任天堂のパルワールド特許が日米で拒絶?USPTOとJPOの審査状況(2026年最新)
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近年、ゲームのシステムやメカニクスに関する特許が、開発現場やユーザーの間で大きな議論を呼んでいます。特に2026年現在、大きな注目を集めているのが、任天堂と『パルワールド』の開発元であるポケットペアとの間に勃発した特許権侵害訴訟です。多くのゲームファンや業界関係者が「この訴訟の行方が、今後のインディーゲーム開発や新しいゲームの誕生を阻害するのではないか」という不安を抱えているのではないでしょうか。
この記事を読むことで、現在アメリカの米国特許商標庁(USPTO)と日本の日本特許庁(JPO)で任天堂の特許に何が起きているのか、なぜ「拒絶」という判断が下されているのかが明確にわかります。日米における最新の審査状況を紐解きながら、ゲーム業界の未来にどのような影響を与えるのか、客観的な事実と専門的な視点から深掘りしていきます。
2026年最新:米国(USPTO)における任天堂特許の「査定系再審査」と非最終拒絶

結論から言うと、米国特許商標庁(USPTO)は、任天堂が取得したキャラクター召喚に関する特許(米国特許第12,433,397号)に対し、すべての請求項(クレーム)を非最終拒絶(Non-Final Office Action)としました。自社の過去の特許などが先行技術(Prior Art)として認定され、進歩性がないと判断されたためです。
アメリカにおける特許審査では、すでに成立した特許であっても、後に重大な疑義が生じた場合には「査定系再審査(Ex parte reexamination)」という手続きが行われます。2025年11月、USPTOの長官主導という極めて異例の形で、任天堂の特許に対する再審査が開始されました。
対象となったのは「サブキャラクターを召喚し、自動または手動の2つのモードで戦闘させる」というシステムに関する特許です。この特許は『パルワールド』のリリース後に分割出願という形で権利化が急がれたものであり、業界内でも「あまりに範囲が広すぎるのではないか」と懸念されていました。
2026年3月の審査結果では、26項目あるすべての請求項が退けられました。特筆すべきは、審査官が新しい先行技術として提示したのが、他社(コナミやバンダイナムコ)の特許出願だけでなく、任天堂自身が2019年に出願していた特許(Tora特許、Motokura特許など)だった点です。
| 項目 | 米国特許商標庁 (USPTO) | 日本特許庁 (JPO) |
|---|---|---|
| 対象の特許技術 | キャラクターの召喚と戦闘モードの切り替え | タッチパネルを用いたモンスターの捕獲・操作 |
| 現在の審査状況 | 査定系再審査による全請求項の非最終拒絶 | 拒絶査定(不服審判の請求が可能) |
| 引用された先行技術 | 自社の過去特許、コナミ、バンダイナムコの特許 | 2013年のファンメイド動画(Pokemon Generations) |
| 審査機関の主な判断 | 既存技術の組み合わせであり進歩性(非自明性)がない | 既存のゲーム動画から容易に発明可能であり進歩性がない |
アメリカでは、特許の非最終拒絶に対して2ヶ月以内(延長可能)に反論の機会が与えられます。しかし、審査官は100ページ以上に及ぶ詳細な拒絶理由書を作成しており、これを覆すのは非常に困難な状況です。ゲームのメカニクスは過去の技術の積み重ね(反復的かつ累積的)であるという事実が、特許の壁を高くしているのです。
日本(JPO)の判断は?ファンメイド動画が先行技術に認定された理由
日本特許庁(JPO)でも、任天堂が申請したタッチスクリーンでのモンスター捕獲システムに関する特許出願(特願2026-019762)に対し、拒絶査定が下されました。驚くべきことに、その拒絶の根拠(先行技術)として採用されたのは、2013年にYouTubeに投稿された非公式のファンメイド動画でした。
この特許は、タッチパネル上でアイテムを投げてモンスターを捕獲する一連の操作に関するものです。JPOの審査官は、2013年に公開された『Pokémon Generations』という3DアクションRPGのファンゲームのプレイ動画を引用し、「この動画に示されている操作やシステムから、今回の特許発明は容易に導き出せる(進歩性がない)」と判断しました。
これに対し、任天堂側は「著作権侵害の製品(ファンゲーム)を正規のものとして扱うのは極めて不適切だ」と強く反論しました。しかし、特許庁の審査官は「特許法および過去の判例に基づき、著作権侵害の有無は進歩性の判断とは無関係である」と一蹴しました。さらに、任天堂がキャラクター名を「赤い帽子を身につけた少年の姿をしたオブジェクト」などと厳密な表現に修正するよう求めた点についても、「冗長な表現に言い換えたところで、拒絶の根拠となる技術的な論理構造は一切変わらない」と、毅然とした態度で主張を退けています。
この判断が示す重要なポイントは以下の通りです。
- 先行技術の範囲の広さ
特許の審査において、先行技術は正式にリリースされた商業ゲームや特許文献に限定されません。YouTubeにアップロードされた個人のプレイ動画やファンゲームであっても、技術として公開されていれば引用対象となります。 - 著作権と特許権の分離
著作権を侵害している(と主張される)コンテンツであっても、それが世界に公開されている以上、「既存の技術」として認定されます。特許法と著作権法は全く別のアプローチで知的財産を扱うことが明確に示されました。
任天堂は意見書や補正書を通じて強く反論を行いましたが、審査官の判断を覆すには至りませんでした。自社のIPを侵害する可能性がある動画によって自社の特許取得が阻まれるという、非常に皮肉な結果となっています。
特許庁「任天堂くん特許の審査に著作権持ち出してくんなよ。非常識か?」←本当に言ってて草 https://t.co/29Jq66KpOk pic.twitter.com/zKi5NNcj5G
— ヨクガの日常 (@yokuga89_sub) July 21, 2026
なぜ日米の審査機関は任天堂の特許申請を退けたのか?
日米の特許庁が共通して任天堂の特許を拒絶した最大の理由は、「進歩性(非自明性)」の欠如です。すでに世の中に存在する複数の技術やアイデアを組み合わせただけであり、新たな発明として独占権を与えるレベルには達していないと判断されました。
特許を取得するためには、その発明が全く新しいものであること(新規性)に加えて、その分野の専門家が簡単に思いつくものではないこと(進歩性)が必要です。ゲームのメカニクス、例えば「アイテムを投げてモンスターを捕まえる」「捕まえたモンスターを呼び出して戦わせる」といったシステムは、長年のゲーム開発の歴史の中で、様々な形で実装され、洗練されてきました。
この動画では、JPOでの拒絶理由に加え、ゲームのメカニクスを特許で囲い込むことの限界について触れられています。「モンスターを捕まえる」というプレイの仕組み自体を独占するのは難しく、「ソウルライク」のように「ポケモンライク」も一つのゲームジャンルとして定着していく可能性が高いと指摘しています。特許による囲い込みが、業界の発展という観点からどのように捉えられるべきか、深く考えさせられる内容です。
日米における審査結果から導き出される技術的・法律的な見解は以下の通りです。
- ゲームデザインの累積性
ゲーム開発は、既存のアイデアを少しずつ改良していく反復的なプロセスです。そのため、特定の操作方法やUIの組み合わせを「全く新しい発明」として特許化するハードルは、年々非常に高くなっています。 - 広すぎる権利要求のリスク
『パルワールド』などの競合他社を牽制するために、あえて汎用的で広い範囲の権利を要求する特許(分割出願など)は、既存の多数のゲームや過去の特許(Prior Art)と抵触しやすくなります。結果として、USPTOが指摘したように、自社の過去の特許すらも足枷となってしまうのです。 - 審査の厳格化
USPTOの長官主導による異例の再審査に見られるように、特許制度が「反競争的な武器」として乱用されることに対し、審査機関が強い警戒感を示しています。
私見ですが、ゲーム体験の根幹に関わる一般的なアクションを特許で独占しようとする動きに対しては、司法や行政機関も非常に慎重になっていると言えます。これは、表現の自由や業界全体のクリエイティビティを保護する観点から、非常に健全な歯止めが効いている状態です。
パルワールド訴訟やゲーム業界への影響は?

(出典:PR TIMES)
今回の特許拒絶という事実が、実際の訴訟や今後のゲーム開発にどのような影響を与えるのでしょうか。ユーザーや開発者が抱く疑問をQ&A形式で整理します。
Q. 今回特許が拒絶されたことで、任天堂はパルワールド訴訟で敗訴するのですか?
A. 即座に敗訴が決まるわけではありませんが、任天堂にとって非常に厳しい状況になっていることは間違いありません。 日本で拒絶された特許(特願2026-019762)は、現在東京地裁で係争中の特許そのものではなく、そこから派生した分割出願です。しかし、根本的な技術アイデアに対して「進歩性がない」という強い判断が下されたことは、裁判所での判断にも影響を与える可能性があります。また、アメリカでも関連特許が非最終拒絶を受けているため、もし今後アメリカで訴訟を起こそうとしても、強力な武器を失った状態となります。
Q. ポケットペア(パルワールド開発元)の対応はどうなっていますか?
A. すでにゲームの仕様を変更し、特許侵害のリスクを回避する動きを見せています。 ポケットペアは、訴訟のリスクを最小限に抑えるため、パルスフィア(捕獲アイテム)を投げてモンスターを召喚する仕様から、ボタン一つでプレイヤーのそばにモンスターを出現させる仕様へと変更するなど、特許の構成要件を意図的に外すアップデートを行いました。これにより、任天堂側は最新バージョンではなく、過去の旧バージョンに絞って訴訟を維持せざるを得なくなっているとの報道もあります。
Q. インディーゲーム開発者は、今後どのような点に注意すべきですか?
A. 特許の存在を恐れすぎる必要はありませんが、既存のシステムを「そのまま丸写し(1対1のコピー)」にすることは避けるべきです。 今回の特許庁の判断は、一般的なゲームのメカニクスを一つの企業が独占することは難しいという事実を示しました。これは多くの開発者にとって朗報です。ただし、UIの配置やシステムの手順などを意図的に全く同じにするような行為は、依然として特許侵害や著作権侵害(デザインの類似性)に問われるリスクがあります。既存の作品からインスピレーションを得つつも、独自の要素やひねりを加えて「差別化」を図ることが何より重要です。
特定の企業が強力な法務部を武器にして市場をコントロールしようとする動きに対し、特許庁が論理的かつ厳格な審査で待ったをかけた今回の事案は、ゲーム業界全体の健全な競争を維持するための重要なマイルストーンとなるでしょう。
今後のゲーム業界における知財戦略のあり方とゲーム開発への向き合い方
日米における任天堂の特許拒絶の動向について、重要なポイントを振り返ります。
- USPTO(アメリカ)の動向
任天堂のキャラクター召喚特許が再審査の末、自社の過去特許などを理由に進歩性がないとされ、全請求項が非最終拒絶となりました。 - JPO(日本)の動向
タッチパネル操作のモンスター捕獲特許が、過去のファンメイド動画を先行技術として進歩性なしと判断され、拒絶査定が下されました。 - 著作権と特許の切り離し
著作権侵害が疑われるコンテンツであっても、特許審査における先行技術として有効に機能することが行政機関により示されました。 - メカニクスの独占の難しさ
ゲームのシステムやメカニクスといった一般的なアイデアを、特許によって広範に独占することはますます困難になっています。
今回の事例は、どれほど巨大な企業であっても、特許制度を自由にコントロールできるわけではないという事実を証明しました。ユーザーの視点から見れば、特定の企業による過度な独占が防がれ、多様なゲームが生まれやすい環境が守られたと言えます。
今後、ゲーム業界に関わる皆様は、以下の点に注目して業界の動向を追いかけてみてください。
- 現在進行中の東京地裁におけるパルワールド訴訟の行方と、任天堂がどのような和解、あるいは法的主張を展開するのか。
- 特許庁の判断を受け、今後リリースされる新作ゲーム(特にモンスター収集・育成ジャンル)が、どのような独自システムを取り入れてくるか。
- ゲームの「メカニクス(仕組み)」に対する特許のあり方について、業界全体でどのような議論が形成されていくか。
ゲーム開発者は特許の壁に萎縮することなく、新しいアイデアを形にすることに情熱を注ぎ、私たちプレイヤーはそのような多様な作品をプレイし、評価していくことが、ゲーム業界全体のさらなる発展に繋がっていきます。次々と生まれる新しいゲームの形に、引き続き期待していきましょう。
みんなのらくらくマガジン 編集長 / 悟知(Satoshi)
SEOとAIの専門家。ガジェット/ゲーム/都市伝説好き。元バンドマン(作詞作曲)。SEO会社やEC運用の経験を活かし、「らくらく」をテーマに執筆。社内AI運用管理も担当。

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