Xの所在地「どこの国」を調べる方法と隠し方

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Xが世界で利用されているイメージ

X(旧Twitter)を日頃から利用されている方は、最近プロフィール画面にこれまでになかった情報が表示されていることに気づいたかもしれません。それが「アカウントの所在地」に関する情報です。突然始まったこの新しい仕様に戸惑いを感じたり、「自分の居場所が勝手に公開されてしまうの?」と不安に思われたりする方も多いでしょう。

この所在地表示機能は、ただ新しい情報が増えただけでなく、私たちがX上で受け取る情報の「信頼性」を根本から変える可能性を秘めています。この記事を読めば、Xの所在地情報の確認方法や、表示内容を変更・隠す方法がわかります。さらに、この機能がなぜ導入され、これまで水面下で行われてきた「国籍偽装」「印象操作」がどのように炙り出されているのか、その背景にある大きな変化まで理解できるようになります。

この新しい機能を正しく理解し、情報が飛び交うXという広場で、より安全に、そして賢く情報を判断できるようになりましょう。

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Xアカウントの「所在地表示」って何? なぜ導入されたの?

X アカウントの所在地

Xの「所在地表示」とは、ユーザーアカウントのプロフィールに、そのアカウントがどこを拠点としているか(どの国や地域で登録・接続されているか)を示す情報が追加された新機能のことです。

この機能は、アカウントの「アカウントについて (About this account)」というセクションに表示されます。

所在地表示で公開される情報

このセクションでは、主に以下の情報が閲覧できるようになっています。

  • アカウントの所在地(または拠点国・地域)
  • ユーザー名(ID)の変更回数
  • アカウントが最初に登録された日(参加日)
  • 接続されているデバイスやプラットフォーム(例:Japan App Store経由など)

この機能は、アプリ版とブラウザ版の両方で利用可能になっています。

所在地表示が始まった理由

Xがこの所在地表示機能を導入した最大の理由は、プラットフォームの信頼性(authenticity)を確保することにあります。

これは、AI時代に入り、ボット(自動プログラム)が人間に成りすますことが容易になり、不正なエンゲージメントや誤情報拡散の監視が難しくなっている背景があります。

実際、Xのプロダクト責任者は、ユーザーがコンテンツを読む際に信憑性(authenticity)を確認できるよう支援したいと述べていました。

この機能の導入は、アメリカ国内で外国のボットが不和を煽っているとされる問題に対応するため、政治評論家がイーロン・マスク氏に対し、公開プロフィールに国に基づく位置情報の表示を義務付けるよう要求したことがきっかけの一つとなりました。

X側は、この機能の展開を「グローバルな広場の健全性を守るための重要な一歩」としており、ユーザーが悪質なアカウントやボットなのか、それとも本物の人間のアカウントなのかをより正確に判断できるようにすることを目指しています。

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誰でも簡単! Xアカウントの「所在地(国・地域)」の確認手順

この所在地情報は、特定の操作を行うことで、自分自身のアカウントだけでなく、他のアカウントについても確認できるようになります。

ただし、機能の展開は段階的に行われているため、一部のユーザーにとってはまだ自分のプロフィールでのみ情報が表示されている段階かもしれません。

Xアカウントの所在地情報を確認する手順は以下の通りです。

  1. 確認したいアカウントのプロフィールページに移動します
  2. プロフィールに表示されている「参加日」またはその右側にある矢印をタップします。

X 参加日クリック位置

この操作により、「このアカウントについて (About this account)」セクションが表示され、そのアカウントの「アカウントの所在地」や「接続元」、これまでの「ユーザー名の変更回数」などの詳細を確認できます。

X アカウントについて

VPNを使用している場合の表示

もしアカウントがプロキシやVPN(仮想プライベートネットワーク)を経由して接続されている場合、警告ノートが表示されます

また、「アカウントの所在地」セクションの横に盾のアイコンが表示されることがあります。これは、そのアカウントがVPNなどのプロキシ経由で接続されている可能性があり、表示されている国や地域が変更されている可能性があることを示唆しています。

X VPN接続時での盾アイコン

ただし、一部のインターネットプロバイダーはユーザーの意図しないところで自動的にプロキシを使用する場合があるため、盾のアイコンが表示されていても必ずしもユーザーが悪意を持ってVPNを使っているわけではないことにも留意が必要です。

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「どこの国から?」 Xが所在地表示を始めた”本当の理由”と背景

所在地表示機能の導入は、X上での情報の透明性(Transparency)を向上させるという目的があります。

この機能が本格的に導入された結果、これまで匿名で活動していた、あるいは国籍を偽装していたアカウントの活動実態が次々と明らかになり、世界中で大きな話題となっています。

国籍偽装アカウントの「暴露」

所在地表示が可能になったことで、特定の政治的見解を煽ったり、特定の国を誹謗中傷したりしていたアカウントの「出身国」が公になり、その真の意図が推測される事例が多発しました。

  • 日本下げ・批判アカウントの事例
    日本人女性に成りすまし、海外向けに日本の社会や男性を強く批判する投稿を繰り返していたアカウントの所在地が、当初「韓国(Korea)」と表示され、その後すぐに「Unknown(アンノウン)」に変更されたことが判明しました。このアカウントは所在地が暴露された後、削除されています。
  • 米政治関連アカウントの事例
    トランプ前大統領を支持する「MAGA派」を名乗る著名なアカウントが、実はロシアやタイ、南アジア(インド、パキスタン、バングラデシュなど)を所在地としていたことが明らかになりました。
  • 中国からの接続の特殊性
    中国では、通常、X(旧Twitter)やLINEなど外部SNSへの接続は「グレート・ファイアウォール」と呼ばれる監視網によって制限されており、普通に接続することはできません。しかし、一部のアカウントで所在地に「中国(China)」と表示されている場合、それは専用回線を使用する政府公認の活動、もしくはプロパガンダ戦略を行う刑務所の囚人による作業である可能性が都市伝説的に指摘されています。

これらの事例は、Xというプラットフォーム上で、特定の思想や政治的な分断を煽るための組織的な印象操作(工作活動)が実際に行われていたという長年の疑惑を裏付ける結果となりました。

混乱と誤解の事例

一方で、所在地表示が必ずしも個人の居住地と一致しないことで混乱も生じています。

  • 企業アカウントの所在地
    NHKニュースのアカウントの所在地が「アメリカ合衆国(United States)」と表示された事例がありました。これは、NHKが利用しているクラウドサービス(例:Amazonのクラウドサービス)のサーバーがアメリカにあるために、その場所が表示されたのではないかと説明されています。
  • VPN利用の可能性
    フォックスニュース(Fox News)のアカウントの所在地が「ドイツ」と表示された際には、VPN(プロキシ)を経由している可能性を示す盾のマークが表示されていました。
  • 政府機関アカウントの混乱
    一時的に、アメリカの国土安全保障省のアカウントの所在地が「イスラエル」と表示され、大騒動になりました。これについて同省は、スクリーンショットや動画は捏造または改ざんが可能であり、アカウントは常にアメリカ国内で運用されてきたと否定しています。

この機能の導入直後、政府の主要アカウントの所在地が表示されるなど混乱が見られましたが、すぐに表示されなくなるなど、Xは透明性向上に向けた機能の追加・調整を今後も行っていく方針です。

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「Unknown」にするには? Xの所在地(国)を隠す・変更する方法

Xは、今回のアップデートで「所在地を完全に非表示にすることはできなくなった」と確認しています。しかし、特定の国名が表示されるのを避け、より広い「地域」または「大陸」を表示するように設定を変更することは可能です。

この設定変更は、特に発言に対して罰則がある国で利用するユーザー向けに提供されているプライバシー設定でもあります。

国ではなく地域(リージョン)を表示する設定手順

所在地を国名ではなく、より広い地域(例:南アジア、北アフリカなど)に変更する手順は以下の通りです。

  1. Xアプリを開き、自分のプロフィールにアクセスします。

2. プロフィールページの「参加日」をタップして、「アカウントについて」セクションに移動します。

X 参加日クリック位置

3. 表示された設定画面内にある小さな歯車アイコン(設定アイコン)をタップします。

X 歯車ボタン

4. 設定オプション内で、「国を使用する(Use country)」から「地域/大陸を使用する(Use region/continent)」へと切り替えます。

X ロケショーン表示変更

これにより、あなたのプロフィールには正確な国名ではなく、「North Africa」や「EAST Asia & Pacific」といったより広範な地域名が表示されるようになります。

X エリア表示

「Unknown」表示について

所在地が「Unknown(アンノウン)」と表示される事例も確認されていますが、これは所在地情報が完全に追跡できていないか、アカウント側で何らかの方法(VPN利用や、設定の切り替え直後など)で所在地を特定できない状態にしていることを示唆していると考えられます。所在地が一旦暴露された後、アカウントが「Unknown」に変更し、その後すぐに削除される事例もあったことから、所在地を隠す手段として使われた可能性も指摘されています。

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所在地表示で何が暴かれた? 激変するXの言論空間と今後の展望

Xに所在地表示が導入されたことは、単なる機能追加ではなく、今後の言論空間のあり方を大きく変える可能性を秘めています。

「誰が言っているか」がより重要に

所在地が明らかになることで、言論の価値が変わる可能性があります。

これまでのインターネット空間では「何を言っているか」が重要でしたが、所在地表示以降は、発信者が「どこの国の人か」「その発言の背後にどのような意図があるか」といった「誰が言っているか」という要素が、情報の信頼性を判断する上で強く重視されるようになります。

特にフォロワー数が多いアカウントは、その数字的な影響力だけでなく、発言内容に対する信頼感や説得力がより一層増す傾向があります。

これは、信用スコアのような考え方にも繋がります。今後、内容の正しさよりも、発信者のスコア(信頼性や影響力)が重視され、たとえ間違った情報であっても、信用のある発信者からであれば事実のように広まってしまう時代が来るかもしれません。

成りすまし(インパーソネーション)の困難化

この所在地表示機能は、ボットや悪質なアカウントが「人間」に成りすますことを難しくする目的があります。

実際、特定の国の政治的・社会的な分断を煽っていたアカウントが、その国の在住者ではなかったことが判明し、次々とアカウントを削除したり、非公開にしたりして「逃亡」する事例が報告されています。所在地表示は、情報の正確性を高め、悪質な成りすましを困難にするための強力な抑止力となります。

Xは今後も、プラットフォームの透明性向上を目的とした機能追加を続ける方針です。

プライバシーリスクへの懸念

一方で、所在地表示はプライバシー上のリスクもはらんでいます。

常にアカウントの所在地が表示されることで、特に著名なユーザーや活動家が頻繁に移動している場合、「今、自宅にいない」という情報が間接的に第三者に伝わってしまいます。これは、物理的な安全を脅かす可能性もあるため、Xは今後、この問題に対しても対策を講じていくとしています。

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情報の真偽を見抜く! Xで安全に賢く発信するための次の一歩

Xに所在地表示機能が導入されたことで、私たちはX上で飛び交う情報の裏側を、より深く理解できるようになりました。所在地情報という新たな側面から発信者を評価することで、情報の正確性が増し、悪意を持った「成り済まし」が難しくなっています。

情報の受け手として、私たちが次に行うべき行動は、この新しいツールを最大限に活用し、情報の真偽を見抜く力を高めることです。

  • アカウントの所在地を確認する
    ニュースや意見を鵜呑みにする前に、そのアカウントがどこを拠点としているかを確認する習慣をつけましょう。特に、過度に感情的な対立や分断を煽る投稿を見かけた際は、所在地情報も一つの判断材料として役立ちます。
  • 複数の要素から信頼性を判断する
    所在地がすべてではありません。所在地、参加日、ユーザー名変更回数、VPN利用の有無など、複数の情報を組み合わせて、そのアカウントが信頼に足るものかを総合的に判断しましょう。
  • 自分のプライバシーを守る
    所在地を国名から地域名に変更する設定を活用し、必要以上に正確な居場所が公開されないよう、設定を見直しましょう。

Xは世界最大のソーシャルメディアプラットフォームの一つであり、その情報は私たちの世論形成に大きな影響を与えます。この新しい透明性の時代において、発信者の背景を知る権利は、情報の正確性とプラットフォームの健全性を守るための重要な武器となるでしょう。

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