Wi-Fi 7 とは?日本で導入されるのはいつ?Wi-Fi 6・6e との違い
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『Wi-Fi 7』とは、既存の無線通信性能を大きく超える、”新しい通信規格” の名称です。
無線の通信でありながら、LANケーブルを利用した有線接続と大差ない通信ができると言われており、気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、 Wi-Fi 7 がどういった無線規格か、また既存のWi-Fi 6 や Wi-Fi 6e と比較してどういった点が優れていて、いつごろ導入されるのか などを解説していきます。
- Wi-Fi 7 とは?
- Wi-Fi 7 の導入が待望されている3つの理由
- 理由1. 最大通信速度46Gbpsの超高速通信が実現できる
- 理由2. 接続遅延が起きた時のレイテンシが改善される
- 理由3.より多くの端末を同時に安定して接続できる
- Wi-Fi 7 と Wi-Fi 6・6e の5つの違い
- Wi-Fi 7 と 6・6e の違い① 6GHz帯で320MHzのチャンネル幅が利用できる
- Wi-Fi 7 と 6・6e の違い② 4096(4K)QAMで約20%通信速度が向上される
- Wi-Fi 7 と 6・6e の違い③ 最大16本のアンテナで通信ができる
- Wi-Fi 7 と 6・6e の違い④ MRU対応で複数端末の接続環境を安定させられる
- Wi-Fi 7 と 6・6e の違い⑤ MLO機能で特定端末の通信品質が大幅に向上する
- Wi-Fi 7が日本で導入されるのはいつ?
- 今は Wi-Fi 6・6e 対応ルーターがおすすめ
- 通信革命Wi-Fi 7は2025年以降に導入しよう!
Wi-Fi 7 とは?
『Wi-Fi 7』は、Wi-Fi 6e に続く次世代の無線LANの名称で、正確には「IEEE802.11be Extremely High Throughput(EHT)」という無線規格です。
日本で一般的に使われているWi-Fi 5(IEEE802.1ac)やWi-Fi 6・6e(IEEE802.11ax)を大幅に超える通信品質を持つと言われています。
Wi-Fi 7 の導入が待望されている3つの理由
『Wi-Fi 7』の導入が待望されている理由として、ユーザー目線でとくに注目されているのが以下の3点です。
<Wi-Fi 7 のメリット>
1. 最大通信速度46Gbps(理論値)の高速通信が可能になる。
2. 接続遅延が起きた時のレイテンシ改善(通信の安定性が向上)。
3. より多くの端末を同時に安定して接続できる。
理由1. 最大通信速度46Gbpsの超高速通信が実現できる
Wi-Fi 7 で最も注目されているのが、最大46Gbpsを超える通信速度です。
実際に米インテルと米Broadcomが行ったデモでは、Wi-Fi 6 が1Gbps、Wi-Fi 6e が2Gbpsという環境下で Wi-Fi 7 は5Gbpsを超える実測結果が出ていました。
8K映像やAR/VRなど、高品質な通信が必要になるものへの対応も今後期待できるでしょう。
理由2. 接続遅延が起きた時のレイテンシが改善される
レイテンシ(接続遅延)の改善も、Wi-Fi 7 における特徴の1つです。
ただし、Wi-Fi 6eの時点で無線接続におけるレイテンシは大幅に改善されているため、通常利用する分には大きな違いはありません。
違いが出るのは、通信が安定していない状態でのレイテンシです。
実際にテクノロジーメディアとして知られる『Android Police』がまとめたデータでは、接続が悪い環境下でのレイテンシの安定性がピックアップされていました。
以下は実際のデータで、Wi-Fi 7(黄色)のレイテンシがWi-Fi 6eなどと比較しても、安定していることがまとめられています。
(出典:androidpolice)
理由3.より多くの端末を同時に安定して接続できる
Wi-Fi 7 は、Wi-Fi 6e と比べてより多くの端末を同時に安定接続が可能です。
Wi-Fi 6e では「8×8 MU-MIMO」でしたが、Wi-Fi 7には「16×16 MU-MIMO」が導入されています。
かんたんに言うと、接続の効率が2倍になるということです。
ただし、個人の利用であればWi-Fi 6eを使いこなすことも難しいため、Wi-Fi 7に切り替えることで大きな違いは感じられないかもしれません。
とは言え、これから数年で様々な家電などのIoT化が期待されている現代では、これらの通信改善が無駄になることはまずないでしょう。
Wi-Fi 7 と Wi-Fi 6・6e の5つの違い
ここからはWi-Fi 7 が、既存規格である、Wi-Fi 6・6e と具体的にどのように違うのかを解説していきます。
各接続規格のスペックをまとめると以下の通りです。
■ Wi-Fi6 / 6e / 7 の機能比較
Wi-Fi 6 (IEEE802.11ax) |
Wi-Fi 6e (IEEE802.11ax) |
Wi-Fi 7 (IEEE802.11be) |
|
最大通信速度 | 9.6Gbps | 9.6Gbps | 46Gbps |
周波数帯 | 2.4GHz/5GHz | 2.4GHz/5GHz/6GHz | 2.4GHz/5GHz/6GHz |
チャンネル幅 | 最大160MHz | 最大160MHz | 最大320MHz |
直行振幅変調(QAM) | 1024QAM | 1024QAM | 4096QAM |
アンテナ数(MIMO) | 8×8 | 8×8 | 16×16 |
リソースユニット | RU | RU | MRU |
その他 | – | – | MLO対応 TSN機能 |
中でも大きな違いが以下の5点です。
・チャンネル幅
・直行振幅変調(QAM)
・アンテナ数(MU-MIMO)
・リソースユニット
・MLO機能
それぞれの機能について詳しく見ていきます。
Wi-Fi 7 と 6・6e の違い① 6GHz帯で320MHzのチャンネル幅が利用できる
Wi-Fi 7 では、無線通信として初の320MHzのチャンネル幅に対応しています。
■ チャンネル幅の比較
Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6e | Wi-Fi 7 | |
チャンネル幅 | 最大160MHz | 最大160MHz | 最大320MHz |
既存の無線規格(Wi-Fi 6eまで)は160MHzが最大チャンネル幅であったため、シンプルに2倍の通信ができるということです。
これによって、通信速度が向上するだけでなく、より多くの端末で安定した通信が可能になります。
※ ただし、320MHzの通信が使えるのは6GHz帯のみです。2.4GHz帯や5GHz帯では利用できないため、その点は注意が必要になるでしょう。
Wi-Fi 7 と 6・6e の違い② 4096(4K)QAMで約20%通信速度が向上される
『QAM』とは、”電波や電気信号などの相互変換を行うための変調方式のこと” です。
Wi-Fi 7では、QAMが4096QAM/12ビットで伝送可能になっています。
■ QAMの比較
Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6e | Wi-Fi 7 | |
直行振幅変調(QAM) | 1024QAM | 1024QAM | 4096QAM |
Wi-Fi 6e までのQAMは、大きくても1024QAM/10ビットの伝送が最大であったため、20%の伝送速度向上が見込めます。
QAMもWi-Fi 7の高速回線が実現できている1つの要因になっているでしょう。
Wi-Fi 7 と 6・6e の違い③ 最大16本のアンテナで通信ができる
Wi-Fi 7では、16×16のMU-MIMOに対応しています。
■ MU-MIMOの比較
Wi-Fi 6 | Wi-Fi 6e | Wi-Fi 7 | |
アンテナ数 | 8×8 | 8×8 | 16×16 |
『MU-MIMO』とは、「Multi user Multiple Input and Multiple Output」を略した言葉で、送受信双方のアンテナを利用して無線通信をする技術のことです。
利用できるアンテナを8×8(送受信それぞれ8本)のように表し、利用できるアンテナが多ければ多いほど、快適な通信ができるという指標になります。
以前までの通信では8×8のMU-MIMOが最大でしたが、Wi-Fi 7 では16×16に対応しているため、ここでも従来の2倍近い通信が可能になりました。
複数端末での通信も快適になるため、Wi-Fi 7の大きな魅力の1つと言って良いでしょう。
Wi-Fi 7 と 6・6e の違い④ MRU対応で複数端末の接続環境を安定させられる
Wi-Fi 7 では、複数端末を同時に接続するための効率強化として、MRUも対応しています。
『MRU』とは、「マルチリソースユニット」のことで、簡単に言うと、親機から子機ごとの接続優先度(QoS)やチャンネル数などの指定が複数端末で行えるということです。
複数端末で接続する場合でも子機ごとに優先度を付けることで、より品質を重視したい通信側により多くのリソースを割けられます。
※ただし、専門的な内容にもなるため、回線にこだわりたい人向けの機能と言えるでしょう。
Wi-Fi 7 と 6・6e の違い⑤ MLO機能で特定端末の通信品質が大幅に向上する
Wi-Fi 7の中でも大きな魅力になるのが、『MLO(マルチリンクオペレーション)』機能です。
MLO機能をかんたんに言うと、2.4GHz/5GHz/6GHzのすべての周波数帯を同時に利用してアクセスできるという機能になります。
Wi-Fi 6e までは、5GHz帯であれば5GHz帯のみ、2.4GHz帯であれば2.4GHz帯のみという風に接続できる周波数帯が1つに限定されていました。
その点、Wi-Fi 7 では、すべての周波数帯に同時に接続できるため、仮に同周波数帯で混雑や干渉が起きたとしても問題なく接続できるのです。
他にも用途は様々ありますが、この機能によりレイテンシの低下や通信速度の向上、安定性の向上など非常に多くの効果が得られるでしょう。
Wi-Fi 7が日本で導入されるのはいつ?
ここまでWi-Fi 7の特徴や従来との違いを解説してきましたが、実際Wi-Fi 7はいつごろ日本で導入されるのでしょうか。
具体的な日数は決まっていませんが、認定製品(お試し品)が2023年中の発売、その後2024年〜2025年にしっかりとした機器が販売されると予想されています。
そのため、実際にメインで使われ始めるのは2025年以降になるでしょう。
※ TP-Link から、日本初となる Wi-Fi 7 対応ルーターが、2023年9月21日に発売されることが発表になりました。(Deco BE85)
そもそも2022年に登場した Wi-Fi 6e ですら、現状普及している状態とは言えません。
対応している端末や機器もあまり多くなく、なおかつ Wi-Fi 6 対応の機器と比べて高価なため購入をためらってしまう方も多いです。
Wi-Fi 7が仮に登場したとしても普及するのに最低でも1年以上はかかると考えられるため、一般的な家庭で使われるのは2025年以降になるでしょう。
今は Wi-Fi 6・6e 対応ルーターがおすすめ
現在、Wi-Fiルーターの買い替えを検討している方は、「Wi-Fi 7が登場するならそれを待ってから購入したい!」と考えるかもしれません。
しかし、Wi-Fi 7の普及は2025年以降になると予想されるため、今購入するならWi-Fi 6・6e対応のものがおすすめです。
ルーターの交換目安は一般的に5年前後になります。
それを考慮しても、今のうちに Wi-Fi 6・6e 対応のルーターを購入して、3年~4年利用してからWi-Fi 7へ乗り換えるのがベストと言えるでしょう。
通信革命Wi-Fi 7は2025年以降に導入しよう!
『Wi-Fi 7』は通信革命とも言われるほど、非常に高性能な無線通信規格になります。
しかし、実際に家庭に普及し始めるのは2025年以降と予想されるため、今のうちに焦って対応端末や機器を探す必要はないでしょう。
それよりも、今は2022年に導入された Wi-Fi 6e や WI-Fi 6 を利用しつつ待つことをおすすめします。
Wi-Fi 7自体は非常に高性能な通信規格になっているため、気になる方はぜひ登場を待って利用してみてください。