網膜投影AIスマートグラス「Halliday AI Glasses（ハリデーAIグラス）」の全貌：次世代ウェアラブルの可能性と魅力

近年、目まぐるしく進化を遂げるウェアラブルデバイスの中でも、特に注目を集めているのがスマートグラスです。その中でも、2025年のCESで大きな話題となり、クラウドファンディングで約10億円もの資金を集めた「Halliday AI Glasses（ハリデーAIグラス）」は、従来のスマートグラスの概念を覆す可能性を秘めた革新的な製品として、世界中のテック愛好家から熱い視線を浴びています。

このHalliday AI Glassesは、一体どのような製品なのでしょうか。なぜこれほどまでに多くの人々を魅了し、大きな期待が寄せられているのでしょうか。この記事では、Halliday AI Glassesの特徴、従来のスマートグラスとの違い、その機能、安全性、日本語対応状況、そして日本での入手方法や価格について、詳細に解説していきます。

Halliday AI Glasses（ハリデーAIグラス）とは？

（出典：Kickstarter）

Halliday AI Glassesは、「網膜投影AIスマートグラス」と称される最先端のウェアラブルデバイスです。その最大の特徴は、独自の「DigiWindow（デジウィンドウ）」技術を用いて、コンテンツを直接ユーザーの網膜に投影する点にあります。この技術により、ディスプレイは周囲からは全く見えず、ユーザーだけが情報を見ることができるため、プライバシーが保護されると同時に、明るい日光の下でも鮮明な視認性を実現しています。

開発メーカーはMOODY HOLDINGS INC.で、2025年3月29日の時点で、米Kickstarterで約4億9,773万円（330万5,917USドル）、米Indiegogoで約5億2,324万円（346万3,907USドル）という、合計約10億円に及ぶ莫大な資金をクラウドファンディングで調達することに成功しました。これは、AIグラスプロジェクトとしては史上最高額であり、その期待値の高さがうかがえます。

見た目はごく普通のメガネと変わらず、わずか35gという驚異的な軽さも特徴の一つです。これにより、長時間の装着でも快適さを損なうことなく、日常生活にシームレスに溶け込むことを目指しています。

従来のスマートグラスとの決定的な違い

Halliday AI Glassesが注目される理由は、これまでのスマートグラスが抱えていた課題を解決し、新たな体験を提供している点にあります。

「DigiWindow」技術による網膜直接投影で実現する究極のプライバシー

（出典：Kickstarter）

従来のARグラスの多くは、レンズ自体に映像を投影したり、外部からディスプレイが見えたりする構造が一般的でした。しかし、Halliday AI Glassesは同社独自の「DigiWindow」技術を採用し、コンテンツを直接ユーザーの網膜に投影します。これにより、表示されている情報はユーザーにしか見えないため、他者からの覗き見を完全に防止し、プライバシーを保護できます。

この網膜投影の仕組みは、マイクロLED（非常に小さなLED）を使って、視界の右上隅に目立たない仮想スクリーンを作り出すというものです。この技術は、外部からの光の干渉を受けにくいため、明るい日光の下でも鮮明な表示が可能であり、これまでのARグラスで課題とされてきた光漏れや画面のちらつきも発生しません。

まるで普通のメガネ：驚異的な軽量性とデザイン

（出典：Kickstarter）

多くのスマートグラスやAR/VRヘッドセットは、その技術的な制約から、どうしても大きく、かさばるデザインになりがちでした。しかしHalliday AI Glassesは、わずか35g（一部資料には28.5gの記載もあり）という超軽量設計を実現しています。これは、一般的なスマートグラスの約半分に相当する重さで、まるで普通のメガネをかけているかのような感覚で、一日中快適に着用できます。

デザインもクラシックなウェリントンやボストンフレームスタイルにインスパイアされており、ブラック、タートイズ、グラディエントの3色のフレームカラーが用意されています。さらに、度付きレンズにも対応しているため、視力矯正が必要なユーザーも特別な準備なく利用できます。この「目立たない」デザインは、スマートグラスを日常生活に自然に溶け込ませる上で非常に重要な要素と言えるでしょう.

Proactive AI Agent：予測するパーソナルアシスタント

（出典：Kickstarter）

Halliday AI Glassesの核となる技術の一つに「Proactive AI Agent（プロアクティブAIエージェント）」が挙げられます。従来のAIアシスタントの多くが、ユーザーからの明確な指示に対して反応する「リアクティブ（反応型）」であるのに対し、HallidayのAIは、ユーザーの会話を常に聞き取り、状況に応じた提案や情報サポートを予測的に提供します。

まるで「第二の脳」のように機能し、会話の内容を分析して情報不足を特定したり、リアルタイムで事実確認を行ったり、質問に対して迅速に回答を生成したりすることができます。これにより、ユーザーはスマートフォンを取り出す手間を省き、目の前の会話や作業に集中しながら、必要な情報を得られるようになります。

カメラ非搭載によるプライバシーの確保

Halliday AI Glassesはカメラを搭載していません。これは、一部のスマートグラスが盗撮などのプライバシー侵害の懸念から社会的に敬遠されてきた歴史を踏まえると、非常に重要な特徴です。カメラがないことで、ユーザーは周囲の人々に対して安心感を与え、また自身もプライバシーの心配なく利用できます。Hallidayの開発哲学は「Less is more（少ない方がより良い）」であり、エンターテインメントよりも「日常生活や仕事の改善」に焦点を当てています。

直感的で目立たない操作方法：リングコマンドとテンプルコントロール

（出典：Kickstarter）

Halliday AI Glassesの操作は、非常に直感的で目立たないように設計されています。主に2つの方法があります。一つはメガネ本体の「テンプルタッチコントロール」で、テンプル（つる）をタップしたり、スライドさせたりして操作します。もう一つは、付属の「コントロールリング」（リングコマンド）です。

このスマートリングを指に装着することで、スマートフォンをポケットに入れたままでも、スワイプ、タップ、長押しといったジェスチャーでスマートグラスを操作できます。これにより、スマートグラスを操作していることが周囲に気づかれにくく、より控えめなインタラクションが可能になります。リングには加速度センサーも内蔵されており、ポインティング操作も可能です。

「視野を遮らない」ディスプレイ体験

（出典：Kickstarter）

Halliday AI GlassesのDigiWindowディスプレイは、3.5インチスクリーンと同等の視野を提供しつつも、周囲の視界を一切遮らない設計になっています。これは、メインの視線から外れた位置に仮想スクリーンが表示されるため、現実世界に集中しながらも、必要な情報をちらっと見るだけで確認できることを意味します.

従来のARグラスが抱える「視野角の狭さ」という課題に対し、Hallidayはディスプレイを視界の中央に大きく表示するのではなく、情報を目立たずに提供するという異なるアプローチを取っています。これにより、ユーザーは現実の環境とシームレスに繋がりながら、AIアシストによる情報恩恵を受けられるのです.

Hallidayはどこの国の会社？

Halliday AI GlassesのメーカーはMOODY HOLDINGS INC.です。この会社は米国に拠点を置いていると考えられます。Halliday AI Glassesは、米国のクラウドファンディングサイトであるKickstarterとIndiegogoで大規模な資金調達を行っています。

ただし、光学系の技術については、シンガポールのGeekSlabsという会社（元々は中国の青春鍵（Chunji Technology）という企業が前身）の技術が関連している可能性が示唆されています。Hallidayは、この光学系の専門知識を持つ企業と協力して、その革新的なディスプレイ技術を実現していると考えられます。

Halliday AI Glassesでできること

Halliday AI Glassesは、その軽量なボディに多岐にわたる機能を搭載しており、日常生活からビジネスシーンまで、様々な場面でユーザーをサポートします。

AIによるリアルタイム翻訳機能

（出典：Kickstarter）

Halliday AI Glassesは、日本語を含む40を超える言語に対応したリアルタイム翻訳機能を搭載しており、将来的には130を超える言語をサポートする予定です。内蔵マイクで会話を聞き取り、その翻訳結果をDigiWindowディスプレイに表示することで、外国語でのコミュニケーションをサポートします。これにより、旅行やビジネスでの国際交流がよりスムーズになるでしょう.

Proactive AI Agentによるパーソナルアシスト

前述の通り、HallidayのProactive AI Agentは、ユーザーの会話を分析し、状況に応じた情報や提案を能動的に提供します。例えば、会議中に話題になった事柄に関する情報を即座に表示したり、質問に対して的確な回答を生成したりすることができます。日常的なタスク管理のパーソナルアシスタントとしても機能し、重要なメッセージや予定をAIがフィルタリングして表示するサポートも提供します。

スマートフォンの通知とスケジュール管理

スマートフォンをポケットから取り出すことなく、Halliday AI GlassesのディスプレイでAIが重要と判断した通知やスケジュールを確認できます。重要なメッセージはピン留めして簡単にアクセスでき、一日の予定もスマートに把握できます。これにより、スマートフォンに気を取られることなく、目の前の活動に集中し続けることが可能になります.

ハンズフリーの道順案内と音楽体験

Googleマップと連携し、ハンズフリーで道順案内をディスプレイに表示します。見知らぬ土地での移動中にスマートフォンを手に持つ必要がなくなり、周囲の景色を楽しみながら目的地へ向かうことができます.

また、内蔵スピーカーを通じてお気に入りの音楽をストリーミング再生できるだけでなく、歌詞をディスプレイに表示する機能も搭載しています。ヘッドフォンなしで音楽と歌詞を楽しめるため、通勤や散歩、サイクリング中でも周囲の状況を認識しながら、没入感のある音楽体験が得られます。

音声メモと「チートシート」機能

音声テキスト変換機能を利用すれば、外出先でふと思いついたアイデアやインスピレーションを簡単に音声メモとして記録できます。

さらに、プレゼンテーションや会議、スピーチなどで役立つ「チートシート」機能も搭載しています。事前に用意したテキストやメモをディスプレイに表示させ、リングコントロールでスクロールしながら、あたかもテレプロンプターのように利用できます。これにより、発表中に紙の資料やスマートフォンを見る必要がなくなり、より自然な形で聴衆とアイコンタクトを取りやすくなるでしょう。

会議の録音とAI要約機能

（出典：Kickstarter）

内蔵マイクを使用して会議や会話を録音する機能も備わっています。さらに、AIがその録音内容を分析し、重要なポイントをまとめた要約を生成してくれるため、議事録作成の手間を大幅に削減できます。

長時間のバッテリー寿命と快適な装着感

（出典：Kickstarter）

Halliday AI Glassesは、通常使用で12時間以上、連続使用で8時間以上のバッテリー稼働が可能です。スタンバイ時間は300時間にも及び、一日中安心して使用できる設計です。

また、最先端の滑り止め技術が組み込まれており、シリコン製のテンプルグリップと滑り止めの鼻パッドが特徴です。調整可能な鼻パッドにより、ユーザーそれぞれの顔の形にぴったりフィットするよう調整が容易です。DigiWindowディスプレイモジュールも、水平方向と垂直方向、そして視度に合わせて調整できるため、個々の瞳孔間距離や視力に合わせた最適な表示位置を見つけることができます。

Halliday AI Glassesは安全なのか？

（出典：Kickstarter）

ウェアラブルデバイス、特に顔に装着するスマートグラスにおいては、安全性とプライバシーは非常に重要な懸念事項です。Halliday AI Glassesは、これらの点にも配慮した設計がなされています。

視覚のプライバシーと周囲への配慮

（出典：Kickstarter）

Hallidayの「DigiWindow」技術は、表示内容をユーザー本人にのみ見せるという特性から、周囲の人に情報が漏洩する心配がありません。これは、電車内や公共の場所で個人情報や機密性の高い情報を扱う際にも安心感をもたらします。また、ディスプレイから光が漏れることもなく、周囲の視界を遮らないため、他者に不快感を与えることなく自然に利用できます。

さらに、カメラが搭載されていないという点は、第三者のプライバシー保護に大きく貢献します。これにより、盗撮などの懸念を払拭し、スマートグラスの利用に対する社会的な信頼感を高める効果が期待できます。

目に優しいディスプレイと疲労軽減

Halliday AI Glassesのディスプレイは、目に優しいグリーンの単色表示を採用しています。また、ディスプレイがメインの視界を遮らず、必要な情報が視界の「隅」に表示されるため、現実世界に集中しながらも情報を得られます。このアプローチは、没入型のVRヘッドセットで起こりやすい視覚と身体の動きの不一致による「VR酔い」のような感覚を軽減し、長時間の使用でも目の疲労を抑えることに繋がると考えられます。

軽量設計による身体的負担の軽減

わずか35gというHalliday AI Glassesの超軽量設計は、長時間の装着における鼻や耳への身体的負担を大幅に軽減します。これは、一日中着用することを想定したウェアラブルデバイスにとって、非常に重要な要素です。調整可能な鼻パッドや滑り止め機能も、快適な装着感をサポートします。

Halliday AI Glassesの日本語対応は？

Halliday AI Glassesの日本語対応状況は、以下の通りです。

• 翻訳機能
  リアルタイム翻訳機能は日本語を含む40以上の言語に対応しており、すでに利用可能です。
• AIアシスタントの言語
  現在、Proactive AI Agent自体の応答は英語のみの対応ですが、通知やチートシートなど、ディスプレイに表示される情報の日本語表示は可能です。開発元は、2025年後半にはソフトウェアアップデートで他言語（日本語を含む）に対応する予定であると公表しています。
• モバイルアプリ
  AndroidおよびiOS用の専用モバイルアプリが提供されており、日本国内でもインストールして利用可能であることがHallidayから確認されています。このアプリを通じて、スマートグラスとスマートフォンをBluetooth接続し、通知や音楽再生などを連携させます。
• カスタマーサポート
  現状では、カスタマーサポートは英語対応が中心となる可能性があるため、注意が必要です。

したがって、Halliday AI Glassesは日本でも基本的な機能は利用できますが、AIアシスタントの完全な日本語対応は今後のアップデートを待つ必要があると言えるでしょう。

Halliday AI Glassesの日本発売は？価格は？

（出典：インディゴーゴージェーピー）

Halliday AI Glassesは、海外クラウドファンディング商品の並行輸入を専門とする「インディゴーゴージェーピー」を通じて、「Halliday Glasses日本語対応版」として日本国内での取り扱いが開始されています。

予約と出荷の状況

• 予約受付開始時期
  2025年3月28日。
• 出荷開始予定時期
  当初は2025年5月下旬と発表されていましたが、その後、クラウドファンディング分は2025年7月中旬から下旬に一部出荷が開始され、以降の出荷は2025年9月中旬を予定しているとのことです。

日本での販売価格（税送料込）

Halliday AI Glassesは、価格と納期、サポート内容が異なる複数のプランで提供されています。

• 早割特価（台数限定）
  • 赤字価格: 64,800円（諸費用を輸入販売店が負担し、原価のため赤字。納期が遅く、初期不良・修理対応一切なし）
  • お得価格: 76,800円（送料節約のためまとめて手配。納期は中程度）
  • 特急価格: 88,800円（納期優先で可能な限り早く届けられる。他の価格の赤字補填のため割高）
• 通常価格
  • 赤字価格: 98,800円
  • お得価格: 118,800円
  • 特急価格: 128,800円

なお、米国のKickstarterでは399ドル～499ドルで販売されており、現在の為替レート（1ドル150円換算）では約6万円～7万5千円程度に相当します。日本での販売価格は、輸入にかかる諸経費や為替変動を考慮した設定となっています。

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販売方法と購入リスク

Halliday AI Glassesは完全事前予約制で、支払い方法は予約注文時の銀行振込のみとされています。

インディゴーゴージェーピーは正規代理店ではなく、並行輸入での取り扱いであるため、購入にはいくつかの重要なリスクが伴います。具体的には、海外ベンチャー企業による製品であるため、出荷の遅延、品質の不十分さ、あるいはメーカーが倒産する可能性があることが明記されています。これらの場合、購入に対する保証や補償は一切なく、注文のキャンセルや返金もできないとされています。購入を検討する際は、これらのリスクを十分に理解した上で慎重に判断することが求められます。出荷の優先順位は特急価格、お得価格、赤字価格の順になります。

未来を変えるHalliday AI Glassesの展望

Halliday AI Glassesは、その独自の技術とユーザー中心の設計により、従来のスマートグラスのイメージを大きく塗り替える可能性を秘めています。

網膜投影技術による新たなディスプレイ体験の可能性

Halliday AI Glassesは、網膜に直接情報を投影する独自の「DigiWindow」技術により、ユーザーの視界を遮ることなく、3.5インチスクリーン相当の情報を必要な時にだけ目に届けることを可能にしています。これは、一般的なARグラスの視野角の狭さという課題（例えばXREAL Air 2 Ultraの視野角52°ですら狭いと感じられることがある）とは異なるアプローチであり、現実世界と情報空間をより自然に融合させる新しい体験を提供します。HallidayはAR体験を主眼とするのではなく、「情報を控えめに表示し、周囲の視界を遮らない」ことに注力しているため、これによりプライバシーと快適性を両立させ、情報表示における自然な広がりとシームレスな体験を実現できる可能性を秘めていると言えるでしょう。

スマートグラスの概念を再定義する存在へ

Halliday AI Glassesの軽量性、スタイリッシュなデザイン、カメラ非搭載によるプライバシー保護、そして予測型AIアシスタントの搭載は、スマートグラスが「日常に溶け込む、目立たない存在」として、より多くの人々に受け入れられる可能性を広げています。スマートフォンを常に手に持つことなく、必要な情報を「ちらっと見る」だけで得られる、より控えめで、しかしパワフルなコンパニオンとして、ウェアラブルテクノロジーの未来を再定義する存在となるかもしれません。

プロアクティブAIによる対話サポート、多言語翻訳、ハンズフリーのナビゲーション、そして重要な通知や情報の表示といったHalliday AI Glassesの機能は、日常生活やビジネスシーンにおいて、私たちとデジタルの関係性をよりシームレスで効率的なものへと進化させるでしょう。Halliday AI Glassesは、単なるガジェットではなく、私たちの生活様式そのものを豊かにする次世代のインテリジェンスツールとして、その可能性を広げ続けています。

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