人間より賢いAIの開発禁止に60%が賛成?イギリスの意識調査が示すAI規制の必要性

AI 人間

2025年1月、イギリスの非営利団体 ControlAI は、イギリス国民に実施した意識調査で、回答者の60%が「人間よりも賢いAIの開発禁止」に賛成すると答えたというデータを発表しました。

ChatGPT の登場以降、急速に発展を遂げている “AI開発” の分野。

便利なAIツール・サービスの登場は、業務効率化や時短が可能になるなど「日々の暮らしが楽になる」と評判ですが、一方で、その “安全性” を疑う声や、”規制の必要性” を訴える声も大きくなってきています。

今回の世論調査結果は、今後、AI規制に関する議論を進める上で参考になるデータの1つと言えるでしょう。

この記事では、イギリスの非営利団体 ControlAI が実施した “AIに関する意識調査” について紹介します。

イギリス国民のAI規制への意識調査の概要

2025 AI意識調査

(出典:Control AI

 

調査団体と調査方法

2025年1月に発表された、イギリス国民向けのAIに関する意識調査を行ったのは、”ControlAI” という非営利団体です。

ControlAI は、”AIのリスク低減を目指す団体” で、AI規制の強化を推進する活動をしています。

今回の意識調査は、イギリスの調査会社である YouGov からの依頼・委託で、2025年1月16日〜17日の “2日間” にわたって “オンラインで実施” されました。

調査対象は、”イギリス国内の成人 2,344人” で、”AI技術の規制に対する国民の意識を明らかにすること” を目的としています。

Control AI イギリス 意識調査

(出典:Control AI

調査結果

この調査では、”AIに関するさまざまな規制措置” について、「回答者がどのような意見を持っているか?」が問われました。

回答結果の概要は、下記の通りです。

<AI規制に関するイギリスでの意識調査の結果>

「イギリスAI安全研究所にAI安全基準を施行する権限を与えるべきか?」
→ 74%が「そうするべき」と回答

「企業が強力なAIを開発する際は政府からのライセンスを必須とするべきか?」
→ 71%が「そうするべき」と回答

「AI規制機関の設立に賛成するか?」
→ 79%が「賛成」と回答

「人間よりも賢いAIの開発を禁止するべきか?」
→ 60%が「賛成」と回答

「既存のAIをより賢くするAIの開発を禁止するべきか?」
→ 63%が「賛成」と回答

「強力なAIを安全テストのためにイギリスAI安全研究所に提出することを義務化するべきか?」
→ 82%が「賛成」と回答

上記の結果からは、イギリスでは多くの国民が「AI技術の発展に対して慎重であるべき」と思っていることが見て取れます。

多方面でAI導入が進み、生活が便利になっていく一方で、AIが今後発展することに “不安” を感じている人が多いというのがわかりますよね。

もちろん、イギリスの全国民が今回の調査に回答したわけではないので、今回の調査結果だけで、「イギリスの人々がAI規制の強化を望んでいる」などと結論づけることはできませんが、今後、AIの発展と共に、AI規制に関する議論も活発に行っていく必要性があると示唆する結果だったとは言って良いでしょう。

「人間より賢いAI」への懸念と規制の必要性

人工知能

今回発表された、イギリスでの “AIに関する意識調査” の結果の中で、いちばん注目を集めたのは、『人間より賢いAI』に関する回答結果です。

人間よりも賢いAIの開発を禁止するべきか?」という問いに、回答者の60%が「賛成」と回答。

人々が、『人間より賢いAI』の開発・登場に不安を感じていることが明らかになりました。

「人間より賢いAI」とは?

人間より賢いAI』とは、”超知能” とも呼ばれ、”人間の知能を超越した能力を持つAI” を指します。

人間より賢いAIは、”自己改善” や “自律的な意思決定” ができるようになるので、”人間の代わりを担ってもらえる” というメリットがある一方、”予測不能なリスクをもたらす可能性がある” というデメリットもあります。

たとえば、悪意ある目的で利用された場合、”制御不能な事態を引き起こす恐れ” もあるのです。

多くの人が「人間より賢いAI」開発禁止を支持する理由

今回の意識調査で、60%の人々が「人間よりも賢いAIの開発禁止」に「賛成」した背景としては、『人間より賢いAI』の下記のようなデメリット・懸念点が考慮されたことが影響していると考えられます。

<人間より賢いAI のデメリット>

● 制御不能なリスク
AIが自己進化し、人間の指示に従わなくなる可能性がある

● 雇用の喪失
高度なAIが人間の仕事を奪い、大量の失業を引き起こす懸念

● 悪用の可能性
政府機関や企業が、超知能AIを支配の手段として利用するリスク

● 倫理的な問題
人間の価値観や倫理を持たないAIが、重要な意思決定を下す可能性

多くの技術について、開発が進むことは望ましいこととされていますが、『人間より賢いAI』に関しては、メリットだけでなく、デメリットも多いため、手放しに喜ぶことはできないんですね。

AI規制の具体的な方法

デジタル 人の手
このように、AI規制法案なども含めた “AI規制” に関する議論は、今後、イギリスだけでなく、日本においても必要になってくるでしょう。

AIの安全性を確保するための対策” として、イギリスでは、下記のような施策を求める声も上がっています。

1. イギリスAI安全研究所の権限強化

イギリスには、”AI安全研究所(AI Safety Institute)” という組織が存在します。

この” AI安全研究所(AI Safety Institute)”のAI開発・運用に関する “安全基準” を厳格に管理し、”企業のAI開発を監視” することが必要だと考える人も少なくありません。

2. ライセンス制度の導入

現在AIの開発には特別な許可は必要なく、”資金さえあれば誰でも大規模なAIが作れてしまう” のが現状です。

強力なAIの開発には “政府の許可” を必要とし、”無許可の開発を防ぐ” のも、対策の1つでしょう。

3. AI規制機関の設立

AIの開発に許可が必要がないのと同じように、既存の法律は、AI技術が発達する前に作られたものが多いため、AIへの対応が難しい部分が多いです。

今後、”AI関連の問題に特化した専門機関” を設置することも効果的だと言われています。

4. 安全テストの義務化

企業が開発したAIに関して、事前に “安全基準を満たしているかテストする” のも重要な対策の1つです。

ただ、テストを行うには様々なコストがかかるため、どのように実現するかには議論の余地があるでしょう。

 

今後、日本でもAI規制に関する議論は活発になることが予想されます。

AIを開発する側だけでなく、AIを利用する側も、積極的にイギリスをはじめとする “欧州(EU)各国でのAI規制の動向” をチェックしておくのがおすすめです。

AIの未来と規制のバランス

このように、イギリスで実施された意識調査の結果から、多くの人々が “AI規制の強化” を求めていることが明らかになりました。

とくに、”人間より賢いAIの開発禁止” に対して60%が賛成していることから、AIの発展に対して “慎重” な見方をする人が多いことがわかります。

ただ、AIの技術進歩を完全に止めることは現実的ではなく、適切な規制と管理のもとで発展させることも大切です。

日本においても、政府や専門機関がAIの安全性を確保しつつ、バランスの取れた政策を打ち出す必要があると言えるでしょう。

今後、AI技術がどのように社会に影響を与えるのか、引き続き注視していきましょう!

 

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