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アサシンクリードシャドウズ 炎上まとめ(時系列)経緯は?Ubisoftの公式謝罪コメントも

アサシン クリード シャドウズ ubisoft

大人気ゲームシリーズ最新作『アサシンクリード シャドウズ』の炎上騒動が一向に沈静化しません。

炎上の発端は、2024年5月16日。『アサシンクリード シャドウズ』の発売が正式に発表され、日本を舞台にしながら主人公を日本人ではなく黒人の弥助にしたことが明らかになると、「ポリコレでは?」と世界中で物議になりました。

当初はポリコレに対する意識の高い海外を中心に炎上していたものの、公開されたトレーラー映像の中に、”時代考証の甘さ” や “日本文化に対する知識不足” が露呈する内容が多数含まれていたり、開発元のUbisoftスタッフのインタビュー記事内に「日本人を軽視しているのでは?」と捉えられる表現や、「史実に基づいた作品」であるかのような表現があったことなどがわかると、日本でも大炎上。

2024年6月以降は、毎日のようにSNS上で問題点が指摘されるようになり、ついには “発売中止の署名” や “外務省への抗議要請を求める署名” などの署名活動が開始され、国会議員の浜田聡議員 や お笑い芸人の田村淳さんも問題に付言するなど、現在では、ゲーム界隈を超えた大炎上騒動に発展しています。

『アサシンクリード』シリーズを知らない人や、日ごろゲームをプレイしたことがない人でも、今回の炎上騒動について興味を持った人は多いのではないでしょうか。

2024年7月24日には、開発元のUbisoftが「開発チーム」からのメッセージとして、X(旧Twitter)に下記のような声明を発表しましたが、今回の炎上騒動が日本で拡大したいちばんの要因である「間違った日本の歴史認識が世界に広がってしまったこと」「広がる可能性があること」に対する対策・謝罪・訂正が無いことなどから、炎上の収束は見込めていません。

この記事では、あまりにも炎上要素・問題点が多すぎて、論点や炎上の経緯が分かりづらくなってきた『アサシンクリード シャドウズ』問題について、おもな炎上の経緯をできるだけ時系列にまとめてみました。

※ なお、記事作成中も続々と問題点が指摘されているので、随時内容の編集や追記があることをあらかじめご了承ください。

Contents
  1. 2022年9月「日本を舞台」にした「アサシンクリード」の制作が発表される
  2. 2023年7月 日本を舞台にした新作の主人公が「黒人」との噂になる
  3. 2023年10月 日本を舞台にしたアサシンクリードが2024年に発売予定との噂が流れる
  4. 2024年5月16日「アサシンクリード シャドウズ」発売を正式発表【炎上の始まり】
  5. 2024年5月24日には イーロン・マスク氏が「ポリコレが芸術を殺す」とUbisoftを批判
  6. 2024年6月10日 追加情報公開でさらに「おかしな点」が指摘される
  7. 2024年6月11日 Ubisoftスタッフの「インタビューでの発言」がさらに物議を醸す
  8. 2024年6月15日 日本向けの限定動画を「中国語字幕」で公開してしまう
  9. 2024年6月中旬〜下旬 数々の問題点・時代考証の甘さ・文化財の無断使用が指摘される
  10. 2024年6月19日 ついに「アサシンクリード発売中止」を求める署名活動がはじまる
  11. 2024年6月28日 Ubisoft CEO イヴ・ギルモ氏が「被害者的な発言」をしたことでさらに炎上
  12. 2024年7月1日「外務省へ抗議要請を求める」署名活動がはじまる
  13. 2024年7月3日 戦国時代なのに「ガードレール」も見つかる
  14. 2024年7月8日 コンセプトアートにおける「旗」の無断使用を Ubisoft Japan が謝罪
  15. 2024年7月11日 日本の国会議員や人気お笑い芸人など「著名人」も騒動に注目するようになる
  16. 2024年7月中旬 トーマス・ロックリー氏が昔からWikipediaを「改ざん」していたのではという説が出はじめ、問題の根源という声が大きくなる
  17. 2024年7月19日 Ubisoftの株価が大幅下落
  18. 2024年7月22日 Ubisoft Japan が公式に謝罪声明を発表
  19. アサシンクリード シャドウズ の炎上は「ポリコレ」だけの問題ではない

2022年9月「日本を舞台」にした「アサシンクリード」の制作が発表される

2022年9月、Ubisoft Forward 2022 というライブ配信イベントにて、日本の封建時代を舞台にした『アサシン クリード コードネーム RED(仮)』を制作中であることが発表されました。

当時のコンセプト動画は、赤く染まった夕焼け空を背景に、忍者と思われる人物が登場する内容で、「かっこいい」「待望の日本を舞台にした作品で楽しみ」など、国内外問わず、発売を待ち望む声・反応が多数寄せられました。

2023年7月 日本を舞台にした新作の主人公が「黒人」との噂になる

2023年7月、日本を舞台にしたアサシンクリードの新作『アサシン クリード コードネーム RED(仮)』の主人公が「黒人の “弥助” と、くノ一の “忍者” の2人になるらしい」と噂になりました。

この時、海外ユーザーを中心に「なぜ日本舞台なのに黒人が主人公?」「アジア人軽視では?」という疑問の声が寄せられましたが、当時はあくまで “噂” として炎上にはならず、黒人が主人公であることを問題視するのは海外の人々中心で、日本では特別問題視されていませんでした。

2023年10月 日本を舞台にしたアサシンクリードが2024年に発売予定との噂が流れる

2023年10月、Ubisoft社のビジネス開発&ブランドパートナーシップ部門の Arisa Lagunzad氏 がLinkedInに『アサシン クリードCODENAME RED』の協業パートナー募集を公開。

日本を舞台にした『アサシン クリード コードネーム RED(仮)』が、2024年に発売されるのではと噂になりました。

この時点でも、発売を待ち望む声が多く、日本を舞台にした新作に国内外から期待の反応が寄せられています。

2024年5月16日「アサシンクリード シャドウズ」発売を正式発表【炎上の始まり】

2024年5月16日、日本を舞台にしたアサシンクリードシリーズの最新作の発売が正式に発表されました。

正式な名称が『アサシンクリード シャドウズ』であることや、発売日が2024年11月15日であるという発表と同時に、トレーラー映像が公開され、主人公が黒人の “弥助” と、くノ一の忍び “奈緒江” の2人であることが明らかになりました。

ここから、一連の炎上騒動が始まります。

まず、主人公が黒人なのは「ポリコレ」ではとの指摘が相次ぎ「海外」で大炎上

日本で大きな問題となっていると思われている『アサシンクリード シャドウズ』の炎上騒動ですが、5月16日にトレーラー映像が公開された当初、同作を問題だと指摘したのは海外ユーザーが大半でした。

日本を舞台にした作品で、日本人ではなく黒人を主人公に設定するのは、「ポリコレの強要では?」との意見が相次いだのです。

というのも、近年のゲーム・エンタメ業界では、”人種や国籍、障がい、宗教などに対する様々な差別表現を避け、中立的な表現を使うことを目的とした取り組み・対策” である『ポリコレ(ポリティカル・コレクトネス)に対する配慮をした作品かどうかを厳しくチェックする動きがあり、ポリコレを気にしすぎた結果、作品が改悪されてしまうことが少なく無いからです。

たとえば、下記『Horizon Forbidden West』は、どんどん主人公のビジュアルが必要以上にブサイク化されていると炎上しました。


『Horizon Forbidden West』の例では、なぜかゲーム後半で主人公が同性愛者のような発言をし始め、女性同士のキスシーンが始まるなど、必要以上のポリコレ思想によって作品の世界観やストーリーが改悪されてしまったと言われています。

このようなポリコレ思想について、日本人ユーザー以上に敏感なのが海外のユーザーで、「なぜ黒人の弥助を主人公にする必要があるのか?」「ポリコレの強要ではないか?」といった声が相次ぎ、海外で大炎上しました。

開発元であるUbisoftの本社があるフランスの人々からも厳しい声が上がり、SNS上では、日本人以上に怒っている海外ユーザーからの批判・苦言コメントが相次ぎました。

くり返しになりますが、この時点では日本では炎上というほどの話題にはなっておらず、「ゲームなのだから、黒人の主人公でも良いのでは」「主人公が弥助なのは斬新」といった好意的な見方もあって、海外での炎上騒動を冷静に見ている日本人ユーザーが多かったです。

日本人ユーザーによってトレーラー映像の「おかしな点」が多数指摘され始める【徐々に日本でも炎上】

ただ、海外での炎上騒動を受けて『アサシンクリード シャドウズ』に疑問を持った日本人のユーザーたちによって、公開されたトレーラー映像のおかしな点が次々と明らかになります。

指摘されたのは、下記のような点です。

・畳が正方形になっている
・信長と思われる人物と、家臣が同じ段に座ってしまっている
・桜とススキが同じ画面に登場する(四季を無視)
・鳥居(神社)でお線香を焚いている

どれも日本人であれば、専門家でなくても「おかしい」と気づく内容で、「日本描写が雑すぎる」「日本を軽視しすぎていないか?」「専門家に監修してもらわなかったのか?」といった疑問の声が起こりました。

近年、アメリカで制作された『Ghost of Tsushima』という日本を舞台にしたゲームや、俳優の真田広之氏が主演・プロデューサーを勤めたハリウッド製作のドラマ『SHOGUN 将軍』がクオリティの高い日本描写で高評価を得ている中だったので、より『アサシンクリード シャドウズ』の日本描写の雑さが目立ったのは否めません。

「海外で作られた作品だから…」という言い訳が通用しずらい状況だったんですね。

こうしたトレーラー映像のおかしな点が指摘されるようになってから、徐々に日本でも炎上し始めます。

インタビュー記事でのUbisoftスタッフの発言が「人種差別では」と物議を醸す

そして、日本描写の雑さが指摘され、「日本へのリスペクトがないのでは?」という声もあがり始めていた『アサシンクリード シャドウズ』について、各メディアでのUbisoftスタッフの発言が物議を醸しはじめました。

とくに問題視されたのは、2024年5月16日に公開された、ファミ通.com のインタビュー記事です。

記事内で、同作のクリエイティブ・ディレクターである JONATHAN DUMONT氏 は、弥助を主人公にした経緯を下記のように回答。

――忍者の奈緒江をオリジナルキャラクター、侍の弥助を歴史上の人物にした理由は?

(中略)弥助については、まず“私たちの侍”、つまり日本人ではない私たちの目になれる人物を探していました

上記発言の「日本人ではない私たちの目になれる人物」という表現について、「なぜ日本人では私たちの目になれないのか?」「アジア人差別では?」という指摘につながりました。

後日、問題とされた箇所はしれっとサイレント削除されたことも、不誠実な対応として、批判の対象となりました。

すでにSNSで当該箇所画像が出回っているほか、魚拓が残っていて、Ubisoft社に対する不信感を増大させています。

この発言は、日本だけでなく世界中のユーザーの間でも “差別的発言” として問題視されました。

「史実に基づいた」という表現や弥助を「伝説の侍」とする表現が「間違った日本の歴史認識を作る」のではと危惧されはじめる

そして、Ubisoft社が “弥助” に関して、実際は侍だったかどうかわからないにも関わらず、「実在した歴史上の侍」「伝説の侍」という表現を使用していたり、『アサシンクリード シャドウズ』について「史実に基づいた」作品であると海外向けにアナウンスしていることから、このままでは “間違った日本の歴史認識が世界に広まってしまう という危機感が日本ユーザーに広まっていきました。

とくに炎上の火種となったのが、2024年5月16日に Xbox Wire に公開された「『アサシン クリード シャドウズ』は、2 つの異なる体験をどのように融合させたのか」というインタビュー記事です。

同記事で、『アサシンクリード シャドウズ』のゲーム ディレクターを務める Charles Benoit氏 は、下記のような発言をしたという記載がありました。(※ 当該箇所は、現在はすでに削除されています)

本作は、織田信長のような実在した歴史上の人物や当時の出来事を忠実に描いているので、封建時代の日本を舞台にゲームを楽しみながら、この素晴らしい時代について学ぶことができます。

この、「当時の出来事を “忠実” に描いているので、封建時代の日本を舞台にゲームを楽しみながら、この素晴らしい時代について学ぶことができます」 という表現は、海外のユーザーに『アサシンクリード シャドウズ』で描かれていることが “史実に基づく日本の歴史だ” という誤解を与えるとして炎上しました。

インタビュー記事の原文では、”忠実に描いている” といった表現はしておらず、翻訳時の拡大解釈が問題だという擁護の声もありますが、”learning(学ぶ)” という単語を使っていながら、ゲームを通じて日本の歴史を学ぶには、日本描写・時代考証が雑であるという点は、炎上の火種となるのに十分だという解釈もあります。

We’re showing real historical figures, such as Oda Nobunaga and a lot of events that happened during that time, so you’re not only playing in feudal Japan, but learning about this fantastic time period.

上記以外にも、Ubisoftスタッフの各種メディアでのインタビューの内容について、日本の歴史に対する知識の甘さが露呈していたり、日本の歴史を全く知らない人たちに間違った歴史認識を持たせかねない表現が使用されていたりという点が指摘されているので、今回の炎上の元凶は “翻訳ミス” ではなくUbisoftの “開発姿勢” や “プロモーション時の表現” にあると言えるでしょう。

ここで触れておきたいのが、”海外でのアサシンクリード シャドウズの炎上” がおもに、「主人公が黒人である」という “ポリコレ問題” に起因して起こっているのに対し、”日本での炎上” は “間違った日本の歴史・文化が世界中に広まってしまうのでは” という危惧が起因しているという点です。

もし、Ubisoftが「史実を元にした作品」というニュアンスの表現をせず、「完全なフィクションである点を強調していたら、たとえ主人公が黒人であったとしても、日本描写に雑さを感じても、日本国内ではそれほど炎上することはなかったでしょう。

この点を勘違いしている人が多いので、注意しておいてください。

実際にWikipediaでの日本の歴史「改ざん」が横行する

そして恐れていたことに、『アサシンクリード シャドウズ』で実在の人物とされ、”伝説の侍” と表現された “弥助” について、「侍だったのか?」論争が勃発。

実際はほとんど史料がなく、侍だったという根拠に乏しいにも関わらず、Wikipedia上で弥助に関する記載の改ざん合戦が行われます。

「間違った日本の歴史認識が世界に広まってしまうのでは…」という危惧が、どんどん現実のものになっていったのです。

日本人であれば、”弥助” が歴史の教科書に登場しないことから、日本の歴史における重要人物でないことは容易に想像できますが、日本の歴史を知らない海外ユーザーにとっては、弥助が、”歴史上の重要人物”であったり、”偉大な侍” であるかのようなイメージで捉えられるようになっていったんですね。

こうした事態を受けて、最初に巻き起こったポリコレ論争時には静観していた日本ユーザーも、批判の声を上げるようになり、日本国内でも炎上が拡大していきました。

日本大学法学部准教授「トーマス・ロックリー氏」の歴史「改ざん」を疑う声が上がり始める

Wikipediaの改ざん合戦などの問題を受けて、ほとんど史料がない “弥助” に関して、海外では実際に存在した “黒人の侍” “日本の歴史に欠かせない人物” という間違った認識が広まった原因として、日本大学法学部准教授 トーマス・ロックリー氏 の過去の発言や著書についての問題点も指摘されはじめるようになりました。

事態は、Ubisoft と『アサシンクリード シャドウズ』だけの問題から、過去のエンタメ作品での “弥助” の描かれ方や、”弥助” を黒人侍として扱ったブラジルのカーニバルなど、ゲームの枠を超えた問題になっていったのです。


2024年5月24日には イーロン・マスク氏が「ポリコレが芸術を殺す」とUbisoftを批判

2024年5月24日には、有名な起業家イーロン・マスク氏X(旧Twitter)上で、アサシンクリードシャドウズの問題について「DEI kills artポリコレが芸術を殺す)」と批判し、大きな話題を呼びました。

この辺りから、炎上騒動はゲーム界隈だけでなく、日ごろゲームをしないユーザーにも注目されるようになってきます。

2024年6月10日 追加情報公開でさらに「おかしな点」が指摘される

2024年6月10日、追加でプレイ動画や特典などの追加情報が公開されると、さらに “おかしな点” の指摘が相次ぎます。

指摘されたのは、下記のような点です。

・桜が咲く時期に田植えや稲刈りをしている
・刀を右差しで抜刀している(日本刀は必ず左差し)
・特典フィギュアの家紋に織田家ではなく豊臣家の家紋も使われる
・特典ボックスの漢字が間違っている

追加で公開された動画やグッズについて、時代考証や日本描写・初歩的な間違いが相次ぎ、あまりの杜撰さに、「日本に対するリスペクトがないのでは?」と炎上しました。

2024年6月11日 Ubisoftスタッフの「インタビューでの発言」がさらに物議を醸す

プレイ動画公開翌日の2024年6月11日には、Ubisoftスタッフに対するインタビュー記事やインタビュー動画が公開され、さらに物議を醸すことになります。

6月11日に、スポーツ・イラストレイテッド が掲載した「アサシンクリード シャドウズ:ゲームプレイウォークスルーを踏まえたスタッフインタビュー」という記事において、プレイ動画の様子から「弥助は残忍すぎないか?」といった質問をされたことに対し、

「日本では斬首は珍しい光景ではなかった(原文引用:So it’s more trying to be faithful to the war aspect of Japan at that period. Death was a common thing and decapitation was not a strange sight in Japan. )」

といった、間違った日本の歴史認識の拡大を助長する発言をしたことが発覚します。(※ 現在、問題となった発言箇所は削除済み)

さらに、同日6月11日に公開された IGN での『アサシンクリード シャドウズ』のシナリオ担当者ブルック・デイヴィス氏 のインタビュー動画が公開されると、「歴史の空白のストーリーを私たちのストーリーで埋めた」という発言や「日本史に詳しい方にぜひ楽しみにしていただきたいです」という発言が問題視され、さらに炎上する事態になりました。 上記の動画では、『アサシンクリード シャドウズ』は「フィクションである」という点も付言されているので、「問題ない」という意見もあったのですが、アイキャッチ画像のコピーが「歴史の空白を私たちのストーリーで埋めた」というセンセーショナルな意味にも捉えられる文言であったり、「日本史に詳しい方にぜひ楽しみにしていただきたい」という発言が、「これだけ日本を雑に描いているのによく発言できたものだ」という反感につながって、炎上してしまいます。

この時期になると、「何をやっても炎上する…」という炎上ループに突入したと言っても過言ではありません。

2024年6月15日 日本向けの限定動画を「中国語字幕」で公開してしまう

炎上騒動が全く沈静化しない中、2024年6月15日、Ubisoftは『アサシンクリード シャドウズの日本向けの限定動画を “中国語字幕” で公開してしまうというミスも起こします。(※ 現在、当該画像は削除されています)

すでにUbisoftの対応や『アサシンクリード シャドウズ』の日本描写の雑さに辟易としていた日本ユーザーからは、「日本語と中国語のちがいもわからないのか…」と失望の声があがります。

このミスに関しては、中国語圏でも話題になり、東アジア各国で問題視する声が上がりました。

2024年6月中旬〜下旬 数々の問題点・時代考証の甘さ・文化財の無断使用が指摘される

2024年6月中旬〜下旬にかけて、6月11日以降に公開された “プレイ動画” や “特典”、”コンセプトアート” に関する「おかしい」「時代考証がめちゃくちゃ」「著作権侵害に該当するのでは」といった指摘が相次ぎます。

上記は、日本の明治や大正に撮られた写真がコンセプトアートに反映されてしまってることを表した画像で、1枚の中に、安土桃山時代とは思えない描写が多数あるのがわかります。

2024年6月19日 ついに「アサシンクリード発売中止」を求める署名活動がはじまる

一向にUbisoftからの謝罪や訂正、指摘された問題点に対する対応が発表されない状況を受けて、2024年6月19日にはついに、『アサシンクリード シャドウズ』の発売中止を求める署名活動が開始されます。

署名_アサシンクリードシャドウズ_発売中止

発売中止を求める署名活動は、SNSで拡散され、海外ユーザーだけでなく、多くの日本人ユーザーが署名を行いました。(※ 2024年7月25日現在、9万5千人を突破しています)

過去にも海外で製作されたゲームが炎上するというケースはありましたが、日本で “発売中止” まで求める署名に多くの人が参加するのは極めて珍しいケースで、日本のユーザーたちが『アサシンクリード シャドウズ』や Ubisoft によって、間違った日本の歴史認識が世界に広まってしまうことを危惧していることがわかります。

署名活動に関しては、下記の記事で解説しているので、参考にしてください。

2024年6月28日 Ubisoft CEO イヴ・ギルモ氏が「被害者的な発言」をしたことでさらに炎上

次々と問題点が指摘される中、2024年6月28日にUbisoft公式サイトで公開された「CEO イヴ・ギルモがユービーアイソフトの今後のポートフォリオとアサシン クリードの未来について語る」というインタビュー記事で、Ubisoft社 CEO イヴ・ギルモ氏 がUbisoftが「批判の被害者である」かのように捉えられる下記のような発言をしたことが火に油を注ぎました。

現在のゲーム業界について、何が残念に思われますか?

YG:私が今懸念しているのは、一部のチーム メンバーやパートナーに向けられた悪意のある個人的オンライン攻撃です。Ubisoft は、これらの憎悪行為を可能な限り強く非難するとともに、業界全体やプレイヤーにも非難を呼びかけます。私は、チームやパートナーの素晴らしい仕事に誇りを持って協力し、彼らの創造的な選択を常に信頼しています。私たちは皆、ビデオ ゲーム制作に注がれる努力と才能を称賛すべきです。

(原文:What dismays you about the games industry right now?

YG: One thing I am concerned about right now is the malicious and personal online attacks that have been directed at some of our team members and partners. I want to make it clear that we, at Ubisoft, condemn these hateful acts in the strongest possible terms, and I encourage the rest of the industry and players to denounce them, too. I am proud to support the amazing work of our teams and partners, and I will always trust in their creative choices. We should all celebrate the hard work and talent that goes into making videogames.)

炎上し始めて1ヶ月が経ったにも関わらず、Ubisoftからの公式の見解の発表や謝罪がない中での「自分達は批判の被害者」とも取れるCEOの発言だったので、「自社の落ち度が明らかになっているのに、被害者ぶるのはおかしい」「逆ギレしている」と炎上に拍車がかかる結果になっています。

2024年7月1日「外務省へ抗議要請を求める」署名活動がはじまる

2024年7月1日には、『アサシンクリード シャドウズ』によって間違った日本の歴史認識が世界に広まっている件に対して、外務省に「Ubisoftに厳正な抗議を行うよう求める」署名活動も開始されます。(※ 現在は、目標の5,000人を達成し終了済)

署名-外務省-アサシンクリードシャドウズ

もはや、『アサシンクリード シャドウズ』の炎上騒動は、国際問題へと発展するほど大きくなってしまったと言えるでしょう。

2024年7月3日 戦国時代なのに「ガードレール」も見つかる

2024年7月3日には、戦国時代(安土桃山時代)が舞台という設定にも関わらず、”ガードレール” が描かれているという指摘が話題になりました。

この頃になると、問題点や粗が多すぎて、「もはやコント」「問題が多すぎて追えないw」といった声が上がってきます。 “電柱” なども発見され、「間違い探しの良い教材」と揶揄されるようにもなりました。

2024年7月8日 コンセプトアートにおける「旗」の無断使用を Ubisoft Japan が謝罪

今回の炎上騒動がまた一段と大炎上に発展したのが、2024年7月8日です。

2024年7月8日、Ubisoft Japan は、『アサシンクリードシャドウズ』のコンセプトアートに使用されている旗が、実在の団体 “関ケ原鉄砲隊” の旗を無断使用していたことに対する謝罪の声明を発表したのです。

“関ケ原鉄砲隊” の旗の無断使用については、6月から一部ユーザーによって指摘され、問題視されていたので、Ubisoft側から同団体に謝罪があったとのことに安堵する人もいました。

でも、炎上騒動が始まって以来、はじめての Ubisoft からの公式見解・謝罪の声明だったものの、① “Ubisoft” 公式Xアカウント ではなく、日本向けの “Ubisoft Japan” Xアカウント でしか謝罪しなかったことや、②「関ヶ原鉄砲隊に謝罪を受け入れていただいた」としたものの実際は問題は解決しておらず、「アートブックへの掲載もやめてほしい」という要望に対して、掲載を強行する姿勢を見せていたことで、大炎上しました。

“旗” 以外にも、営利目的使用を禁じている 東大寺大仏殿の “八角燈籠” など、ほかの文化財の無断使用も見つかり、著作権違反・文化財の無断使用に対する反感の声が高まっていきます。

2024年7月11日 日本の国会議員や人気お笑い芸人など「著名人」も騒動に注目するようになる

著作物や文化財の無断使用の問題が発覚する中、日本の国会議員の浜田聡議員やお笑い芸人の田村淳氏も「間違った日本の歴史認識が世界に広まること」に対する苦言や対策・調査の必要性などに言及するようになります。


この頃から、「アサシンシリーズは知らないけれど、この問題は見過ごせない」「日ごろゲームに興味はないものの、日本の間違った歴史が世界に浸透するのは困る」という日本人ユーザーの声が高まり、社会問題として捉えられるようになりました。

2024年7月中旬 トーマス・ロックリー氏が昔からWikipediaを「改ざん」していたのではという説が出はじめ、問題の根源という声が大きくなる

2024年7月13日ごろからは、Wikipedia で弥助のページを頻繁に改ざんしていた人物 “鳥取トム” が、弥助の本を書いていた日本大学法学部准教授 トーマス・ロックリー氏 ではないかという指摘がされます。

トーマス・ロックリー氏が日本に来て2年間、”鳥取” で英語教師をしていたことや、トーマスの愛称が “トム” なのではという点から、「准教授本人がWikipediaを編集していたのでは?」という疑惑につながったのです。

もし事実であれば、自身が編集したWikipediaの項目を自著に引用して、史料がほとんどない弥助に関する不確かな歴史を根拠のある話かのように見せていたことになり、「間違った日本の歴史を世界に広めるきっかけを作った根源だ」と叩かれるようになりました。

トーマス・ロックリー氏は炎上後、SNSアカウントを削除しているので、本人の弁明を聞くことはできないのですが、著書で “イエズス会は奴隷制に反対し、黒人を奴隷にしない” ものの、日本では “黒人を奴隷にするのが流行っていた” といった、根拠に乏しい趣旨の記載をしていることも大きく問題視されました。

先述の通り、海外でのアサシンクリード シャドウズの炎上” がおもに、「主人公が黒人である」という “ポリコレ問題” に起因して起こっているのに対し、”日本での炎上” は “間違った日本の歴史・文化が世界中に広まってしまうのでは” という危惧によって拡大したという背景があります。

日本のSNSでは、誤った日本の歴史を積極的に広めていたトーマス・ロックリー氏に対する批判の声が大きくなり、”Ubisoftに対してより、トーマス・ロックリー氏に対する批判の声” が目立つようになります。

2024年7月19日 Ubisoftの株価が大幅下落

一向に沈静化しない『アサシンクリード シャドウズ』の炎上騒動を受けて、2024年7月19日、Ubisoftの株価が大幅に下落する事態になりました。

2024年7月22日 Ubisoft Japan が公式に謝罪声明を発表

株価の暴落が影響したのか、2024年7月22日、Ubisoft Japan は、公式X(旧Twitter)で「『アサシン クリード シャドウズ』開発チームより、日本コミュニティの皆様へ」と題して、炎上騒動に対する謝罪を含んだ声明を発表しました。


公式の謝罪声明が発表されることで、炎上が収まるかと思いきや、日本人が問題視している点日本の誤った歴史認識や描写が世界に広まってしまう・文化財を無断で使用している)に対する対応・対策・謝罪がなく、ただ「これはあくまでフィクションなので…」という言い訳に徹している点などが反感を呼び、事態の収束には至らない見通しです。

海外のユーザーの中には、今回の謝罪声明を受けて、「結局はただのゲーム」「フィクションなんだから良いだろう」というコメントを寄せているユーザーもいますが、

海外でのアサシンクリード シャドウズの炎上” がおもに、「主人公が黒人である」という “ポリコレ問題” に起因して起こっているのに対し、”日本での炎上” は “間違った日本の歴史・文化が世界中に広まってしまうのでは” という危惧や、”日本の文化を勝手に盗用・改ざんされてしまっている” ことに対する危機感から起こっているので、「歴史フィクション」「ファンタジーです」と日本人向けに謝罪するだけでは解決しないのです。

今回のUbisoft Japanのコメントだけでは、事態の沈静化はむずかしいでしょう。

アサシンクリード シャドウズ の炎上は「ポリコレ」だけの問題ではない

この記事では、一連の『アサシンクリード シャドウズ炎上騒動について、できるだけ時系列に添いつつ、炎上の経緯をまとめてみました。

ただ、問題が多すぎるので、すべての炎上騒動について網羅できているわけではありません。

随時、追記・修正を行おうと思いますが、最近になって炎上騒動を知った人の中には、「アサシンクリード シャドウズが炎上しているのは、黒人を主人公にしたからだ」「フィクションゲームなのに、一部のユーザーが必要以上に粗探しをしている」と騒動の本質を勘違いしている人が見られます。

もし、黒人を主人公に設定しただけであれば、一部違和感を持つユーザーはいたとしても、ポリコレに厳しい海外は別として、日本ではここまでの炎上騒動には発展しなかったでしょう。

また、もし最初からUbisoftが「このゲームは日本を舞台にしたフィクション作品」という点を強調し、「史実に基づいた」「日本の専門家の監修を受けた作品」という点をアピールしなければ、間違った日本の歴史認識や文化が世界中に広まることを防ぐことができたので、間違いや粗が見つかっても、発売中止を求める動きが出るほどの騒動にはならなかったはずです。

このまま修正されることなく『アサシンクリード シャドウズ』が発売され、海外向けには「史実に基づいた作品」とアナウンスされれば、間違った日本の姿や歴史が世界に広まってしまう可能性があります。

日本人として注視しなければいけない問題の1つなので、今後もぜひ注目してみてください。

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