物に多種な肌の色の人物が登場したり、美男美女が偏らないように表現の工夫がされている作品が増えています。

メリットとデメリット

何のためにポリコレを行うのかを明確にするために、メリットとデメリットを整理しましょう。

メリット

1. 差別や偏見の削減

ポリコレは、差別的な表現や行動を避けることを奨励するため、社会全体の差別や偏見を減らすことに寄与します。

2. 包摂的な社会の促進

多様な背景を持つ人々が尊重され、排除されない社会を作るために、ポリコレは重要な役割を果たします。これにより、少数派やマイノリティがより快適に感じられる環境が整えられます。

3. 意識向上

ポリコレの普及により、人々の間での差別や偏見に対する意識が高まり、無意識のうちに行っていた差別的な言動が減少します。

4. 職場環境の改善

企業や組織においてポリコレを実践することで、多様な従業員が働きやすい職場環境が整えられ、職場の満足度や生産性が向上することがあります。

5. 社会的公正の推進

ポリコレは社会的公正の理念を広める手段となり、不公平や不正を是正するための一助となります。

デメリット

1. 言論の自由の制限

ポリコレが過度に適用されると、特定の言葉や表現を避けることが求められ、言論の自由が制限されると感じる人がいます。これにより、自由な意見交換が困難になることがあります。

2. 自由な議論の妨げ

ポリコレが強調されすぎると、重要な社会問題についての議論が抑制されることがあります。これにより、問題の核心に触れることができない場合があります。

3. 偽善的な実践

ポリコレが表面的なものであると見なされる場合があります。実際には心からの変革が行われていないのに、形式的に正しい言葉遣いだけが強調されることがあります。

4. 不快感の増加

一部の人々は、ポリコレが過度になると「窮屈」と感じ、逆に反発を生むことがあります。特定の言葉を使わないことが強制されることで、ストレスや反感が生まれることがあります。

5. 一部の意見の排除

ポリコレが特定の視点や意見を抑圧するために使われることがあります。これにより、多様な視点や意見が議論から排除される危険性があります。

6. 文化や歴史の否定

過去の文化や歴史的な作品が、現代のポリコレ基準に合わないという理由で修正や排除されることがあります。これにより、文化的遺産や歴史の理解が歪められることがあります。

ポリコレは差別を偏見を減らす重要なツール

ポリコレは社会における差別や偏見を減らすための重要なツールであり、その意図には多くの賛同が得られています。しかし、その適用方法や範囲については慎重な検討が必要であり、過度な適用が新たな問題を生む可能性があることを認識することが重要です。