【ブレインロット】α世代を熱狂させる「67」の起源と危険性まとめ
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「最近、SNSやYouTubeのコメント欄で『67』という数字を見かけるけど、これって何?」 「子供が『シックスセブン!』と叫びながら変な手の動きをしている…」
そんな疑問を持って、この記事にたどり着いた方も多いのではないでしょうか。 2025年、アメリカを中心にインターネットを席巻し、ついには現実世界をも巻き込む社会現象となった謎の数字「67(シックスセブン)」。
一見するとただの数字ですが、実はこの「67」、単なる流行語を超えて、学校や飲食店を混乱に陥れるほどのパワーを持っているのです。 今回は、なぜこの数字が世界中でバズっているのか、その起源や危険性、そして私たちに問いかけるミーム文化の裏側について、どこよりも分かりやすくお伝えします。
67(シックスセブン)とは?意味のない数字がなぜ「今年の言葉」に?
まず結論から言うと、「67」には明確な意味はありません。 それにもかかわらず、この言葉は2025年のインターネット・ミームおよびスラングとして爆発的に普及し、Dictionary.comの「2025年の今年の言葉(Word of the Year)」に選出されるという快挙(あるいは怪挙)を成し遂げました。
Our Word of the Year highlights the trends, conversations, and cultural moments that define how we communicate in real life and online.
This year, 67 made a huge impact! 💥 https://t.co/vWoNvv8xsJ
These two formerly innocuous numbers surged across TikTok, classrooms, and… pic.twitter.com/Dh9Odw0c9j
— Dictionary.com (@Dictionarycom) November 3, 2025
α世代を象徴する「ブレインロット」現象
「67」を理解する上で欠かせないキーワードが「ブレインロット(Brain rot)」です。 直訳すると「脳が腐る」という意味ですが、これはネットスラングで、低品質で中毒性の高いデジタルコンテンツや、それを長時間消費し続ける状態を指します。
大人から見れば「意味不明でくだらない」と感じるものほど、デジタルネイティブであるα(アルファ)世代(2010年以降生まれ)やZ世代にとっては、「意味がないからこそ面白い」「仲間内だけで通じる合言葉」として機能します。 「67」はまさにこのブレインロットの代表格であり、文脈に関係なく「67!」と叫ぶだけでコミュニケーションが成立してしまう、不思議な言葉なのです。
辞書すら困惑する定義
Dictionary.comはこの言葉を「意味については誰も合意していないにもかかわらず、人々の間に広がりつながりを生むエネルギーの爆発」と表現しています。 また、Merriam-Webster辞書は「歌とバスケットボール選手に関連したナンセンスな表現」と定義しており、権威ある辞書でさえ「ナンセンス(意味がない)」と認めざるを得ない状況になっています。
67はアメリカでなぜ流行った?3つの爆発的要因
では、なぜ「67」はここまで巨大なムーブメントになったのでしょうか。 その背景には、音楽、スポーツ、そして一人の少年の存在がありました。
1. ラッパーSkrillaの楽曲「Doot Doot (6 7)」
すべての始まりは、フィラデルフィア出身のラッパー、Skrilla(スクリラ)がリリースした楽曲「Doot Doot (6 7)」です。 この曲の中で、彼は不穏なビートに乗せて「6-7」というフレーズを繰り返しラップしています。 この楽曲自体が持つ独特の中毒性が、後のミーム化の土台を作りました。
2. NBA選手ラメロ・ボールと身長ネタ
次にこの曲が結びついたのが、NBA(プロバスケットボール)の人気選手、ラメロ・ボール(LaMelo Ball)です。 彼の身長は公式発表で6フィート7インチ(約201cm)。 ファンたちが、Skrillaの曲を使ってラメロ・ボールのプレー動画(ファンカム)を作成し、TikTokなどで拡散し始めたことで、「67=イケてる」というイメージが定着し始めました。
さらに、高校バスケの有望株であるテイレン・”TK”・キニー(Taylen “TK” Kinney)が、スターバックスのドリンクを格付けする動画で「Six, Seven」というフレーズを連発。 彼は後に「Mr. 6-7」というニックネームで呼ばれるようになり、自身のブランドで「6-7」という缶入りウォーターまで発売する事態になりました。
3. 伝説の動画「67 Kid」の登場
そして、決定的な爆発のきっかけとなったのが、“67 Kid”(67キッド)こと、マーベリック・トレビリアン(Maverick Trevillian)少年の登場です。
2025年3月31日、YouTuberのCam Wilderが投稿した動画の中で、バスケットボールの試合会場にいたこの少年がカメラに向かって、手のひらを上に向けて上下させる独特のジェスチャーと共に、狂気的な表情で「Siix Seveeenn!!」と叫びました。 このインパクト抜群の映像が切り抜かれて拡散され、「67 Kid」として瞬く間に世界中のα世代のアイコンとなったのです。
67は何故ミームになった?面白さと紙一重の危険性
「意味がない」ことこそが最大の魅力である「67」ですが、その流行は単なるネット上の遊びに留まらず、現実世界で実害を引き起こし始めています。
ハンバーガーチェーン「In-N-Out」が番号を廃止
アメリカ西海岸で絶大な人気を誇るハンバーガーチェーン「In-N-Out Burger(イン・アンド・アウト・バーガー)」では、「67」にまつわる深刻な迷惑行為が発生しました。
この店では、注文が出来上がると番号で呼び出されるシステムになっています。 しかし、ミームに感化されたティーンエイジャーたちが、「67番」が呼び出される瞬間を待ち構え、店員が「67番のお客様!」と言った瞬間に、一斉に「67!!」と叫んで大騒ぎする動画を撮影するために店に押し寄せたのです。
店内はパニックになり、業務に支障が出たため、一部の店舗では注文システムから「67番」を完全に削除し、66番の次は68番に飛ぶように設定を変更する事態に追い込まれました。 従業員からは「あの番号のせいで仕事にならない」「ブレインロットの極みだ」といった悲鳴が上がっています。
一方で、ドミノ・ピザやピザハットなどの他社は、この流行に便乗して「67セントのチキンウィング」や「6.70ドルのピザ」といったキャンペーンを展開するなど、企業の対応も分かれています。
学校現場での混乱と禁止令
教育現場でも「67」は頭痛の種です。 授業中に先生が教科書の「67ページ」と言った瞬間や、数学の答えが「67」になった瞬間に、生徒たちが一斉に「67!」と叫び出すため、授業が中断してしまうケースが多発しています。 その結果、「67」という言葉の使用を禁止する学校も出てきています。
イギリスでは、キア・スターマー首相が学校訪問をした際、隣に座っていた生徒に促されてうっかり「67」のジェスチャーを一緒にしてしまい、その学校で禁止されていた行為だったために後に謝罪するという珍事まで起きました。
67は呪いの言葉?Google検索の揺れる仕掛けと都市伝説

「67」には、単なる流行語以上の、少し不気味な側面も囁かれています。
Google検索のイースターエッグ
もしあなたがGoogle検索で「67」「6-7」「6 7」と検索した場合、画面をよく見てみてください。 2025年12月にGoogleが導入したイースターエッグ(隠し機能)により、検索結果の画面が上下に激しく揺れるようになっています。 これは、「67 Kid」が動画の中で行っていた、手を激しく上下させるジェスチャーを模倣したものです。 公式の遊び心ですが、何も知らずに見た人にとっては、まるで画面が乗っ取られたかのような恐怖を感じるかもしれません。
67 KidとSCP財団、そしてアナログホラー
「67 Kid」の映像は、そのあまりのインパクトから、ネット上のホラー創作コミュニティ「SCP財団」や「アナログホラー」の文脈で加工されるようになりました。 少年の顔を不気味に歪ませたり、ノイズを走らせたりした動画が「SCP-067 Kid」として拡散されています。 ※本来のSCP-067は「万年筆」に関するオブジェクトですが、これとは無関係のネット発の二次創作キャラクターとして一人歩きしています。
こうしたホラー加工された動画を見た子供たちが、「67は呪いの言葉だ」「見ると呪われる」といった噂を広め、恐怖と興奮が入り混じった形でさらに拡散していく構造ができあがっています。
67の起源は?本当に意味はないのか?

Skrilla本人は「本当の意味なんて込めていないし、これからも決めたくない」と語っていますが、ネット上では様々な「起源」や「真の意味」が考察されています。
警察無線コード「10-67」説
最も有力な説の一つが、フィラデルフィア警察の無線コード(テン・コード)です。 「10-67」というコードは、警察用語で「死亡事案」や「人が亡くなっている状態」を意味することがあります。 Skrillaの曲の歌詞には、銃や暴力、死を示唆する表現が含まれており、文脈的に「67=死」を暗示しているのではないかという解釈です。 もしこれが本当なら、子供たちが無邪気に叫んでいる言葉は、実は非常に恐ろしい意味を含んでいることになります。
67番ストリート説
Skrillaの地元であるフィラデルフィアや、シカゴにある「67th Street(67番通り)」を指しているという説もあります。 特定の地域や縄張りをレペゼン(代表)する意味合いが含まれている可能性も否定できません。
イタリアン・ブレインロットとの関係
また、「67」は「イタリアン・ブレインロット(Italian Brainrot)」と呼ばれる、2025年に流行したAI生成ミームの一種としても分類されることがあります。 AIによって生成された奇妙な画像やキャラクターが、脈絡なく踊ったり叫んだりする動画群の中に「67」のキャラクターも組み込まれ、カオスな世界観を形成しています。
日本での「67」と国内ミームとの比較
日本ではまだアメリカほどの社会現象にはなっていませんが、YouTubeの翻訳動画などを通じて徐々に認知されつつあります。 日本の2025年の流行語といえば、「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」という政治家の発言が話題になりましたが、これは労働や社会への皮肉を含んだ大人の文脈で語られるものです。
一方、「67」は意味のなさ、ナンセンスさが最大の特徴です。 かつての日本のネット掲示板で流行した「きさらぎ駅」のような都市伝説的な不気味さと、小学生が意味もわからず連呼する一発ギャグのような要素が合わさった、非常に現代的でグローバルな現象と言えるでしょう。
意味がないからこそ、自己の判断力が問われる時代へ
ここまで「67」について見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
「67」は、単なる数字が、音楽、スポーツ、動画共有プラットフォーム、そしてAI技術を通じて、世界中を巻き込む巨大なエンターテインメントに変わる現代のネット社会を象徴しています。 それは、仲間との一体感を生む楽しい遊びである一方で、店舗への営業妨害や授業の妨害、さらには暴力的な意味が含まれている可能性も孕んでいます。
「みんなが言っているから」「流行っているから」という理由だけで飛びつく前に、その言葉が周囲にどのような影響を与えるのか、一度立ち止まって考えてみることも大切かもしれません。 もっとも、ブレインロットに浸っている最中の子供たちにそれを説いても、「それって67だね!」と返されるのがオチかもしれませんが…。
もし街中で「67!」と叫ぶ子供を見かけたら、「ああ、あれか」と心の中で頷きつつ、温かく、そして少し距離を取って見守るのが正解のようです。
みんなのらくらくマガジン 編集長 / 悟知(Satoshi)
SEOとAIの専門家。ガジェット/ゲーム/都市伝説好き。元バンドマン(作詞作曲)。SEO会社やEC運用の経験を活かし、「らくらく」をテーマに執筆。社内AI運用管理も担当。









